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おかえり

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おかえり

1 - おかえり

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2020年08月26日

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サトジク

なんか疲れましたね。なんでしょうこの部屋は

サトジク。四方が白い壁で囲まれた部屋に入る

サトジク

ここは何の音も入って来ませんね

叩いても衝撃が吸収され、大声を出しても自分の声すら届かない

サトジク

厄介な場所に入ってしまいました

言葉とは裏腹に落ち着いているサトジク

サトジク

まあいいでしょう。ここのところ少し疲れましたからここで休むとしましょう

その部屋にはベッドもあり、食事もあった

サトジク

ここは最適ですね。ずっとここにいましょうか

この部屋がいつからあり、なぜここにあるのか分からない。

実際疲れた者がこの部屋にたどり着いた事は過去にもあった

しかしこの部屋から出る事ができた者はいなかった

サトジク

おかしいですね。昨日見た時にはこんな食材無かったのに

どんな原理かは分からないが食材が補充されていた

サトジク

あれ?これは昨日欲しいと思っていた本ですね

食材だけでなく新しい本やゲーム機が次々と部屋に入り込んだ 。そしてそれは毎日続いた

サトジク

なるほど、ここは私が欲しいと思う物が勝手に届けられる部屋なんですね

サトジク

寝たいだけ寝れて食べたいだけ食べれる。お金が減る事もないし誰かに怒られる事も、誰かと衝突する事もない。書きたい小説が書ける。まさに竜宮城ですやん

読書も執筆も捗った。最初のうちは。しかし無限の時間と何からにも追われない生活は虚無感しか生まなかった

サトジク

誰かに読んで欲しい。誰かと話したい。

サトジク

ここから…出たい…

全てが用意され欲求が満たされる部屋は

孤独だ

最初はここから出たいと思っていたサトジクだったがそのうち「出ても自分の居場所がないのではないか」と思う様になり、出たいとすら思えなくなった

その想いが、壁を強固にした

攻め込まれるスープ公国

メト

各隊、戦況を教えろ!

笑いもち

マジーです。ウォールイースト突破されるのも時間の問題〜

ぽっぴー

ひじょーにマジーです。ウォールウエスト、援軍要請します

ミリィ

ウォールノース、なんとか持ち堪えてるけどみんなの士気があがってへん

赤服オアフ

ウォールサウス、敵が多すぎてさばききれない!

どこも戦況は厳しかった。相手が多いと言う事もあるが戦闘員が戦闘に集中しきれていない

みんなスープ公国を守りたいと思いつつも力を出し切れずにいた

メト

スープ女王。まずいです。士気を上げるためにスープサブレ配りましょう

スープ

分かりました。みなさん頑張って下さい

サブレが配られる。各隊雄叫びを上げた。士気が上がり劣勢は解消された

しかし長くは続かなかった。どの隊もすぐに攻め込まれた

スープ

メト司令官、金星に援軍を出しましょう

スープ女王と金星事務総長の右腕の娘である冬はマブダチ。そのためスープ公国のピンチには駆けつけてくれる

が、電波が悪く応援要請は届かなかった

スープ

あかん、あかんやつやん

メト

いや、女王「あかん」とか言わんやん

メト

スープサブレでも士気が上がらねぇ。金星とも連絡つかん。
士気を上げんと国が滅びる…

栄治

士気を上げる方法、一つだけあるで

ザー神

なんかさ、どの漫画にもあるよね。対して強くもない、めちゃくちゃ頭が切れる訳でもない。だけど何故か重要なキャラで国を守るやつ

楓神

いるいる。「コイツじゃなくてもいいじゃん」って思うのにそいつじゃないとなぜか国を守れないやつね

栄治

自分らがいざその立場になると分かるもんやね。サトジクがそれってのが

司令官メトはみんなの士気を上げる可能性がある男、「サトジク」の捜索願いを出した。

メト

栄治、ザー神、楓神、頼んだ

三人は2分でサトジクの居場所を突き止めた

ザー神

サトジクの考えることはお見通しよ

楓神

一瞬だったわね

サトジクは四方を白い壁で覆われた空間にいた。空間は4畳半程度で中は見えない。それでもみんなサトジクがそこにいるのが分かった

が、そこには入口がない。どうやって入り込んだのか、中でどう過ごしているのか分からない。分かるのはここにサトジクがいると言う事だけである

栄治

どうやって入ればいいか分からない。厄介な事になった

ザー神

そうでもないわ

ザー神はどこから取り出したのか身体の倍ほどもするデスサイズ(死神の大鎌)を取り出し壁に向かって振り下ろした

華奢な体からは想像つかないくらいのえげつない速度で壁に突き刺さる。が、突き刺さるだけで壁はびくともしない

楓神

私がやる

楓神は息を大きく吐き、壁を睨み身体を大きく旋回させ後ろ回し蹴りを浴びせた

凹みはするが壁は衝撃を吸収し元の形へと戻っていった

二人は何度も壁を攻撃した。ザー神は手から、楓神は足から血が流れていた

ザー神

協力するしかないみたいね

楓神

全力で打ち込みましょう

ザー神がデスサイズを振り下ろし、壁に刃先をめり込ませた。楓神はめり込ませた刃の逆側を勢いよく蹴った

今までびくともしなかった壁からかけらが落ち、中と外を結ぶ微かな穴が生じた

ザー神

これだけやって、こんなもん?

楓神

もう、足上がらない

栄治

いや、穴ができたらもう大丈夫。二人は休んでて

栄治は穴に向かってゆっくり話し始めた。長いようであり、短い様でもあった。

しばらくたち、壁が

崩壊した

サトジクの姿を見たザー神と楓神は緊張の糸が切れ、深い眠りへと着地した

栄治

サトジク、これでみんなに「元気ですかー」って言ってみて

それはスープ公国中に響かせることの出来る拡張機だった

サトジク

「ん〜みなさん。元気ですか〜?」(海関係漫画のメガネをかけたお人好し婿風)

メト

これは

笑いもち

この声は!

ぽっぴー

このアホっぽい話し方は

ミリィ

一人しかおらんな

赤服オアフ

またせやがって

スープ

うふふ

サトジクの声を聞いた国民は

士気を上げ盛り返した。魔の手からスープ公国を守り抜いた

後日談

栄治に「サトジクと何を話したのか?」と問いかけても「忘れた」としか帰ってこない

細かく聞くのは無粋なのかもしれない。いや、もしかしたら口にするのも恥ずかしいくらいのどうしようもない話をしていたのかもしれない

いずれにせよサトジクには「自分の居場所は確実にある」と言うのが伝わったのだろう

そしてサトジクの声を聞いたことでみんな同じ思いを抱いたのかもしれない

スープ

何はともあれ、スープ公国がバッタの大群に倒されなくて良かった!うふふ

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