「もふじゃぱ×おおかみは赤ずきんに恋をした」完結

急いで森の中に向かって足を動かす

「パァン」猟銃の音が響く

会いたかったんだ

ついた時には遅かった

触れたかったんだ…

数人の大人に囲まれた中にいる彼

触れたかったんだ…

話したかったんだ…

"本当"は

俺なんかが倒れて泣き倒れてしまうような優しいじゃっぴ

その泣いてる姿すらも可愛い彼

そんな彼と結ばれる運命を夢に見た

神にも願った

血だらけで倒れている彼

立場が…違うなら…

悲しいくらい

赤ずきんと

狼でなければ…

大人に連れられていくじゃっぴ

声が聞こえた

大人達の手を振りほどいて近寄る

近寄ってきた彼を抱きしめたい

その涙を拭いたい

だけども伸ばした腕が震える

伸ばされた手をとる

抱きしめようと引き寄せる

引き寄せられそうなのをなんとか止める

どう足掻いたって

願ったって

爪も牙も消えない

彼は笑っていた

泣きすぎて目が赤くなった彼の涙を拭う

大人に無理矢理腕を引っ張られる

渋々彼を木の下に連れていく

そのまま連れていく彼

必ず…会いに行くから…

「愛してるよ。愛おしい人」

3日後

彼が亡くなったという話を聞いた

彼のお墓は勿論建てられなかった

だから…お願いした

俺の墓と一緒に入れてくださいって

厳しそうだが了承してくれた

ふと、涙が込み上げた

そんな俺を慰めるように優しい風が俺の体を包んだ

？？年後…

森の中

必然的に出会った彼

偶然彼とは同じ学校だった

手を繋いで一緒に走る道

耳も牙も尻尾もない

こんな平和な世界で…君と…

そっと振り向いた彼の唇に口付ける

今日も楽しい一日が始まった