蓮花高校シリーズvol.1

サンタルチア…イタリアナポリ湾の海岸にある海。行った事はもちろんない。 そこは人生に1度は見なければ後悔する程美しいそうだ。

特進内でも学年内でも好かれている特進のリーダー格。新山千遥……入試の時も僕より下だったからか逆恨みが激しかった。

鋏の刃のごとく鋭く冷たい声で言い放ったその一言は重く耳に入った。

そして鋏野は新山に近付き、ニコリと笑ったと思えば、新山に何か耳打ちした。

躊躇っている河野さんの視線の先には やはり新山さん達がいた。

だって初めてだったから。 貴方の声はとても心地良いものだったから。 私は人でありながら人の声が嫌い。 だから声楽は音楽のジャンルで一番嫌い。 かなり苦労してきた。 聞けた曲は機械音声のみ。

河野さんが歌のワンフレーズを歌った瞬間、先生も新山を初めとするクラスメイト全員が

苦しみ出した。

でも、私は……

恍惚とした笑みでその声を聞いていた。 きっと、他人から聞けば醜くノイズのかかった変な声。人じゃない声。

分からなかった。 歌を美しいと思うのは久々で､､どうしたって嬉しかった。

他の人は倒れているのに… どうして、どうして…コイツ【鋏野恋雨】は意識を保っている？？？

嬉しかったんだ。 僕は今まで…… 醜い、陰湿、メガネ、のろま…延々と悪口、陰口、なんでも言われた。 きっと自分より下がいる事に安堵して言えるんだろう。

僕が"普通"で居られたのなら

私が"普通"で居られたのなら

こんな歪な関係にならなかったのかもしれない。