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ぬし
ぬし
ぬし
あれ、どこかで聞いたことある音。
何かが転がっている。
カチン。カチン。
玉がふれあう音。
亮は起き上がる。
重い頭をふってみる。
亮
目の前には、思いがけず白い模型のまちが広がっていた。
音がする。声も聞こえる。
子供の声。
白い路地から、何かが次々転がり出る。
透き通った青い玉、しま模様は青と黄色と赤…
白じゃない、色がある。
亮
かっちゃん
路地の奥で男の子が呼んでいる。
亮はビー玉を拾い上げると、その声がする方に歩き出した。
かっちゃん
かっちゃん
気がつくと亮は路地をぬけ、お寺の境内に立っていた。
手には、拾ったビー玉。
亮
境内は暑く、セミが鳴いている。
すぐ近くには池があって、小さな子供達が竹の棒で亀の子を追っていた。
ラムネッチン、つまりビー玉遊びの仲間は、亮を入れて五人。
みんなランニングに短パン、足元は下駄。
かっちゃんと呼ばれる大柄の子が、リーダーのようだった。
乾いた地面にいくつかの穴を掘って、玉を順に入れていく。
それに飽きると、三角形を書いてその中のビー玉を弾く。
かっちゃんは上手い。
でも、亮も負けてはなかった。
かっちゃん
かっちゃんは、立ち上がって亮の肩を掴んだ。
亮は、かっちゃんがつまみ上げた、白ガラスに黄色と赤模様入りの大きなたまに目を奪われた。
あの玉を狙いたい。
かっちゃん
かっちゃん
かっちゃん
かっちゃんは、日焼けした顔で笑った。
亮
亮も笑った。
どこかで、鐘が鳴った。
気が付くと、周りには、もう誰もいなかった。
色は無い。周りは、真っ白。
亮は、もう一度眠りの底に落ちていった。
お母さん
お母さん
母さんに話したら、はなから夢だと決めつけられた。
そうかもしれないし、そうでもないかもしれなかった。
亮には、分からない。
白い路地から転がり出たビー玉。
あれは、確かに模型のまちの路地だった。
でも、お寺も松の木も池も、ビー玉で遊んだ子も、ちゃんと普通に色があった。
亮の肩を掴んだかっちゃんの手は、温かかった。
亮
と、亮は思う。
亮
亮
亮
亮