るなには昔、1人だけ友達がいた
1人だけの友達とその子と集めたお花たち
みんなには”変なの”って言われたけど
るなにはそれさえあれば幸せだった
ただ……
その子、死んじゃったんだ
その日はすごく暑い夏の日で
るなはとにかく早く家に帰りたかった
言いたいことがあると言ったその子に
暑いからまた今度でいいかな?と言って帰ってしまった
その子はるなを止めなかったけど
すごく悲しそうな顔をしてた
それがその子との最後のお話し
その子は自分の寿命について話そうとしたんだって
その子が死んだって聞かされた時
るなは夢か疑った
でも、何度もほっぺをつねってみても
自分を叩いてみても、全部痛みを感じる
夢じゃない
あの子は死んだんだ
あの日を最後に、死んでしまったんだ
その後はあんまり覚えてない
いつの間にか車に轢かれて病院にいた
お父さんもお母さんも、るなのことを心配してくれた
るな
るな父
るな母
るな
るな父
るな母
るな
るな
るな父
るな父
るな母
るな母
るな
るな
るな父
るな
るな
思い出せない
るな母
るな母
るな
るな父
るな母
るな
〜夜〜
るな父
るな母
るな
るな父
るな母
るな
ガラガラガラ
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
るな
涙が止まらなかった
人はいつか死ぬって知ってるけど……
ごめん、ごめんなさい
るながあの時また今度なんて言わなかったら……
もっとあの子とお話できたかもしれないのに
全部、るなのせいだ
るなのせいであの子は死んだんだ
ごめんなさい、ごめんなさい
誰にも聞こえないような声でただただ泣いた
今度でいいなんて言ってごめんなさい
次があるなんて思ってごめんなさい
あの子の話聞かなくてごめんなさい
車見てなくてごめんなさい
お父さんたちに迷惑かけてごめんなさい
あの子の名前思い出せなくてごめんなさい
あの子の声思い出せなくてごめんなさい
あの子の顔思い出せなくてごめんなさい
あの子のこと思い出せなくてごめんなさい
るな
その日は泣いて泣いて泣きじゃくった
そしたらいつの間にか、朝になってた
朝になったら看護師さんが来て
昼になったらお母さんたちが来て
夕方にはクラスの子が来て
みんな、あの子のことを忘れていた
いや___
忘れたことにしてる
るなのせい
そうだ、全部
全部
るなのせいでいい