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剣持刀也
白い陽が差し、
いつのまにか、冬が体を覆っていた。
木に雪が積もり、結晶の透けた先には青空が広がっていた。
剣持刀也
雪と共に、昨日の虚無感も喪失感も、いつの間にか溶けていった。
狐様
剣持刀也
狐様
剣持刀也
僕の唇に指を当てると、狐様は微笑んでこう言った。
狐様
狐様
剣持刀也
人間だから…、
剣持刀也
狐様
狐様は真っ直ぐ僕を見て言った。
…吸い込まれそうだ。
剣持刀也
狐様の手を取り、微笑んだ。
相変わらず、狐様は美しかった。
その瞬間、また名のない感情が渦巻いた。
この感情は、きっと良くない物
とても邪で、狐様に似合わぬ物
でも、僕は
狐様に、その感情を向けている。
僕はきっと…、
剣持刀也
狐様
剣持刀也
僕は今考えている事を放棄し、準備しに行った。
庭に出て少し経った後、神職の者が音もなくやって来た。
神職
神職
少し振り向き、
狐様
そう答えた。
神職
狐様
少し溜めて、
狐様
神職
そう言って去っていった。
一瞬背中を見た時、
そういえば彼も、もう老人と呼ばれる歳だと気づいた。
人間は、いつか…、
狐様
狐様
そう言ってる間に、扉の音がした。
剣持刀也
狐様
美しい真紅、上等な着物、
そして、何より美しい狐様のご尊顔。
白く潤った肌、長く艶のある髪、その先の何処までも見透かす様な眼。
完璧だった。この世の誰よりも。
剣持刀也
狐様
剣持刀也
いや、違う
狐様
狐様は_
狐様
剣持刀也
あぁ、そうだ。
触れた感触でも、話す時でも、いつだって
“神様だ”と分かる。
…痛い程。
剣持刀也
剣持刀也
狐様
狐様
狐様
祭祀が終わって、
剣持母
少し興奮した様子だった。
狐様
剣持母
狐様
剣持母
狐様
とても小さく、国宝とはこの事かと思った。
幼い剣持
指先に満たぬ大きさの手で、一所懸命に空を掴もうとしていた。
狐様
剣持母
剣持母
剣持母
狐様
今でも鮮明に覚えてる。
狐様
狐様
剣持刀也
狐様
いきなり僕の方に振り返ると、
狐様
狐様
少し照れ臭そうにいう狐様を見て、言葉の意味に悩んだ。
剣持刀也
剣持刀也
でも、無理やり別の意味だと解釈した。
剣持刀也
狐様
剣持刀也
狐様
剣持刀也
こうして準備を終え、僕らは祭祀へ向かった。