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放課後ーー。
心臓の鼓動がうるさいくらいに響く。永玖は、校舎裏の静かな場所に向かって歩いていた。 桜に呼び出された理由が、わからない。でも、期待してしまう自分がいた。
永玖
颯斗の気持ちを知っていながら、こんな期待を抱いてしまうなんて。 だけど、あの時の桜の表情は、どこか真剣だった。
約束の場所に着くと、桜はすでにそこにいた。夕日に照らされて、その姿がやけに綺麗に見えた。
桜
桜の声は少し震えていた。 永玖は、少し無理に笑ってみせる。
永玖
桜は、少し沈黙の後、ポツリと言った。
桜
永玖の身体がピクリと反応する。 その名前に、こころがざわつく。でも、予想していたはずだった。むしろ当然の流れだった。
永玖
精一杯、平然を装う。でも、声はわずかに震えていた。
桜は俯いて、少し考えるようにしてから口を開く。
桜
永玖
桜
永玖の鼓動が、また高鳴る。まるで胸の奥を掴まれたように。 思わず、目が桜を捉えた。
桜は、まっすぐ永玖の目を見て、微笑んだ。
桜
時間が止まった。 夕焼けが二人の間を染める。 けれどその温かさと裏腹に、永玖の胸の中では別の葛藤が渦巻いていた。
颯斗はーー親友だ。 そしてら、桜はーーいま、自分を選んだ。
永玖は、静かに目を閉じた。
永玖
桜は少し驚いたような顔をしたが、うなずいた。
桜
その笑顔は、どこか切なくも優しかった。
永玖は、その背中を見送りながら、携帯を取り出した。
颯斗の名前が光る画面。指が迷うーー送るべきか、黙っているべきか。
永玖