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迎えた日曜日 。
まだ空もくらい 5時に起きてしまったこさめは 、 準備を済ませたあと 時間までひたすら 洗面所で 髪型を整えていた 。
なんの飾り気もないまっすぐな 毛先に 、もう何十分 櫛を通しているか 分からない 。
いくら梳いたところで とくに代わり映えもしないのに 、 一向にやめられない 。
なにか別のことをしようとしても 気がつけば 髪型が気になって 鏡の前に戻ってきてしまう 。
やっぱりヘアアレンジとか 、 したほうがいいかな ... 。
鏡に映るこさめの あまりの地味さにふと そんなことも思ったけど 、 別にヘアアレンジをしていようが なつくんは なにも思わない と 、すぐにそんな考えを 頭から追い出した 。
休日に待ち合わせをして ショッピングモールへ行く 、 という内容に ちょっとデートみを感じて なんだか緊張して しまっているけど 。
実際はなんのロマンティックさもない ただの お出かけで 当然なつくんのほうは そのメンタリティで 来るのだろうから 。
こさめだけが浮かれて お洒落なんてしていったら なに勘違いして 気合い入れてんだこいつ 、 とドン引きされるに 違いない 。
__ それに 、どうせこさめは
『 男だし 、そんな髪型 似合わないんじゃない ? 』
... うん 、やめよう 。
手に取りかけたヘアピンも お気に入りのイヤリングも置いて 、 ずっと手に握っていた 櫛も 、もとあった位置へと 戻した 。
先程まで ずっと 櫛を握っていたせいか 、 こさめの手のひらには 少し跡が残っていた 。
待ち合わせ場所に着いたのは 約束の5分程前だったけど 、 なつくんは既に到着していて 、 ベンチに座りながら スマホ画面を眺めていた 。
なつくんの姿を 見つけたとき 、 鼓動が耳で高い音を立てる 。
本当に 、いる 。なつくんが 。
しかも当然ながら 今日のなつくんは私服だ 。
グレーのシャツに 黒のジーンズ 。
腕には 時計がついていて 、 なんだか 普段の 制服姿より大人っぽい 。
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はじめて見るその姿に 思いのほか胸を揺さぶられていたら 、 こさめが声をかけるよりも先に なつくんがこちらに 気づいた 。
すっ とベンチから立ち上がり 、 こさめのほうへと歩いてくる 。
そうして 目の前に立った なつくんを改めて見た時 、 また心臓がなった 。
あれ 、と思う 。
__ なつくんって 、こんなにかっこよかったっけ 。
この数日は 結構な時間を一緒に過ごしてきたし 近くで顔を見る機会なんて 何度となくあった はずなのに 。
なぜだか今突然 そんなことを気づいたような気がして 動揺した 。
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心臓がすごい速さで鳴っている 。
なんだか 顔を見ていられなくて 視線を落としながら こさめが謝ると
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なつくんがさらっ と 返した言葉が妙に甘く聞こえて また動揺した 。
いや 、本当に さっき来たからさっき来たと 事実を述べた だけなのだろうけど 。
うっかり よくある デート冒頭のやり取りっぽく 聞こえてしまった自意識過剰さを 必死に頭から追い出しながら 、
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ぎこちなく 言葉を並べた 。
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少しお店を周り 、 軽く買い物をしたあとだった 。
今こうして 、 なつくんの横で歩いているんだ と 、考える度 どくどく と音を立てる 心臓を 必死に抑えながら こさめは口を開いた 。
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楽しそうななつくんの 表情を見て 、 自然と緩んでしまう 口元も 、なつくんには なにも思われてないといいな 。
ショッピングモールの2階に ゲームセンターはあった 。
ゲームセンターなんて 来るのは久しぶりだ 。
多分 、小学生の頃に 家族で来た時以来だ 。
雑多な光と音に囲まれた空間が ちょっと 物珍しくて 、 つい辺りをきょろきょろと 見渡していると 、
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なんとなく天井を見上げた こさめは 、そこで 黄色い声を上げていた 。
天井が 星空になっている 。
一面に広がる深い藍色の中 きらきらとした星々が いくつも散りばめられている 。
可愛い 。
めちゃくちゃ 。
こさめはすぐにスマホを取り出すと カメラを起動させた 。
上へと向けて シャッターを押す 。
角度を変えて何度か 。
どの角度が1番映えるんだろう 。
なんて考えながら 、 しばらく夢中で撮影を続けていたら
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不意に 横でぼそっと 呟く声がして 、 はっ と我に返った 。
しまった 、と思う 。
可愛さに興奮して 、 つかの間なつくんのことが 意識から消えていた 。
SNSが大嫌いななつくんの前で SNS用の写真を夢中で 撮っていたなんて 。
ざっ と顔から熱が引く 。
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と 、慌てて謝りながら こさめがなつくんのほうを 向き直すと 、
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てっきり呆れていると 思ったなつくんは 、 どこか感心したような顔で 天井を見上げていた 。
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確かに日頃から 意識して探している 。
なにかSNSに投稿できるようなものはないか 。
可愛いもの 、綺麗なもの 、 エモいもの 。
こさめのフォロワーさんに 受けそうなものには 、 いつもアンテナを張り巡らせている 。
... 多分そういうところが なつくんに言わせれば『 気持ち悪い 』 のだろう 。
常日頃から 、SNSのことばかり 考えてながら生活しているなんて 。
すぐに思い至って 、 こさめがしおしおと顔を伏せていると
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思いがけなく 柔らかな口調で なつくんが続けるので 、 こさめは驚いて なつくんの顔を見た 。
なつくんはまだ 、 天井を見上げたまま 続ける 。
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馬鹿にしているようには聞こえなかった 。
純粋に感心したような 、 酷く穏やかな口調だった 。
こさめはしばし言葉に詰まって なつくんの横顔を見つめていた 。
どきどきと心臓がなる 。
お腹の奥に 、 なんだかじわっ と 温かなものが広がる 。
なつくんがそんなことを 言ってくれるなんて 、 思わなかったから 。
__ ううん 、なつくんだけじゃなくて誰にも 。
こさめのこんな 、 SNSに必死すぎて身についた習慣を 取り立てて褒めてもらえるなんて 。
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込み上げた熱に 、 鼻の奥がつん としたときだった 。
ふいになつくんが こちらを振り向いて 、
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『 じゃあいこ 』と 告げてなつくんが 歩きだす 。
慌てて後ろをついていくと なつくんが足を止めたのは 、 クレーンゲームのコーナーだった 。
そこでなつくんがいきなり こさめの方を見て 、
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きょとん とするこさめに 『 なんでもいいよ 』と なつくんは力強く言い添えてくる 。
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ドヤ顔で 口を開いたなつくんから 返って来たのは 、いまいち 答えになっていない答えで 『 そうじゃなくて 』と こさめは早口に返す 。
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なつくんの言葉に戸惑いながらも 並ぶ台に目をやった 。
中身はぬいぐるみがほとんどで フィギュアやお菓子などがはいってる ものもある 。
可愛いぬいぐるみも多くて 目移りしながら しばらく眺めたあとで
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こさめはおずおずと ひとつの台を指さした 。
水色の さめのぬいぐるみが 入った台 。
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なつくんはこさめが 指さした台を見ると 、 ちょっと予想外だったかのように
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やばい 、図々しかったか とこさめが焦っていると『 いや 』 と なつくんは小さく笑って 。
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『 よし 』と 小さく呟いたなつくんは しばらく色んな角度から ぬいぐるみの位置を確認したあとで
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なにか心得たように 強く頷くなつくんを見て 、 こさめは鞄から 財布を取りだして
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『 あー 』とちょっと 考えるかのように ぬいぐるみを眺めたなつくんは
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心配したこさめに 心外そうに顔を顰めたなつくんは 集中するように 息を吐いてから 、 台に向き合った 。
1回目 、しっぽのほうを 掴み 、持ち上げる 。
アームが弱くて 途中で落ちたけど 、 ぬいぐるみは少し動いて 獲得口に近づいた 。
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手応えをつかんだのか 、 なつくんが小さく呟く 。
続けて2回目も 同じような動作でぬいぐるみを 動かしていた 。
獲得口のすぐ側まで 近づいた ぬいぐるみを見て 、 こさめは 少し緊張する 。
ほんとに 取れる ... かな 。
なつくんはああ言っていたけど こさめは 絶対に次で取れる 、 という確信は出来なかった 。
そして3回目 。
気がつけば こさめも息を詰めて 、 じっ 、とアームの動きを 見つめていた 。
手のひらに汗が滲む 。
店内の喧騒も 、 この瞬間だけはまったく 耳にはいってこなかった 。
なつくんがボタンを押すと 、 アームがゆっくりと 下がってくる 。
こさめは 『 無理かもな 』 などと 思ってしまったけど 、 ただ 下がってくる アームだけを見つめ続けた 。
すると 、アームに掴まれ ぬいぐるみの頭の部分が持ち上がる 。
勿論それで 身体ごと 持ち上がることはなく 、 途中でするりと落ちていく 。
だけど 、直立する形になった ぬいぐるみは 、 アームの戻る動きに押されて 後ろにひっくり返った 。
すぐ真後ろに迫っていた 獲得口の中へ 、 吸い込まれるかのように 。
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辺りに響いた歓声が こさめのものだと 、一瞬分からなかった 。
それくらい無意識に 、 喉から迸っていた 。
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どきどきと胸がなる 。
顔が熱い 。
受け取ったぬいぐるみを ぎゅっ 、と抱きしめると 、 喉の奥が つんっと 甘くなった 。
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今手にしているぬいぐるみを こさめはもう 、 一生手放せないような 、 そんな気がした 。
いやぁぁぁ ... タップ数多くなりすぎましたね 、 すみません 笑笑 わんちゃん過去最大かも ... ?? てか ほんとはここで 他メン登場させて 2人以外の恋愛事情についても 触れていこうかなって思ってたんですけど やっぱり次回になりそうです ... 👉🏻👈🏻゛ てことで 、続きも 更新次第 読んでくださると 嬉しいです !🎶
コメント
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ねこぉぉぉ 久々に家族がいる前で口裂け女並みにニヤけてしまったよ!!! 次は頭の中尊いだよ!!! 次回楽しみに待っとく!!! 投稿お疲れ様!!!
ねこち天才すぎて まじやばい っ ! ! ☔️くんと 🍍くん デート ... ( ( ねええぇぇ っ ! 🍍 くん それは 惚れるてっ ! ! ! ( ぬいぐるみ 取ってあげるとか 優しすぎ っ てか 🍍 くんの ゲーセン 好きなの 解釈一致 すぎんるだが っっ !! てか 、 尊すぎる ... なんだこの作品 ... 尊いが詰まりまくってるではないか ... ぁ ~ 、もう尊死
だんだん2人がお互いに 打ち解けていってる感じがして めっちゃ好き … 🫶🏻🫶🏻