湊
奈々
深夜、私達は会う。
誰もいない、左右もわからない位の暗闇でふたりきり。 私は、この暗闇が、大好きだった。
奈々
湊
奈々
奈々は、私と同じ高校生。 暗くて顔は見えないけど、とってもいい子。
ある夜、散歩していたら話しかけられた。 それがきっかけで知り合えた、最初の友達。
奈々
湊
湊
奈々
湊
奈々
学校に通わなくなった理由は簡単。 私がとあることをして、いじめられたから。
不登校になって、人目を気にする様になった。 光が怖くて、声もだせなくなって。
でも、奈々と出会って変わった。 奈々のお陰で、私は人間らしさを取り戻せてきてる。
湊
奈々
奈々
急に黙って、手を絡み合わせてくる。 手を伸ばして、頬を撫でてくる。
私は、奈々への恐怖と、謎のドキドキで、何が何だか分からなくなった。
奈々
湊
奈々
奈々がパッと手を離す。
湊
湊
湊
奈々
湊
半ば強引に近づく。 クラスメイトだったら、知りたいことがある。
奈々
湊
さっきよりも近くに寄る。 少し、目元が見えた。
あと少しで、誰かわかる。
でもそれは、風に邪魔されてしまった。
湊
奈々
湊
奈々
湊
冷たい風に混ざって走る。 本格的に寒くなってきた。
湊
夕暮れに近づく頃、先生に言って教室に入らせてもらった。 部活に行っているのか、誰もいない。
湊
名簿が焼ける位に凝視する。
昨日、一瞬だけ見えた顔は…
湊
湊
湊
奈々は、いじめの主犯格であり、友達『だった』人だった。
『篠崎 波』。 無口だった私を変えてくれた人。 私がいじめられてから、そっち側に立場を変え、いじめてきた人。
湊
湊
今日はいつもより早めに公園に着いた。 …奈々は、いた。
湊
奈々
湊
奈々
湊
奈々
意外とあっさり承諾された。 近づくなって言ってたのに。
奈々
湊
奈々
湊
奈々
月明かりが、スポットライトの様に芝の上に差し込む。
ここに来て。と言わんばかりに。
奈々
湊
奈々
湊
目を瞑り、手を引かれる方向へついて行く。
もし、奈々が波なら。私は…もう一度。
奈々
目を、少しずつ開ける。
月明かりが眩しくて、よく見えない。 でも。
奈々
確かに、波だ。
奈々
手が震えて、息が上がる。
奈々
頬が赤くなる。
これは、波。認識するたび、心が燃え上がる。
湊
奈々
私の友達で、
私が、告白した人。 そのせいで、いじめが起きたんだ。
湊
奈々
抱きついた腕が、離れない。
奈々
奈々
奈々
奈々
湊
奈々
月明かりのライトから逃げて、暗闇に溶ける。
手を絡ませて、唇を合わせた。
奈々
息継ぎをして、もう一度合わせる。
奈々
背中が、暖かくなった。
口は、波の血でいっぱい。
湊
奈々
感覚がなくなってくる。 ふたりが、とける様にかんじる。
湊
こうふんと、かいらくと、いたみと、うれしさ。
湊