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だいずの部屋
16
ゆい
205
28
ざくと
5年前の夏休み明け、僕はこういった。
どうしようもなく、冷たく突き放すように。
昔、なぜ俺がそんなことを言ったのか、今はもう鮮明に思い出せない。
別に、思い出す価値もないとも思っている。
それどころではないのだ。 週休二日制だが残業まみれで仕事を押し付けられ、会社では地位が高いとはお世辞にも言えない。
ざくと
ため息を着いた僕は、タバコを買うためにコンビニに来ていた。
店員
店員が怠そうな顔をしているのが目に入る。
現在の時刻は24時を周りかけているからだ。 夜中に客が来るのが珍しいのだろうか。
しかし、こういうのって普通、 夜勤の時は暇を持て余すから、客が来ると息抜きとかにはならないのだろうか。
見た感じ、若めの女性だ。 バイトの制服を着こなしているが、カウンターの下にスマホを隠しているのが分かってしまう。
店員
店員が怪訝そうに聞いてきた。
見すぎていたのだ。昔からの悪い癖がまだ残っている。
ざくと
慌てて否定する僕を見て、余計に怠そうな顔になってしまった。
店員
ざくと
店員は、タバコを棚から一つ取り、 カウンターに置いた。
店員
ざくと
1000円を出した。 高くなったものだ。 などと言うと若者は嫌悪するらしい。
店員
早く帰れと言わんばかりの社交辞令だ。 あまりやる気がないのだろうか。
ざくと
手渡してきたレシートとお釣りを手に取 り、コンビニから出た。
コンビニの前でタバコをひとつ吸った。
ざくと
なぜこうなってしまったのだろうか。 毎日毎日働いて、 週末の休みは押し付けられた書類を ギリギリで終わらせる。
今もこうしてる場合ではないということ を理解している、つもりなのだ。
冷たい風が吹いた
ざくと
小さく身震いし、早く帰ろうと思った。 くしゃみの余韻が視界を揺らす。
その時、風にスカートがふわりと揺れ、前髪を抑えるように手を当てている少女が見えた。
ざくと
目を擦り、焦点があったと同時にその少女は消えた。
特に気にせず車の鍵を押した。 ピッという音が鳴り、車に乗った。
ざくと
車に乗り3分くらい走らせたところで、 またひとつため息をついた。 仕事に就き、働くようになってから 彼女いない歴と、皺、ため息の数が 増えている。
自分が住んでいるマンションの駐車場に 車を停め、出て鍵を閉めた。
車の鍵をぽっけに入れ、 階段を登っている途中で 躓いて膝を強打した。
ゴンッ
ざくと
視界が揺らぐ、 膝から血が出ていそうだ。
膝を抑えてどうしようもなくさすった。 痛みに悶える感覚は久しぶりだ。
前に誰かがいる、 心配そうな表情をしている。
恥ずかしい
みふゆ
大丈夫に見えるのか。
そんな身の程知らずな感想がよぎった。
みふゆ
ざくと
膝の痛みで頭が回らない。
しかし、慌てて電話をかけている様子が妙に目に焼き付いた。
気付けば涙が零れていた。
ざくと
僕は痛みで涙が出たのだと思った。 それ以外思い当たる節がないからだ。
女性がちらりと涙を流している 僕を見て、もっと慌てふためく。
みふゆ
泣いていることは言わなかった。 尊厳を守るためなのだろうか。
ざくと
仕事がある。 まだ残ってる、やらないと。 救急車に運ばれでもしたら会社に迷惑を かけ…る。
と、考えている頃には運ばれていた。 思考が極端に遅い。時間が長く感じた。
や███起き██ █っ█く、█ぐ寝██うん███ッ✩
何回も聞いたことがあるような声が 聞こえた気がした。
救急隊員
ざくと
天井をぼんやり見ている俺は、 会社の心配をしていた。経営に対しての心配ではなく、これ以上虐げられると 今度こそ耐えられないかもしれない。
救急隊員
ナースコールを押し、救急隊員は扉を開けて出ていった。
僕はまるで、全てを諦めた人間の ように見えているだろう。
その時、また扉が開く音がした。 救急隊員ではない焦ったような足音。
昨日の助けてくれた女性だった。 思わず目を見開き力が入った。
みふゆ
ざくと
みふゆ
ざくと
俺は微笑みかけた。 見知らぬ女性とは思えないほど 社交的な方だと思った。
みふゆ
ざくと
みふゆ
彼女は僕の名前を反芻するように呟き、 名前を答えた。
ざくと
彼女はふっと笑って、優しく返した。
みふゆ
そっか。俺と同じマンションなんだ。
???
僕は一瞬、彼女の隣にもう1人、 女性が見えた。
気にしないようにした。 僕はいつも幻覚のようなものを見る。 幽霊といえば幽霊なのかも知れない。
なぜこのような幻覚を見るのか考えようとしないのは、意味がないからだ。
見えるものは、人間や、包丁など、責め立てるような幻覚と、時折ノートやえんぴつ、スマホなどの幻覚も見るからだ。
統一性がないというか、 いや、なんだろう。
あるにはあるのかもしれない。
みふゆ
ざくと
みふゆ
ざくと
みふゆ
慰め方が下手だ。 僕がいなくても変わらない。 妙に刺さった。
みふゆ
ざくと
ざくと
ざくと
ざわざわ
俺の発言を他所にノートを 書いている女の子がいる。
???
その女の子がえんぴつを落とし
た。
僕とみふゆは談笑していた。
みふゆ
ざくと
その時、スマホが通知を表示した。
スマホを取って確認した。が、 なにも来ていなかった。未読メールも、迷惑メールフォルダにも。
幻覚だ。タチの悪い部類の。
何がしたいのだろうか、僕の脳みそは 僕に嫌がらせをしているのだろうか。
ざくと
ざくと
ざくと
壁を殴った。ドンと音と共に鈍痛が 拳を走る。
ざくと
ざくと
頭に酷い痛みが走った。 額に汗が浮かび、 先程までの冷静な面影は無くなる。
すみか
コメント
1件
うわあ、1話からもう引き込まれちゃったよ…!😭💦 ざくさんの、仕事に疲れて会社にも自分にも冷たくなっちゃってるところ、読んでて胸がぎゅっとなった。 みふゆさんに助けられたとき、涙が止まらなくなっちゃうシーン、すごくリアルで「そうだよね」って共感しちゃった。幻覚みたいなのも出てくるし、過去になにかがあったんだろうなあ… これは続きが気になりすぎる展開…!次話も絶対読みたいです🌟