藤澤涼架side
hrt.
あれからふらつく元貴と一緒に車で今日の仕事の場所に行く
今日は最初にミセスで出させてもらうテレビの収録
その楽屋に入ると若井が僕たちに手を振る
そのまま指を机に方に向けて「あれ、台本」と言った
机の上には二人分の台本
若井の手元には台本がしっかりと握られていた
mtk.
ryok.
元貴から台本を受け取ってソファに座る
鞄を足元に置く
その鞄の中には元貴の為の薬とかが入っている
蛍光色の黄色が鞄の中の暗闇によく映えた
黙って台本を読んでいると
隣の若井が台本を読みながら僕の肩に頭を乗せた
mtk.
二人で並んで台本を読んでいると
元貴の声が聞こえてきた
泣き声じゃないことに安心する
ここは家ではない
若井やスタッフさんたちがいる手前
元貴もきっと薬にせがまない
しないとわかっているけれど。
hrt.
ryok.
mtk.
呑気な返事をしながら元貴が二人分のコップを持ってこっちにきた
mtk.
hrt.
mtk.
hrt.
若井が笑って元貴からお茶を受け取る
そして一口お茶を飲んだ
若井の喉が上下して、唇が少し湿る
hrt.
若井が急に真剣な声音で話し始めた
危険信号が鳴る
これはきっと
僕も元貴も聞いちゃ駄目な話
僕たちのオーバードーズに関わるような、そんな話
hrt.
すると僕の上に身を預けていた
元貴の雰囲気が強張った
上がっていた口角が下がり、大きくて鋭い目が若井のことを捉える
mtk.
hrt.
やっぱりわかるよね
オーバーサイズの洋服を着て誤魔化しても
今の元貴の細さは尋常ではない
少ししか関わりない人や、視聴者は騙せても
ずっと関わってきた若井は騙せるわけない
それは元貴もわかっていたはずなのに
元貴は若井にオーバードーズのことを話したことがない
hrt.
hrt.
mtk.
hrt.
mtk.
hrt.
元貴の弱々しい反論が、若井の強気な声に被されて消えていく
俯く元貴の顔
唇が少し震えている
hrt.
若井の声が静かな部屋に響いた
その声は決して怒っていない。責めてもいない
ただ、ゆっくりと事実を確認していた
hrt.
mtk.
hrt.
元貴の白い喉が上下する
元貴の唇が揺れる
小さい振動が僕に伝わる
僕はゆっくりその振動を受け止めて、元貴の匂いを嗅ぐ
ツンとした、薬の匂い
洋服で、化粧で体の不調を隠せても
やっぱり薬をやっている事実は変わらない
mtk.
若井は何も言わずに元貴の頭を撫でる
元貴の目から涙が落ちていく
それを静かに指で掬って、若井はこっちを見た
hrt.
ryok.
hrt.
ryok.
hrt.
やっぱり、若井には全部お見通しなんだ
元貴が抱えていた薬のこと
そして
hrt.
僕が薬をやっていること
僕の喉が意図せずひゅ、と鳴った
部屋の中には、元貴の嗚咽だけが響いていた
こんにちは
♡2000ありがとうございます ほんとこれが最大のモチベです
今回は若井さんをかっこよくかきたい
この作品も♡と💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
5件
え、まじですか!?予想外の展開すぎてびっくり!!ストーリーが神すぎるよ
やばいよ!!すごいよ!!最後に声出た、……感動します、
あぁっ!ヤバい『?』