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あるところに、仲良しな女の子と男の子がいました。

女の子は男の子のことが大好きで、いつも男の子の家に遊びに行っては男の子に話しかけたり、見守ったりしていました。

男の子は女の子が家に来るのをいつも楽しみにしていました。

女の子がたくさん話してくれるのも、勉強や昼寝を見守ってくれるのも、大好きでした。

女の子

もうそろそろ帰らなきゃ!

女の子

また来るね、ばいばい!

男の子

うん!ばいばい!

男の子

…1人になっちゃった

男の子

またこれでも読もうかな

男の子はそばにある棚から1冊の本を取り出しました。

…『金色の涙』

男の子

この世にはたった1人だけ金色の涙を流す少女がいる…

男の子

その涙に触れると願いが1つだけ叶う、か…

男の子

早くこの少女を見つけたいな…

✳ ✳ ✳

女の子

あーあ、またあの本読んでたな…

女の子

少女か…そんなの本当か分かんないし、もっと私とおしゃべりして欲しい…

女の子

…いやいや、何考えてるんだ!「早く見つかるといいね!」って思わなきゃ!嫌われたくない…!

とは思っていたものの、他の女の子のことばかり考えている男の子が何となく嫌で、いつからか女の子は男の子から距離を置いてしまっていました。

男の子

なんで最近来てくれないの…?

女の子

ごめんね…忙しくて

女の子

そういえば、高校一緒だね!嬉しい!

男の子

そうだね!ちょっと早いけど、入学おめでとうー!

女の子

おめでとうー!

男の子

高校でもよろしくね!

女の子

うん!

✳ ✳ ✳

それは、ある日雲1つない綺麗な夕方の空から太陽が去ろうとしていたときのことでした。

ピンポーン

女の子

…はい…?

女の子

え!!なんで!

男の子

急に家まで来てごめん…!

男の子

久しぶり!

女の子

久しぶり…!!!

女の子の家の玄関に入って男の子は糸目になってうふ、と可愛らしく笑いました。

女の子

どうしたの?

男の子

僕、ずっと探してた女の子がいてね、その子が流す金色の涙に触ったら願いが1つ叶うんだって。

男の子

で、その女の子がみつかったかもしれないんだ!

男の子

少し遠いかもしれないんだけど、よかったら一緒に来ない?

男の子

明日行こうと思ってるんだけど…

女の子は黙って男の子の話を聞いていました。

久しぶりに男の子と話したのは嬉しかったけれど、またあの少女のことだったから。

女の子はずっと寂しかったのです。

男の子

もう何年探してたんだろう、会ったらなんて言えばいいのかな、場所もあってるか分かんないし…

女の子

…ねえ…、

男の子

うん?

女の子

女の子、見つかってよかったね。

女の子

私はずっとその女の子探してたこと知ってたよ。

女の子

でも私行かない、誘ってくれてありがとう

急に冷たくなって背を向けた女の子に、男の子は動揺して、女の子の手を咄嗟に掴みました。

男の子

………?

女の子

…手、離して

男の子

…なんで

女の子

なんでも

男の子

…いやだ

女の子

ずっとその女の子に会いたかったんでしょ。私は…ずっとあなたに会いたかったのに

男の子

…え…?

女の子

いつもその子のことしか考えてなくて、私がいてもその子のこと書いてた本ずっと見てたのきづいてたんだよ?

女の子

私は……

女の子

あなたのこと…ずっと…好きなのに…

女の子は顔だけ男の子の方を向きました。

男の子は目を丸くして驚いて、女の子の手を離しました。

男の子

…ずっと寂しい思いさせてごめんね…

女の子は何も言わずにただ涙を流していました。

男の子

…僕もきみのことずっと大好き。

男の子

僕はきみとずっとずっと、一緒にいたい

言い終えると、男の子は涙に濡れた女の子の唇に、自分の唇をそっと重ねました。

女の子

…金色の涙を流す女の子のことが好きなんじゃないの…?

男の子

うん、好きだよ

女の子

じゃあなんで…私…

男の子は、女の子が流した涙にそっと触れて、女の子にそれを見せてあげました。

女の子

え…………

その涙は

金色でした。

女の子

…知ってたの?

男の子

ううん、僕も本当にびっくりした!

男の子

まさか僕がずっと探してた子がきみだったなんて…

女の子

…なんてお願いするの?

男の子

もうお願いしたよ

女の子

え?

男の子

「きみとずっとずっと一緒にいたい」

女の子ははっとしました。

ぽろぽろ涙を流しながら女の子は男の子に抱きつきました。

女の子

…だ、いす、き

男の子

…僕も

男の子は優しく女の子を包みました。

その女の子と男の子は、ずっとずっと一緒に、幸せに暮らしましたとさ。

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