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剣持刀也

…、

白い陽が差し、

いつのまにか、冬が体を覆っていた。

木に雪が積もり、結晶の透けた先には青空が広がっていた。

剣持刀也

…綺麗だ

雪と共に、昨日の虚無感も喪失感も、いつの間にか溶けていった。

狐様

…とーやさん、起きた?

剣持刀也

…き、狐様!何故…

狐様

そりゃ、とーやさんは休まないと

剣持刀也

で、でも、狐様は戦を終えてお疲れでしょうし、しかも今日は祭祀が…

僕の唇に指を当てると、狐様は微笑んでこう言った。

狐様

…大丈夫だよ。狐様だから。

狐様

でもとーやさんは人間なんだから、今日くらいは休みなさい?

剣持刀也

…、

人間だから…、

剣持刀也

…悲しい事、仰らないで下さい。狐様。

狐様

…、悲しい?

狐様は真っ直ぐ僕を見て言った。

…吸い込まれそうだ。

剣持刀也

いいえ、狐様。

狐様の手を取り、微笑んだ。

相変わらず、狐様は美しかった。

その瞬間、また名のない感情が渦巻いた。

この感情は、きっと良くない物

とても邪で、狐様に似合わぬ物

でも、僕は

狐様に、その感情を向けている。

僕はきっと…、

剣持刀也

…じゃあ、僕は準備をして参ります

狐様

…その間は、庭にでも出ようかな

剣持刀也

分かりました。

僕は今考えている事を放棄し、準備しに行った。

庭に出て少し経った後、神職の者が音もなくやって来た。

神職

狐様、ただいま参りました。

神職

只今祭祀の準備が整いました故、狐様もそろそろ支度を。

少し振り向き、

狐様

あぁ。すぐに。

そう答えた。

神職

…では私は

狐様

待ってくれ。

少し溜めて、

狐様

…いつも、ありがとう。

神職

…こちらこそ。狐様

そう言って去っていった。

一瞬背中を見た時、

そういえば彼も、もう老人と呼ばれる歳だと気づいた。

人間は、いつか…、

狐様

狐様

そう考えるのはやめよう。

そう言ってる間に、扉の音がした。

剣持刀也

狐様、ではそろそろ。

狐様

…うん。

美しい真紅、上等な着物、

そして、何より美しい狐様のご尊顔。

白く潤った肌、長く艶のある髪、その先の何処までも見透かす様な眼。

完璧だった。この世の誰よりも。

剣持刀也

…狐様。

狐様

なぁに、とーやさん。

剣持刀也

…狐様は、何故美しいのですか?

いや、違う

狐様

何故…、

狐様は_

狐様

…ふふっ、神様だから?

剣持刀也

…、そうですね

あぁ、そうだ。

触れた感触でも、話す時でも、いつだって

“神様だ”と分かる。

…痛い程。

剣持刀也

初めて見た祭祀はいつだったでしょうか。

剣持刀也

…懐かしいです。

狐様

とーやさんが赤ん坊の時…、

狐様

…ふふっ、0歳の時だよ。懐かしいね

狐様

17年前、

祭祀が終わって、

剣持母

狐様、

少し興奮した様子だった。

狐様

…!その赤ん坊は…、

剣持母

ついこの間産まれたのです、狐様のお姿を見せようと

狐様

名は?

剣持母

刀也です。…剣持、刀也。

狐様

そうか。…、とーや…、

とても小さく、国宝とはこの事かと思った。

幼い剣持

あ、ぅ…、ぁ

指先に満たぬ大きさの手で、一所懸命に空を掴もうとしていた。

狐様

…可愛い。

剣持母

…狐様、

剣持母

この子のことは、どうか守ってやって下さい。

剣持母

私はどうでもいいのです。ただ、この子だけは…

狐様

…もちろん。

今でも鮮明に覚えてる。

狐様

ふふっ、

狐様

…ついこの前まで…、なんて、

剣持刀也

…僕なんて、狐様からすればいつまでも幼いでしょう?

狐様

う〜ん、確かにね。

いきなり僕の方に振り返ると、

狐様

でも、とーやさんの事はずっと…

狐様

ずうっと、大好きだよ。

少し照れ臭そうにいう狐様を見て、言葉の意味に悩んだ。

剣持刀也

え、

剣持刀也

ぁ、あ、いや、その、…はい。

でも、無理やり別の意味だと解釈した。

剣持刀也

…僕も、狐様をずっと慕い続けていますよ。

狐様

…、そっか。

剣持刀也

…よし、では狐様。終わりましたよ

狐様

…!へへ、どぉ?似合う?

剣持刀也

はい。とても。

こうして準備を終え、僕らは祭祀へ向かった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

1

ユーザー

なんだよ、その可愛いショタ(剣持)は、可愛すぎではないですか?

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