どぞ
赤
俺は、いつの間にか寝ていたようだ。
あはははっ
下では、楽しそうな声が聞こえてきた。
赤
笑い声がこの部屋に響くだけで
一気に孤独を感じる。
赤
少しだけでいい
ほんの少しだけでいいから、
わがままなんて言わないから、
黄くんへ注いでる愛を
俺にも分けてよ、
俺に分けてくれる愛などないと
…
わかっていても、
俺は、欲しいのだ。
赤
俺を見てよ。
俺の声を聞いて。
もう一人きりは、
もう誰もいないのは、
愛されないのは、
うまく愛せないのは、
嫌なんだ。
赤
鏡越しに見えた俺の顔は、
醜い泣き腫らしたひどい顔だった。
こんこんっ
ドアがノックされた、
赤
声をわざと明るくして
心配されないように。
ちょっといい?
その声は、桃君だった、
赤
桃
一方的に話を終わらせて出ていった。
赤
ちょっと、へ、?
また、俺は、雑用…
言えばよかった。明日は、
俺の誕生日でもあるよ、
赤
いつも行事があるときは、黄くんが主役だ。
回想
5歳の初めてパーティーしてくれた誕生日の日。
赤
嬉しくて色んな人に教えにいった。
桃
黄
また、黄くんがきたんだ。
桃
黄
桃
赤
黄くんよしよししてる。
俺の時は、そうだなって言われて終わったのに。
青ちゃんだって
青
黄
嬉しそうに紙袋開けると
黄
黄くんは、戦隊モノのベルトをもらっていた。
桃ちゃんからは、簡単ピアノをもらっていた、
黄
桃
青
5歳の俺は、その会話をただ見てるだけだった。
赤
俺の手には、2人からもらった
一冊の本が握られていた。
パーティーの時もそう、
桃
青
黄
にこにこしながら黄くんは答える。
机には、黄くんの大好物ばかり並べられていた。
赤
幼い俺がそんなことを言うと
桃
青
と言って黄くんとばかり話していた。
ケーキも、
黄くんの好きな、チョコレートケーキだった。
赤
黄
ずるかった。
楽しいはじめてのパーティーのはずなのに
悲しくて。
俺は、最後までお誕生日おめでとうなんて言ってもらえなくて
結局ケーキは食べずに寝た
兄弟に本当に要らないのは俺だと
わかっていても。
赤
俺は、まだ兄弟が好きだ…
なぜこんなに不平等な世界を作ったの?
なぜ好きなのに好きになってもらえないの?
愛してるのに愛してもらえないの?
片方だけ愛すのは、
愛されてない半分が
すごくすごくしんどいよ。
赤
桃くんたちは、黄くんがいればいい。
片方の俺は、?
いなくてもいいの、、?
赤
そんなの嫌だよ、
こんなに寂しいなら、
苦しいなら、
辛いなら、
俺なんていなければよかった。
そうだよ、
黄くんがいなかったら、兄弟は
とても悲しむ
俺がいなければ兄弟は
気にしない。
その差はなに、?
赤
俺がいなければこんな思いしなかった。
この世界で一人ぼっちなのは、俺だけだと
わかっていても、
俺は、まだ生きたいのだ、
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