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朝の空気はまだ冬だった。 校庭の隅だけ、少しだけ白く見える あたしは少し遅れて教室に入る。 机の上にカバンを置いたとき、
あい
と後ろから声がした。 愛だった。 いつも通りの声。 いつも通りの顔。 リボンも、髪も、何も崩れていない。
あい
愛は当然かのように言う
あい
なつめ
愛は少しだけ笑う。
あい
それだけで、あたしは頷いた。 もう理由は必要なかった。
飼育小屋はまだ“普通の場所”だった。 錆びた柵。 少し湿った地面。 でもその日は、少しだけ静かだった。
あい
愛はうさぎに言う。 檻の前にしゃがむ。 あたしも隣に座る。
白い毛。 丸い目。 何も変わらない。
あい
愛が言う。 いつも通りの声。 あたしは頷いた。
なつめ
でも愛は、うさぎを見たまま続ける。
あい
なつめ
あい
あい
あたしはうさぎを見た。 動く。 普通に生きている。
なつめ
あたしがそう言うと、 愛は少しだけ笑う。
あい
それ以上は何も言わない。
その日の放課後。 廊下で誰かが言う。
誰かわからない人
冗談みたいな声。 誰も深くは気にしない。 あたしも気にしないふりをする。 でも愛だけが、 その言葉を少しだけ長く聞いていた。
帰り道。 夕方の光。 影が長い。
あい
あい
なつめ
あい
あたしは歩きながら笑った。
なつめ
愛は前を見たまま言う。
あい
その言い方は、冗談にしては静かすぎる。