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いつもの何気ない日常。
変わらず朝が来て
めんどくさいなぁ、なんて思っているうちに 一日が終わる
生きたいだとか、死にたいだとか。 そんなのは特になにも思わなくて。
過ぎていく時間に身を任せる、 そんな日々を過ごしていた。
それが変わったのは、ある一日…いや、 ほんの数ヶ月の事だった。
いつも通り、教室で本を読んでいた。
親しい友達も特に仲のいい人も居ない。 本のページを1枚1枚捲って、ストーリーを読み進める。
だけど、この日はいつもと少し違った。
クラスの人気者で、うるさい。 所謂陽キャのクラスメイトが話しかけてきた。
おまけに、あだ名まで付けられて。 確か名前は…大神りうら、だったはず。
どうして話しかけてきたのか、不思議だった。
のほほんとした笑顔で言う。 そんなりうらの突然の誘いに戸惑う。
戸惑いが表情に出ていたのか、りうらはクスッと 笑いながら言う。
屋上には施錠が掛けられている。 前に自殺した生徒が居たらしい。
それ以来は教員以外の立ち入りは禁止されている。
話を聞いている限り、初めてでは無さそうだ。 バレたらどうするつもりなのか。
あまり話したこともないと言うのに、 お願いがある、なんて嘘くさいと思った。
そう言うと、りうらは困惑したままの俺の手を引いて 屋上へと連れて行った。
屋上に入ると、夕日が広がっていて 確かに綺麗だと思った。
りうらは俺より少し前の方に立ち、 俺の方へ振り返って言う。
自信気にまるで自分の所有物かのように 言い放つ。
そんなりうらを軽く無視して、口を開く。
ふざけたように微笑んでいたりうらが 少し真剣な表情になって言う。
一瞬の静寂が流れる。 一体どういう意味なのか、理解に苦しむ。
どこか躊躇しているのか、少し間を置いてから りうらは言う。
病気?
とてもそんな風には見えない。
いつも騒がしくて、クラスでもずば抜けて明るい そんなりうらが、病気だなんて信じられなかった
りうらは話を続ける。 移植が必要で、手術を行わなければ完治は難しい。
でも、りうらの体質的に移植をしても体が拒否してしまい 手術が出来ないらしい。
移植が必要なのに、それが出来ない。 つまり、完治は難しい。
なら…
りうらは少し動きを止めて、話さなくなる。 まずいことを言ってしまった、そう思って 言葉を続ける。
そう言ったあと、りうらは口を開く。
想像していたよりも、ずっと重い話で 目を丸くする。
微笑んで言うりうらはどこか寂しげに見えて、 言葉を詰まらせる。
断る理由は特になかった。 どうして俺に頼んだのか気になって仕方なかった。
ここで断ったら、後悔する気がした。