声に導かれて。

結局、朝までおれは家に1人だった。

正直、1人の方が気が楽。

でも、さみしがり屋なんだよなぁ、 めんどくさいなぁ、おれ。

…小柳くんが？ うそだ、

やめて。

聞きたくないよ。

やだ、なんで。 なんで、貴方たちは。

おれから、ぜんぶ奪うの。

小柳くんに、 あんなこと思われてたなんて。

思ってなかった。

くるしいよ。

せっかく、はじめてともだちができたとおもってたのに。

おれの話にわらってくれて。 うれしかったなぁ。

やばい、泣きそうだ。

でも、これもぜんぶ自分のせいでしょ。

喋れなくてどんくさい、 おれのせいでしょ

こういうところだよね。きっと。

しょうがないよ。 大人になるまで、ひとりで、 がんばろう。

もう、おれの人生にともだちなんて

毎日、うまく笑えないし、 泣くのも下手で。

人と関わるのも下手で。

なんにもできないから、 こうなってるんだろ。

『そんなこと考えてる暇あるなら、 勉強しなさい！！』

あぁ。そうだったなぁ。 おれには勉強しかないもんなぁ。

がんばらなきゃ。 学校になにかを求めるだけ無駄なんだ。

はやく、学校に行こう。

まだ木曜日かぁ…。 いやまぁあと1日で休みなんだけどさぁ

ぽと

あ、あの人、ハンカチ落とした。

どうしよ、気付いてない。

お、おれが…

とんとん(肩を叩く)

すっ(ハンカチを差し出す)

え、あ、小柳くん。

友達。 小柳くん、おれのこと友達って 思ってくれてるんだ…。

うれしい、なぁ…

でも、ぜんぶうそなんでしょ。

ぺこ

こく、

なに、なんでそんな、 泣きそうな顔してるの。 泣きたいのはこっちだよ

ふるふる

こく、

こく、

泣きたくないのに、涙が出てくる。 いつもこんなんだ。 ごめんなさい。 気持ち悪いよね。 もう、いいから…。

こく。

小柳くんが謝ることじゃないよ

おれが悪い子だから、

あと、クラスの女の子に話すなって 言われたし、

ぁ、家にメモ帳忘れちゃった

こく、

ほんとうに、小柳くんは優しいなぁ。

おれみたいな気持ち悪い奴に、 気を遣ってくれるんだもんなぁ

ふりふり

なんでバレて、

ばさ、

そんなにおれに優しくしないで。 おれに優しくされる資格なんてないよ

これ、小柳くんの匂いする…。

安心する匂い。

ぎゅっ

こく、

こく、

こく、

ぐい～っ

ぎゅ、

こく、

ぽす、

ぱく

ずいっ

ぱく

まって、おれもしかして 今、めっちゃ恥ずかしいことした？

ぱく

こく、

こく、

がちゃ

(服をめくる)

おれみたいな人のこと、殴らないもん。

ぎゅ、

タップお疲れさまでした！！

どうだったでしょうか。 🐙🌟くん喋れてよかったね

では、また！次のお話で！