satomi
確かに、俺が通っていた学校だ。
そこに、居るのか
satomi
海外に渡った俺は、
違法の治療を受けた。強制で。
あの医者、俺を騙していたのだ
こんなことならころんの元に居ればよかった……
そう思っても、意味はなくて
結局、この歳になるまで
海外で治療を受けてしまった。
一応治ったらしいが、正規の治療法じゃない。
いつ再発して一気に悪化するかはわからない。
まぁ、そんなのどうでもいい
大事なのは、俺自身のことではなく、
ころんのことだ。
こんなに何年も一緒に居て、
助けてあげることができなかった
ずっと待たせてしまった……
一秒でも早くころんに会いたい。
俺はその一心で、日本に戻ってきてすぐ、
ころんの家に行った。
そして、ころんの親族から告げられた。
ころんは、俺が海外に行ったあの日に、
約束したあの日に
行方不明になった、と
そして今も見つかっていない、と
俺のせいだ。
俺が、守ってあげられなかったから
そばに居られなかったから
離れたから
助けてあげられなかった
俺のせいで…俺のせいで…俺のせいで…俺のせいで…
もう、ころんはこの世界の何処にも居ないのかもしれないのだ。
そう考えると、生きることすら臆病になった。
今まで俺は、ころんのために頑張ってきたのに…
俺はころんのために生きてるのに…
ころんの願いを叶えるために…
好きな人に笑っていて欲しくて…
そんな俺は、通りすがりの地元の高校生であろう女子から
こんな噂を盗み聞きした。
『この辺りにある廃校の体育倉庫には、地縛霊が出るらしい
出会ってしまうと夢の中に引きずり込まれて、
二度と戻って来られなくなる。』
地縛霊?
俺がいない間にそんな噂ができたのか…
っていうか、その廃校ってもしかして…
俺は元々通っていた学校へと足を運んだ。
確かにそこは廃校になっていた。
校門の柵がボロボロに朽ちていて
木は全部枯れ果てていて
校舎はところどころに亀裂が入っていて……、
なんだか…全体的に不気味だった。
そしてとにかく寒い
悪寒が凄かった。
もしかして、地縛霊の怨念のせいで
こんなに寒いのか……?
心霊現象は別に信じるタイプではないけれど、
ただごとではない感じがした。
本能がここに近付いてはいけないと警告を出していた。
でも
ここにころんが居る気がするんだ。
satomi
学校内に入ると、寒気が酷くなった。
それでも俺は歩みを止めない
体育倉庫の扉を開ける。
satomi
俺は中に足を踏み入れた。
中が暗くてよく見えない
バタンッ
扉は勝手に閉じた。
目が暗さに慣れてくると、
周りにあるものが見えてきた。
体育の授業で使っていた物は、そのまま放置されている。
跳び箱、様々なボール、なんか鉄製の棒、
そして……
マットに転がり、ピクリとも動かない人の姿。
腐臭はその身体からしていた
よく見ると、ところどころ骨が見えていて
すごくグロテスクだ。
satomi
satomi
satomi
satomi
???
背後から声がした。
ここに俺以外、誰もいないはずなのに
でも、気になったのはそこではない。
satomi
satomi
???
???
satomi
satomi
???
???
satomi
satomi
???
???
satomi
satomi
satomi
???
???
satomi
satomi
???
???
小さな窓から入ってくる光で出来た影が
少しずつ歪んで、ころんの形になっていく。
影が完全にころんの形になり、
俺にゆっくり近づいてくる。
???
satomi
???
???
satomi
???
satomi
???
satomi
???
一瞬、ころんの顔がハッキリと見えた。
__血の涙が、流れていた
殺那、視界が歪み
何も見えなくなった。
???
???
助けてやるよ
ずっと一緒に居る
ずっと一緒に居てあげる
助けてあげる
これからずっと
satomi
satomi
satomi
satomi
俺は悪夢の中に堕ちていった。
__風の噂によると
遺体で見つかった、行方不明者の2人は
満面の笑みで、
互いにしっかりと抱きついた状態で見つかったらしい。
二度と戻らない
二度と戻って来られない
救われた夢の中で
桜兎(おと)
桜兎(おと)
桜兎(おと)
桜兎(おと)
桜兎(おと)
桜兎(おと)
桜兎(おと)
コメント
2件
泣いちゃうよ……(いいお話でした!) 言ってること逆やねん←
すごい、本当にすごい、引き込まれました… とても面白い作品でした(深夜に読んでしまったのは間違いだったけど)