南野絵理
閉まったドアと 北くんに挟まれる。
北くんの胸に触れるか 触れないかの距離に
私は心臓が 飛び出しそうなのを堪えた。
発車して揺れる電車の中、
掴めそうな つり革や手すりもない。
南野絵理
必死に足で踏ん張っていると、
一際大きく揺れて
目の前の北くんに ぶかってしまった。
南野絵理
南野絵理
慌てて謝ろうと顔を上げると、
すぐそこに 北くんの顔があった。
途端に顔が熱くなって すぐに下を向く。
目をそらす瞬間に 北くんの赤い耳が見えた気がする。
南野絵理
絞り出した声は 想像よりずっとか細い。
息が詰まりそうに なっていると、
ふいに北くんの手が 私の手を掴んだ。
そのまま自分の腕の方へ 誘導される。
北信介
南野絵理
恐る恐る北くんの腕を 控えめに掴む。
私はカチコチに 縮こまりながら、
北くんに支えられて 揺れに耐えた。
北信介side
揺れる車内でさほど興味もない 広告の文字を追う。
時折ふわりと香る甘い匂いに 頭がクラクラした。
目の前にはその香りの主である クラスメイトの女子がいる。
北信介
トクトクと柄にもなく 鼓動が早まる。
ちらりと目線を落とすと 長い黒髪から覗く耳が赤い。
南野が降りる駅まであと一駅だ。
北信介
なんて言い聞かせて、
また同じ 広告の文字を読み返した。
南野絵理side
電車アナウンス
自分の心臓の音をBGMに そのまま乗っていると、
私が降りる駅が近付いた。
北信介
南野絵理
南野絵理
北信介
電車がゆっくりと ホームに停車する。
プシューと音を立てて 背後のドアが開き、
私は北くんに手を振った。
南野絵理
北信介
かろうじて北くんが 手を振り返してくれるのが見えて、
私は人の波に押されながら 電車を降りた。
この鼓動が落ち着くまで あと10minutes.
コメント
8件
尊い(◜¬◝ )今一気見させていただいたんですけど!てまり様✨貴方様は天才ですか?!見てるこっちまでハラハラしちゃいました!!北さんが照れてるの可愛い♡
はぁ〜もう好き!!大好き!!!! 最高じゃんかよぉてまりちゃんん‼️‼️‼️ こっちまでドキドキしたぜ😳💗
え好き😭😭😭♡♡♡🎶 尊い…😭♡ 北さん理性保ってるのも最後の鼓動のこと書かれてて好き🫵🏻🫵🏻