ある日 、 ふしぎな男の子にあった .
—— ど ち ら さ ま ?
学校の屋上で綺麗な夕焼けを眺めていると 背後からそう声かけられて
ふと視線を移すと
彼がいた 。
同い年くらいなのに 、 敬語使ってて
ふしぎだった
とか、
名前を聞いても
なんて . おかしなことを言っていて
少しだけ不安になった 。
ベンチから ゆっくり立ち上がると 制服の袖を掴まれたような気がした
不慣れなタメ口で優しく声掛けて
そして、少しでも安心したような 彼女の表情を見た後に屋上のドアに手をかける
慣れないことをしてしまった … なんて 後悔したけど
アノ少女が微笑む姿を見たら
心臓が ぐ ッッ … と締まって
人の少ない道で . 1人でそう呟く
本人の前で言えばよかったと思うけど
言ってしまったら 俺の顔はタコみたいに赤くなりそう
…ひたすら 、本人に言えなかったことを
帰り道に1人で呟き続けた
周りから見れば多分 … 不審者だ 。
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
父
これが日課で . 父と2人暮らしで 辛い、なんてことはない
あのとき 、名前を言わなかったのは
言ってしまえば . 忘れられなくなって
もしあの少女が 俺に想いを寄せてたら
苦しむだろうから 。
それがいやで 交通事故で亡くなった母さんみたいになってほしくなくて 。
母
母
幼い伊織
忘れられないくらいの苦しみを 幼いながらにして感じて、
それから … ずっと根に持つようになって
初対面の人には あまり名前を言わなくなった
元気がないのを察したのか 彼女は笑わせようとして 、
そんな彼女は . 俺以外にも 仲良くできる良い人がいるんじゃないか…なんて
どこかで心配していた
離れられてはならない存在な気がする
なんともまあ、少し暴力的だけど
こっちからしても 彼女は離れられない存在だ 。
コメント
3件
いやもう神
朝倉さん、底抜けに明るい子というか一方的に話しては去っていく春先に吹く強風のようなものだと思ってたんだけど意外とちゃんと不安に思ってたりして思ったより普通の子なのかもしれない、と思ったこの頃。 お父さんもどれだけお酒に酔ってても息子に酷いこと言ったりしないのはやはり奥さんへの愛情が深いから忘れ形見を愛おしく思えるのだろうか