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悠真は正太郎との先の話を伝えた

それは本当なの?

悠真

あぁ

男の人ったらどうして

いつも性急なのかしら

悠真

君の言うとおりだよ

それであなたは

どうしたらいいのか

わからないのね?

悠真

そうなんだ

...

大丈夫よ

あなたの打ち合わせどおり

夫を隣室に潜ませなさいな

悠真

いいのかい?

夫が隠れたあとで

あなたを呼びに行かせるわ

そしたらすぐに

入って来てちょうだいね

悠真

それから?

そうしたら

夫が聞いてることなど

知らないように

私の尋ねることに

答えて欲しいの

悠真

それだけ?

えぇ

悠真

どんな質問なんだい?

それは教えられないわ

悠真

...

悠真

僕としては

悠真

抜かりなく答えられるよう

悠真

この計画に必要なことを

悠真

打ち明けて欲しいんだけど

その必要はないわ

ただ私の質問に

ちゃんと答えてくだされば

それでいいの

悠真

しかし...

そうすれば

今後の逢瀬を

心置きなく楽しめるように

して差し上げますわ

悠真

...

悠真

君がそう望むのなら

悠真

君の望みに従うよ

それじゃあこの話は

当日までは忘れてね

絶対よ?

当日

正太郎

...

正太郎

悠真はああ言っていたが

正太郎

妻に限ってそんなこと...

正太郎

しかし何が起こったと言うんだ?

正太郎

なにもありはしないに

正太郎

決まっているのに

正太郎

だいたい嫉妬するなんて

正太郎

彼女をも卑しめることじゃないか

正太郎

やはりこんな見苦しいことは...

正太郎

いかんもう来てしまった!

正太郎

とにかく

正太郎

なにも起こらないことを

正太郎

この目で見届けなければ

正太郎

...

あぁ使用人

お前にとってきてもらった

この包丁を

私の恥知らずな胸に

突き立てもらったほうが

よくないかしら?

使用人

まぁ奥様!

使用人

いったいその包丁で

使用人

なにをなさるのです?

使用人

自殺でもなさる

使用人

おつもりですか?

使用人

誰かを刺そうと

使用人

言うのですか?

自殺ですって?

私だって

死のうと思えば死ねますよ

だけど私は

悠真さんが私のなかに

どんな隙間を見たせいで

夫との友情をあなどり

邪な想いを打ち明けたのか

それが知りたいのよ

使用人

それよりか奥様

使用人

あの方の求愛なんか

使用人

取り合わなくていいんです

使用人

あんな人を

使用人

あたし達二人だけの所に

使用人

入れたりしたら大変ですわ

それもそうね

使用人

だってあたし達はか弱い女

使用人

向こうは男

使用人

しかも

使用人

思い詰めているんですもの

使用人

そんな男が

使用人

やって来た日には

使用人

ひどい目に遭わされるのが

使用人

関の山ですよ

たしかにこの部屋に

呼び込んだりしたら

たとえ僅かな時間にせよ

私をふしだらな女と

思わせることになるかもね

使用人

まったくの話

使用人

あんな男を

使用人

許してらっしゃる旦那様が

使用人

責められるべきだわ

でもそれは

私が満足のいく仕返しを

してからのことだわ

使用人

いずれにしたところで

使用人

奥様の対面と評判を

使用人

台無しにするだけのこと

使用人

ではありせんか?

そうかもしれないわね

とにかくあの人を

呼んできてちょうだい

きっと今頃

近くに来ているはずだから

使用人

そうですの?

夫の名誉を守るために

私の方から残酷な

手段をとって見せてよ

使用人

でもその前に包丁を

使用人

渡していただきましょうか

使用人

あたしの居ない間に

使用人

みんなを一生

使用人

泣かせるようなことを

使用人

しでかしたら大変ですから

そんなことしやしないから

心配いらないわ

使用人

本当ですね?

あなたにグズグズされると

それだけ夫にたいして

不貞を働いている気がして

とてもたまらないわ

使用人

わかりました

使用人

すぐに呼んで参りますね

使用人

(バタンッ)

...

あぁどうしたものかしら

何度もそうしてきたように

追い返せば良かったかしら

だけどなんの制裁も受けず

のうのうと抜け出せるなら

私の恨みは晴れないし

夫の面目だって

保てはしないわ

使用人

(ガチャッ)

使用人

奥様?

使用人

お呼びしましたわ

悠真

僕になにかご用ですか?

そのとおりですわ

よく聞いてください

悠真さん

あなたが少しでも

近寄ろうとなさったら

そんな素振りが見えた瞬間

私はこの包丁を自分の胸に

突き立てるつもりです

悠真

...

悠真

一帯どうしたんです?

どうかお聞きください

二、三お尋ねしたいことが

ございますから

その後でなんとでも

好きなだけ仰ってください

悠真

じゃあ聞きましょう

まず第一に

あなたは私の夫を

ご存じですね?

彼をどのように

評価しておいでですか?

悠真

ふむ

第二に

あなたが私のことを

ご存じかどうか

お伺いしとうございます

悠真

...

悠真

わかりました

悠真

しかし僕が

悠真

ここへやってきた目的と

悠真

こんなにもかけ離れた

悠真

質問をされるとは

悠真

思いもよりませんでしたよ

そうでしょうが

お答えいただきましょう

躊躇ったり熟考されるには

及びませんわ

無理難題ではないですもの

悠真

もし僕に約束した

悠真

好意の実行を延ばそうと

悠真

こんなことをされるのなら

悠真

もっと遠回しに

悠真

して欲しかったですね

ふん

約束なんてしていませんわ

悠真

それはそうとして

悠真

質問に答えない卑怯者

悠真

と言われてもなんですから

悠真

お答えしましょう

お願いします

悠真

僕はあなたのご主人を

悠真

よく知っています

悠真

幼い頃からの知り合いです

悠真

僕たちの友情については

悠真

何も言うことはありません

まぁ

なんて白々しい

悠真

そしてもちろん

悠真

あなたの人柄も

悠真

知っていますし

悠真

高く評価しています

悠真

もしそうでなかったら僕は

悠真

自身に対する義務と

悠真

真の友情という聖なる掟に

悠真

背くようなことは

悠真

しなかったはずです

悠真

しかしこの聖なる掟も

悠真

僕は破ってしまいました

そこまで白状なさりながら

よくもまあおめおめと

私の前に出ておいでに

なれたものですわ

ところで

あなたをお呼びしたのは

名誉に対する償いとして

私が払おうとする犠牲に

なって頂くためなのです

悠真

どういうことでしょう?

今度の場合は

私のちょっとした不注意が

あなたの狂気をこんなにも

持続させたのは確かです

なので私は

あなたの無礼な振る舞いを

私の責として

自分自身を懲らしめ

あなたの罪禍に見合うだけ

罰を自分で裁くつもりです

悠真

裁く?

えぇそうです

だからそこで

じっとしていてくださいね

悠真

落ち着いてください

悠真

どうかその包丁を

悠真

床に置いてくれませんか?

あなたを殺して!

罪を殺して!

私は夫の名誉を守ります!

悠真

おいやめろ!

使用人

きゃあああ!

この裁きを受けさえすれば

あなたがいかに

薄弱な根拠で私の夫を

侮辱なさろうとしていたか

お分かりになるでしょう!

使用人

おやめください!

悠真

いたっ!

これ以上あなたの手で!

夫の名誉を侮辱させたりは

しませんわ!

悠真

くそっ!

悠真

暴れるな!

使用人

奥様!

使用人

おやめくださいまし!

離して!

悠真

そっちを抑えて!

くっ...

使用人

落ち着いてくださいまし!

運命が私の願いを

叶えてはくれなかったのね

でも私はその責を負って

この手で自らを罰します!

使用人

あっ!

使用人

奥様!

悠真

待て!

うぅ...

(ドサッ)

悠真

あぁ!

悠真

なんてことだ!

使用人

奥様!

使用人

しっかりなさいまし!

悠真

死んではないな!

悠真

お願いだから!

悠真

死んではないと

悠真

言ってくれ!

使用人

傷口の血を止める手当は

使用人

すぐにしないと!

悠真

通りから医者を

悠真

呼んでこよう!

悠真

(バタンッ)

使用人

このまま奥様が

使用人

死んでしまったとしたら!

使用人

一番な貞節の華であり

使用人

純真の鏡である

使用人

あたしの奥様が!

悠真

(ガチャッ)

悠真

連れてきたぞ!

医者

怪我人がいるんですって!

医者

どんな状態です?

悠真

刃物が誤って

悠真

突き刺さったのです!

使用人

奥様の血が...

使用人

血が...

医者

すぐに手当をしましょう

医者

代わってください!

夕べには白骨となる

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