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夏菜

それでね、結斗聞いてよ!

結斗

なんだよ笑

結斗

ずっと聞いてるじゃん

恒例になってきている結斗との電話。

元カレなはずなのに、今では相談を乗ってくれる唯一の男友達だった。

夏菜

余裕があってね

夏菜

すっごい大人!

結斗

へぇ?

結斗

良い人なんだね

夏菜

なんか、色んなことに詳しいし!

夏菜

尊敬してるの!

結斗

いい人見つけてれて良かったね

夏菜

そーなの!

夏菜

それで、明日もデートなんだよ

結斗

すげえじゃん

結斗

どこ行く?

夏菜

映画!

結斗

あー、ずっと見たかったってやつ?

夏菜

そ!

夏菜

見に行こうって言ってくれて!

結斗

へー

結斗

俺も行こっかなー

夏菜

結斗そーゆーの好きだっけ?笑

結斗

お前に無理やり付き合わされて

結斗

でも案外面白くってさ

夏菜

でしょ?

夏菜

今度また2人で見に行く?

結斗

ばーか

結斗

お前、たかしさん居るだろ?

結斗

2人で行けよ

夏菜

夏菜

そーだよねっ?

夏菜

普通に前みたいな感じで話してたわ笑

結斗

だよな笑

結斗

じゃ、俺明日学校だし寝るわ

夏菜

夏菜

私も寝る

夏菜

おやすみ

結斗

おう

夏菜

いつもありがと!

結斗

どーいたまして

結斗

じゃ

結斗

またな

夏菜

うん

結斗

通話終了

通話
03:51:20

夏菜

(わ、4時間くらい電話してる…)

夏菜

(さすがにダメかな…)

今の新しい彼氏が居ながら元カレと長電話をするのは良くないと思ってはいた。

けれど、結斗との電話はとても楽しいし、

別れたとは言え、敬史より結斗の方が話しやすかった。

デート当日

敬史

ごめん、ななさん

敬史

待った?

夏菜

いえっ!

夏菜

私も今来たところですよ!

付き合ってちょうど1ヶ月。

大学の先輩だった敬史に対して、まだ敬語がやめられずにいた。

敬史

行こうか

夏菜

はいっ!

めいっぱいのオシャレと化粧。

敬史には、そんな自分しか見せられなかった。

夏菜

(結斗の時は、すっぴんでも全然大丈夫だったのに)

夏菜

(なんか変に頑張っちゃうな…)

この頃、元カレの結斗と比べてしまうことがある。

その度に後悔した。

夏菜

(…やだ、私未練があるみたいじゃん)

夏菜

(考えるのやめよ…)

夏菜

敬史さんっ

夏菜

まず、どこ行きます?

敬史

そーだね…

敬史

お昼、まだだよね?

夏菜

は、はいっ!

敬史

じゃあ、この近くにオススメのお店があるんだ

敬史

行ってみようか

夏菜

はい!行きます!

敬史がリードしてくれる。

夏菜

(優柔不断な結斗とは大違い)

夏菜

ふふっ…

思わず笑ってしまう。

敬史

どーした?

夏菜

…あ

夏菜

いえっ

夏菜

なんか、敬史さんって大人だなあって

敬史

そーかな

敬史

夏菜さんの為に、頑張っちゃってるのかもしれないな

そう、照れくさそうに言う。

夏菜

(こういう所が好きだな)

恥ずかしいこともサラッと 言ってくれる。 そんな敬史が好きだった。

映画の後

夏菜

わ〜

夏菜

感動できる映画でしたね…

夏菜

私ボロボロ泣いちゃって

敬史

そーだね

敬史

僕も、こんな感動的な映画は初めてだったよ

敬史

…来てよかった

夏菜

本当ですか?

夏菜

良かったです!

敬史

あんまり、恋愛系の映画は見てこなかったんだけどね

敬史

夏菜さんのおかげで

敬史

また楽しみが増えたよ

夏菜

ふふっ

夏菜

そんな事ないですよ

夏菜

また見に来ましょうね!

敬史

…夏菜さん

夏菜

…?

夏菜

どーしました?

敬史が突然キスをしてくる。

夏菜

っ…

敬史

…好きだよ

夏菜

…あっ…わ、私もですっ…!

お互いが顔を真っ赤にする。

その日は買い物をしてそれぞれ帰った。

夏菜

…でね!

夏菜

急にちゅーされちゃって!

結斗

はいはい

結斗

惚気話は聞き飽きたわ

夏菜

でも、なんか思い出したよ笑

結斗

…なにが

夏菜

結斗はよく私より泣いてたなーって

夏菜

買い物とかでも

夏菜

好きなのがあったら私よりはしゃいでたし笑

他の男のデートで元カレの事思い出すってやばくないか?

そー思いながら適当に流す。

結斗

そーかよ

結斗

良かったな、俺より大人で!

夏菜

夏菜

うんっ!

夏菜

楽しかった!

結斗

おー

結斗

なんか、俺は失敗した話聞きたいんだけどな

夏菜

そんなの無いですー!

結斗

無いのかよー

結斗

恥かいたらすぐ言えよ?

結斗

俺が腹抱えて笑ってやるから

夏菜

はあ?

夏菜

ばかだな!

夏菜

そんなのしません!!

結斗

どーだか

結斗

お前の事だし、

結斗

急に笑い出して引かれてたりしてそうだったのになー

夏菜

えっ…

結斗

え、お前、思い出し笑いとかデート中にしたのかよ!?

夏菜

いや、引かれはしなかったよ!?

夏菜

なんか心配されちゃった笑

結斗

…やっぱりかぁ

結斗

おいそれで嫌われたりしたら笑えねえぞ?

夏菜

大丈夫!

夏菜

敬史さんはそんな人じゃないから!

結斗

でもなお前っ…

夏菜

あ!待って!

夏菜

敬史さんから電話きた!

結斗

おー、じゃあ切るぞ?

夏菜

ごめんね!

そういうと、夏菜はすぐに電話を切った。

結斗

結斗

はあっ…

結斗

(こんなんで、本当に上手くいくのかよ…)

夏菜を心配する気持ちと、別れたあとも頼ってくれている嬉しさが混ざる。

結斗は布団に顔までもぐり目をつむった。

結斗

お前、ちゃんとなりたい夢あるの言った?

夏菜

結斗

…言ってねえの?

夏菜

…うん、まだ言えてないの

結斗

なんでだよ

結斗

あとから言うと、隠してたみたいでお互い後味悪いぞ

夏菜

…でもっ…

結斗

あ?

夏菜

…敬史さんね

夏菜

なんか、夢とか希望とか

夏菜

ぜんっぜん言わない人なの!

夏菜

むしろあんまり好きじゃないみたいで!

結斗

はー?

結斗

そんな奴いる?

夏菜

なんか、ちゃんと現実を見てるっていうか…

夏菜

正しいことばっか言ってくれるの

結斗

それが、自分をさらけ出せない原因でもある事を、夏菜は分かっていた。

結斗

それ、つまんなくないのかよ

夏菜

夏菜

んー…

夏菜

でも、それが私には合ってるのかもしれない笑

夏菜

私、間違ったことばっかしちゃうから

結斗

夏菜

この前もね、

夏菜

大きな声で友達の文句言ったの

結斗

おう

結斗

お前らしいな

夏菜

そしたら、少し怒られちゃって…

夏菜

でも、それはまぁ、私が悪いから!

夏菜

敬史さんの言う通りなんだけど…!

結斗

…お前

結斗

それで楽しいのかよ

夏菜

っ…

夏菜

なっ、何言ってんの!?

夏菜

好きだから付き合ってんでしょ!?

結斗

違う

結斗

一緒に居て、楽しいのかってこと

夏菜

…楽しいよ?

結斗

嘘つけ

結斗

本当のお前を見せないでどーすんだよ

結斗

俺は、飾らないお前を好きになって一緒に居たんだぞ

夏菜

…は?

夏菜

結斗には関係無いじゃん

敬史と付き合った理由。

それは、結斗を忘れたかったからだ。

自分ばかりが好きでいるような気がして辛かった。

だから、他に好きな人を無理矢理作って、結斗から離れようとした。

それでもやっぱり、友達としてそばに居たくて、

夏菜

…ごめん

夏菜

私、すごい自分勝手だ…

結斗

…いーよ

結斗

それが本当のお前だろ

夏菜

夏菜

なんで、私たち別れたんだろーね

結斗

おい笑

結斗

お前が振ったんだろ?

夏菜

…いや、そーだけど

夏菜

こんな事になるんじゃ、結斗と別れなきゃ良かった

結斗

…あのなぁ

夏菜

ごめん

夏菜

馬鹿で自分勝手なのは知ってる

結斗

今更言ったって遅いだろ

夏菜

…うん

夏菜

…そーだね

結斗

俺たち別れたんだろ?

結斗

…もう、電話してこなくて良いんだぞ

結斗

夏菜

夏菜

夏菜

…そーだよね

夏菜

…ごめん

夏菜

結斗に甘えてばっかだ

結斗

うん

結斗

それは俺もそー思う

冗談混じりにそう言う。

結斗はいつもそー言って、私を認めてくれた。

間違ったことをしても、ちゃんと叱ってくれて

だけど最後は、「それがお前だもんな」って笑って許してくれる。

そんな結斗が大好きだった。

ずっと一緒に居たかった。

夏菜

…ねぇ結斗

結斗

…待て

結斗

それは言うな夏菜

結斗

それじゃあ、本格的に別れた意味が無くなるだろ

結斗

…そしたら俺はどーすればいいんだよっ

結斗

敬史さんの方に行けって言ったのは俺だ

夏菜

…ごめん

結斗

謝んなって

結斗

お前らしくねーよ

結斗

…電話

結斗

やめにしよーな

結斗

これじゃ、キリがない

夏菜

…そーだね

夏菜

なるべく控える

夏菜

…でもっ、困ったことがあったときは話聞いてよ!?

結斗

わーってるよ

結斗

でもそれ以外はダメな

結斗

分かった?

夏菜

…分かってる

その後は珍しく無言が続いた。

気づいたら眠ってしまっていて、朝見ると電話は切れていた。

別れる当日

夏菜

…別れて欲しい

結斗

結斗

敬史さんか

夏菜

っ…

夏菜

…そー

敬史を好きになったこと 結斗にはすぐにバレていた。

夏菜

…もう、ダメだと思うんだ

夏菜

私ばっかり不安になって

夏菜

勝手に傷ついて

夏菜

…結斗の事を信じられなくなっちゃうの

結斗

…負けたってことか

結斗

その敬史って人に

夏菜

結斗

…いいよ

結斗

敬史さんの方行けよ

夏菜

…ごめん

結斗

別に謝ることじゃねえって

結斗

俺に足りない所があった

結斗

それだけだ

夏菜

…ありがとうね

夏菜

今までたのしかった

夏菜

ずっとずっと毎日楽しかった

結斗

結斗

…やめろよ

結斗

なんでそんな事言うんだよ

結斗

きっぱり俺を切り捨てろ

結斗

…じゃないと未練が残る

夏菜

結斗

俺はずっと好きだったよ

結斗

…でも、それを伝えるのが少なすぎた

結斗

…俺、不器用だったと思う

結斗

なのに一緒に居てくれてありがとうな

夏菜

…ねえ

夏菜

結斗もそんな事言わないでよ

夏菜

…やだ

結斗

結斗

…じゃあ、やめとくか?

結斗

別れるの

夏菜

っ…

夏菜

…ううん

結斗

…ははっ

結斗

だよな知ってる

結斗

そーゆう奴だお前は

夏菜

…うん

あの時の結斗の苦しそうな顔が

ずっとずっと頭に焼き付いていた。

夏菜

…ごめん結斗

夏菜

久しぶり

結斗

…どーした?

どうしても言いたいことがあって夏菜は電話をかけた。

夏菜

これで最後にするよ

結斗

…そーかよ

結斗

あ、そーいえばお前

結斗

プロポーズされたんだってな

結斗

…そんで、あっちの方に引っ越すって

夏菜

…あ、知ってるの?

結斗

あぁ

結斗

友達から聞いた

結斗

結婚式誘われたー!ってな

結斗

…俺は誘わねえの?

夏菜

夏菜

辛くなるかなあって

結斗

俺が?笑

結斗

まさか笑

違う。辛くなるのは私だ。

間違ってるのは分かってる。

けれど、結斗はもう叱ってくれない。

笑って許してもくれない。

結斗

…で、なんだよ

夏菜

…結斗はさ、

夏菜

彼女作んないの?

結斗

…あー

結斗

今は良いかなって

夏菜

なんでよ笑

夏菜

結斗のこと好きだって人

夏菜

結構居るんだよ?

結斗

知らねえよ

結斗

要らねえって言ったら要らねえの

夏菜

作ってよ

結斗

はあ?

結斗

なんでだよ

夏菜

私、ずるくて馬鹿だから

夏菜

…会いたいの

夏菜

会いたくなっちゃう

結斗

夏菜

応援してるよ

夏菜

じゃあね

結斗

おまっ…

夏菜

通話終了

通話
02:05

夏菜

はぁっ…

夏菜

これで良い…んだよね…?

夏菜

…ごめん結斗っ…

夏菜

こんなバカでっ…

夏菜

一番は結斗なのにっ…

夏菜

間違っちゃったよっ…

あの時、不安になって別れを言わず 結斗を信じていればよかった。

ずっとそばに居てくれたのは結斗だけだったのに。

夏菜は結斗の大切さを改めて思い知った。

けれどもう遅い。

一番大好きな人は

もう、会ってはいけない人だ。

敬史の実家に向かう途中

敬史

夏菜?

夏菜

…ん?

車の窓から外を眺めている夏菜に敬史が心配そうに声をかけた。

すっかり呼び捨てで敬語も無くなっていた。

敬史

…やっぱりやめる?

敬史

ここに、残りたいかい?

夏菜

夏菜

ううん

夏菜

後悔も何もしてないよ

夏菜

私は敬史に着いていきたくて来たの

敬史

…夏菜…

敬史

…僕が大切にするからね

夏菜

ふふっ

夏菜

…ありがとう

夏菜は2人がよく行ったゲームセンターの前を通ると、目を背ける。

夏菜

…楽しみ

夏菜

敬史が産まれた所

敬史

ははっ

敬史

そんな期待されると困るな

敬史

あんまり、いい所じゃないかもよ?

夏菜

嘘だー

そう言いながら、今度は結斗の職場を通る。

一瞬だったが、ビルの窓ガラスから結斗が見えた気がした。

夏菜

っ…

結斗の仕事場

上司

おーい、結斗ー

上司

手止まってんぞー

結斗

あ、すんません

車の窓から、夏菜と目が合った気がした。

結斗

でもそれは気のせいだと言い聞かせ、仕事に集中する。

結斗

(な、わけないか…)

夏菜がなりたかった漫画家のアシスタントをするため、

日々一生懸命働いた。

結斗

(…もう、あんまり意味ないし辞めよっかな)

夏菜

結斗

2人はお互いに

別々の日々を送った。

そしてそれらは

二度と交わることは無かった。

この作品はいかがでしたか?

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女、よく考えたら自分勝手だな びっくり

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