リクエスト『察してよ。』

椅子から立ち上がったジェルくんは、大声でそう告げた。

そのあまりのうるささに、皆が顔をしかめる。

そう言ったあと、ジェルくんは僕とさとみくんを交互に見た。

そして、るぅとくん、莉犬くん、なーくんを呼ぶ。

4人は少し離れた所にいるため、話している内容はあまり聞こえない。

それはさとみくんも同じなようで、僕のそばにやってきた。

同意して笑いかけると、さとみくんは頬を掻きながらチラリと見てきた。

やけに棒読みな返事が返ってきて、なんだろう、と思う。

少しキレ気味に返事してきたので、僕は少し焦った。

さっきから、僕は何かを間違えているのだろうか。

なんなんだコイツ、鈍感なのか？

僕がこんなにもアピールしているというのに、全く気づかないなんて！

その言葉を合図に、僕らの滅茶苦茶な王様ゲームが始まった。

『王様だーれだっ！』

『王様だーれだっ！』

グイッ

思わずこぼれた本音に、みんなは驚いてこちらを見た。

何とか空気を戻そうと、慌てて訂正する。

次々とおだてられ、もうやるしかない雰囲気になってきた。

こんなつもりじゃなかったけど…まぁいいか。

サラリとそう言う彼は、僕の髪の毛を手ですいた。

そして、抱き寄せる。

き、期待？

期待って、何を期待してるの…？

そう言って、僕の頬に軽くキスをした。

もう、心臓がドキドキしすぎて、痛いくらい。

そう言って、僕をもう一度強く抱きしめた。

周りからは、ひやかしの声が聞こえる。

かける言葉は様々だったけど、皆心から嬉しそうな顔で祝ってくれた。

少し恥ずかしい気持ちになりながらも、えへへ、と笑い返す。

チュッ

これからも、彼に悩まされそうです。

ーENDー