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昼下がりの森は、どこか現実から切り離されたように静かだった。
木々の間を抜ける風が葉を揺らし、遠くで鳥の羽ばたく音が響く。
悠翔
高い枝の上に建てられたツリーハウス。
小さな木の階段を上がると、木の香りがふわりと漂った。
木の上のツリーハウスは、思ったより広く、窓際には手作りの机と木の椅子が二脚。
床板には陽の光が模様のように差し込み、壁際の棚には古びた本がいくつか並んでいる。
陽葵
陽葵が感嘆したように呟く。
悠翔は頷き、木製の椅子を引いた。
悠翔
壁際の棚には、誰が集めたのか分からない数冊の本が並んでいる。
どれも表紙が擦れて、文字も読みにくくなっていたが、その中にひときわ分厚い本があった。
革の表紙はひび割れている。
悠翔
陽葵
悠翔
悠翔がそっとページを開く。
悠翔
悠翔
悠翔が目を細めながら読む。
陽葵は隣で首をかしげた。
陽葵
そのほか、ページには見慣れない文字や、森の地図のような図があった。
ツリーハウスの外では風が強まり、枝がざわめいた。
悠翔
悠翔
悠翔
悠翔
陽葵
そこから長い時間が経ち…
夕方が近づき、森の色が金から橙に変わり始めていた。
そのとき、下の方から声が聞こえた。
あらたろ
あらたろの元気な声が、森に響く。
Kanade
Kanadeの半ば呆れたような声が続く。
ツリーハウスの中には、夕日が差し込み、 読みかけの本の上で最後の一筋の光が静かに揺れていた。