敦
太宰
探偵社に入ってから、よく 「君、足引っ張ってるね」 「もうちょっと頑張れない?」
と、依頼者によく 心無い言葉を言われていた。
最初は辛かった。 悲しかった。 認めて欲しかった。
そんな事を思っているうちに 自傷行為を始めた。
初めは血も出ない程の 浅い傷。 怖かった。
でも最近になると 何も痛みを感じなくて 血を垂れ流すようになった
敦
……ん、
鏡花
敦、大丈夫?
敦
え?あ、鏡花ちゃん。おはよう
鏡花
……
敦
ぼ、僕の顔になにか着いてるかな…?
鏡花
敦、熱ある
敦
え?
鏡花
体温計持ってくるから……
敦
え、あ!鏡花ちゃ……あ、行っちゃった……
鏡花
はい、これ
敦
あ、ありがと……
ピピピッ 37.4
気づかなかった。 微熱があったなんて
敦
あ……
鏡花
……やっぱり
鏡花
私探偵社行ってくるから敦は寝てて
鏡花
あ、朝ごはんは置いてる
敦
ありがとう、鏡花ちゃん
鏡花ちゃんは優しい。
毎日朝ごはんを作ってくれるし、 僕の体調もいつも伺ってる
こんな僕を、見捨てないでくれる。
敦
((寝とこう……
2時間後
敦
ん……っ
敦
((あ……そうだ、熱があって…
敦
((はぁ……昨日の傷、目立つかもなぁ……
敦
そうだ、体温計
ピピピッ 36.5
敦
……よし、探偵社にいける
迷惑もかけたくないし、 行くことにした。
敦
おはようございます
国木田
ん?敦、体調は大丈夫なのか?
敦
はい、熱も下がりましたし、寝ましたので!
国木田
そうか、無理はするなよ
敦
ご心配ありがとうございます!
太宰
……
敦
あ、太宰さん!おはようございます!
太宰
……あぁ、おはよう
太宰さんが僕の事を悲しそうな目で 見つめてくる
太宰
敦くん、少し医務室にこれる?
敦
え?あ、はい。行けますよ
太宰
じゃ、いこうか
そう言って太宰さんは 切ってない方の腕、右腕を掴んで 僕を連れていく。
敦
で……太宰さん、どうしたんですか?
太宰
あ、敦くんってストレートティー飲めたよね?
敦
あ、はい。飲めますよ
太宰
なら良かった。ちょっとまっててね
何故そんなことを聞くんだと思いながらも紅茶のいい香りに鼻を寄せる
太宰
はい、どうぞ
敦
あ……ありがとうございます
太宰
袖に血、しみてしまったね。洗ってくるよ。それまで私のコート羽織っていてくれるかい?
敦
え、あ……ありがとう、ございます
太宰
はい、どうぞ。
太宰さんは僕にコートを被せて シャツを洗いに行った。
やっぱり太宰はなんでもお見通しだ。
太宰が戻ってきて来るまで そわそわしていた。
太宰
さてと……あ、そうだ。お菓子持ってくる
敦
え?あ……行っちゃった、
太宰さんはいつもの笑顔を浮かべて お菓子を取りに行った
太宰
敦君、どれがいい?
敦
あ…じゃあ、これを……
太宰
じゃあ私はこれ~♪
太宰
全く……敦君も治療が雑だねぇ…丁寧にしないと傷が残るよ?
急に言われて固まってしまった。 バレた…というのが怖かったのだろうか
敦
((そんな……事、分かって…
太宰
かつて、私もしてたなぁ……笑。中也にバレそうになった時はどうなるかと思ったけど。笑
敦
え、?
太宰
君も知っている通り、私はいつも包帯を巻いているだろう?
敦
あ……はい。
太宰
スルスル……ッ
太宰さんが包帯を取った矢先に見えたのは……
敦
((傷と……痣、?
太宰
見ての通りだよ。今の所、敦君以外知らないかな?
敦
え……あ、えっと…
敦
その……痣は…
太宰
あぁ、これかい?昔親にやられた物だね
敦
お、親!?
太宰
もう、静かにしてくれるかい?ここは医務室なんだから
敦
あ……すいません、
敦
えっと……虐待、って事…ですか?
太宰
そうだね、一般的に言えばそうかも
太宰
とにかく、そんな消毒を乱暴にかけただけじゃ染みるだろう?ほら、おいで。目立たないようにしてあげるよ
敦
す、すいません、。
太宰
すいませんじゃなくてありがとうございますね〜
敦
……ありがとう、ございます、。
敦
えっと……太宰、さん。この事……皆さんには言わないで、欲しいです、
太宰
そんな事分かっているよ、笑
太宰
それより、体調は大丈夫なのかい?朝熱があったと聞いたけれど
敦
あ、はい。朝ごはん食べて寝たので!
太宰
そう、それは良かった
太宰
ん……、終わった
太宰
できるなら控えて欲しいけれど…また何かあったら話を聞くよ。
太宰
君じゃ治療もできないしね?笑
敦
あはは……本当にすいません、。
太宰
すいませんじゃなくてありがとう。わかった?
敦
ありがとうございます、
太宰さんの笑顔は、何処か暖かかった