いつかの時代、どこかの世界。天使達によってほぼ壊滅状態になったという世界があった。
強大な天使達の力を前にして、その世界の人々は成す術もなく、その世界の主要都市は次々と滅ぼされていった……。
しかし、人類はいつまでも指をくわえて自分達の世界が滅ぼされていくのをただ眺めているだけ、というわけでもなかった。
ある時、美しい青空を彷彿とさせる色の髪を持つ、一人の少年が、大勢の軍隊と共に、天使達に立ち向かう。
その少年の名前はアウロと言った。
少年は人間ではなかった。多くの学者達の知恵と知識によって対天使用の兵器として造られた、人造人間であった。
少年は毎日のように戦った。どれだけ傷つこうとも、守るべき人々のために。
やがて一人の天使が、アウロの前に立ちはだかる。
その天使の名前はラズル。死を司る天使アズラエルの一人であった。
やがて二人は数奇な運命を辿ることとなる。
アウロは自身に秘められた秘密を知ってからというもの、また、多くの人々、ラズルと関わっていく内に、天使達との戦いをどうにか停戦へと持ち出せないか、思考を巡らせることとなる。
一方のラズルも、アウロと関わっていく内に、また自身の過去を振り返る内に、自らが信仰していた唯一神に疑問を抱き始める。
アウロとラズル。お互いがお互いに歩み寄ろうとしていた。
しかし結局のところ。2人がついに理解しあえることはなかった。
アウロはラズル率いる天使達によって、まさに死の淵まで追い詰められることとなる。
しかし、すんでのところでアウロは天使達を道連れとすべく、自らを犠牲にし、自爆を試みる。
ラズルと天使達は、アウロの自爆から辛うじて逃れることはできたが、それでもかなりの痛手を受けた。
このとき、奇妙な出来事が起きた。自爆したアウロの亡骸は、どこを探しても見つけることができなかったのだ。
アウロ亡き後、天使達も痛手を受けたので、その世界を滅ぼすことは不可能と思われた。だが、結局のところ唯一神の雷(いかずち)によって、その世界は一瞬にして炎の海と化した。
それから百年の時が過ぎようとした……。
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