「物」

僕は昔虐待を受けていた

父は容赦なく僕を殴り母は見て見ぬふり

ﾄﾞｶﾞｯﾊﾞｷｯ

僕が泣いても訴えても暴力な雨は止まなかった

そんな毎日が続いてたらある日

何も感じなくなった

僕はこの世に存在価値はない

だから誰かに扱われる「物」として生きる

そう完結した

だから

自分の親に売られた時でさえ何も思わなかった

あれから僕は体を売る仕事をし始めた

客は遠慮なく僕の体を抱く

抵抗なんかできなくてただ鳴くことしか出来なかった

今日も客が来た

もうどうでもいい

僕は「物」だから

そう言ってピンク髪の人は僕の隣に寝て規則正しく僕の背中を叩いた

これが人の優しさ…人の温もり…

ダメだ…！僕は「物」期待してもどうせ捨てられるだけだから

その思いとは逆に僕はそのまま眠りについた

マスターは最初は嫌な顔をしたものの金額を聞くなり即決で僕を売った

ほらね？みんな僕なんて金になれば必要ないって思ってる

どうせこの人も僕を休ませた後にその後は…

もういい、考えたくない

考えちゃダメだ、だって僕は…

視界が歪んだ

目から何かが溢れてくる

ああ、これが

涙なんだ…

僕は「人」なんだ…

人なんて自分のことしか考えてない

そう思ってたけど

僕を見て笑うstmくんは

今まで見てきたどんな人より輝いて見えた

僕もこの人いればいつかこんなふうに

「人」として輝けるのかな…

きっとこれが

「幸せ」なんだな