テラーノベル
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生がひとつ、またひとつと終わっていく。 神々に見届けられた純潔な魂は、また新たな輪廻へと向かう。 見届けられなかった魂は──。
薄手の服を着る者が多くなり、もうそんな時期かと思う。 『観測者』の季節感とはその程度のものだ。
歯車ばかりの空間に、一人の青年がぽつりと立っている。 ネージュ・アルタイル。世の顛末を見届けることを命じられた『観測者』だ。
ベガ・ルプランタ
ベガ・ルプランタ
静かに現世を見下ろしているネージュを見て、どこからかひょっこりと現れたベガはそう問いかけた。その動きに合わせ、魔女帽の先が僅かに揺れる。
ネージュ・アルタイル
ネージュ・アルタイル
ベガ・ルプランタ
ベガ・ルプランタ
「夏が好きなの?」なんて言いながらくすりと笑うベガ。
──違う。 ネージュにとって、初夏というのは忘れたくても忘れられない記憶。脳に鮮明に焼き付いたものの一部なのだ。
それすらも、目の前の彼女は知らない。 いや、覚えていない。
風邪が段々と湿り気を帯びてきて、そろそろ夏だねだなんて話しながら海沿いの道を歩く。
潮気を含んだ海の風は、夏前の陽に照りつけられた体には涼しくて、暑くなっていくにつれて海がよく見えるここを歩くことが多くなっていった。
今日も、隣で君は笑っている。
『 』
『 』
『 』
『 』
衣替えでブラウスが半袖になってもまだ暑いのか、たまたま手にしていた本で顔を扇いでいる。一方の自分は、日傘を差しながらハンディファンのスイッチを入れて手に持っていた。
『 』は羨ましそうにハンディファンを見つめてくる。
『 』
『 』
『 』
『 』
『 』
親が日傘なんて買わなくたって生きていける、と反対してるという話は前にも聞いたことがある。どうやら『 』の親は厳しいらしい。
それに熱中症の危険だってある。今だって、『 』は日向を避けて日陰の方を歩いていた。木々の真下だからか、時折飛んでくる虫を鬱陶しそうに避けながら。
その様子を見かねて、ハンディファンをそっちの方に向けてみた。
『 』
しばらくハンディファンの羽根から送られてくる風を受けて気持ちよさそうにしていたが、ふと顔を上げてこちらを見てきた。
『 』
『 』
何かと思えば、突拍子もない質問を投げかけられた。よくあることだから、大して驚きはしないけども。
海を見ながら少しだけ真剣に考えてみた。 ……別に、文芸部に入ってから後悔したことはほとんどない。自分はたまたま入ったけど、本好きから色々なことを教えてもらったし、新しい仲間もできた。
ただ、ひとつだけならある。自分が後悔していること。 毎日のように、『 』を文芸部に誘っておけばよかったと思う。 ──特にあの日からは、そう思うことが多くなった。
『 』
『 』
……そうだ。思い返せば、この時はまだ普通だった。 当然と言えば当然なのかもしれない。だって、まだ部活に入ったばかりの時のことだったから。
それで言えば、人との対話があまり得意ではなかった自分が、数ヶ月であんなにも打ち解けられたのは奇跡に近かったのかもしれない。
あぁ。
あんなことが無ければ。 せめて、あの時自分が止められていたならば。
今も君は『 』で居られたはずなのに。
『 』
『冬羽』
『冬羽』
『冬羽』
コメント
10件
え???初夏青春両片想いは精神に良いので感謝……😭😭🙏🙏🙏 真宵さんの書く儚げエモ全面押し出し小説健康に良すぎます💘💘💘愛🫶🫶🫶
ひゃーーー!!!!なんか投稿されてた!!見るの遅れた!!好きです 文芸部!?良い(現役文芸部) 地の文が美しくて綺麗で好きです 透明感と言うかなんというか……!!儚げ………!?
良…………………🪦 両片思い…やばい、ありがとうございます(消滅)