裕太
……う……

裕太
ここは、何処だ……?

目が覚めると、くらい部屋?にいた。あかりひとつなく、俺のいた部屋では無いことは明白だ。
司会者
こんにちは

裕太
……っ!誰だ!!

司会者
私は、司会者。貴方の案内役です。

裕太
……なに、言ってんだよ

司会者
早速ですが、貴方にはゲームをしてもらいます。

司会者
簡素に言わせてもらえば、シミュレーションゲームをしてもらいます。

裕太
急に何言って……

司会者
拒否権はありません。拒否した場合、問答無用で【殺します】ので、ご注意を。

裕太
殺す……!?

司会者
現在、貴方の命は我々協会が預からせて貰っています。

裕太
っは!そんな事が簡単に出来るわけ……

司会者
では、こちらをご覧下さい

裕太
……っ!?!?

目の前に出来たのは、大きな檻。
中には、中年ほどの男性がいた。
中年ほどの男性
……ぁ!!助けてくれ!ここから!出してくれぇ!!

裕太
こ、この人は!?

司会者
彼は、犠牲者です。

司会者
ゲームの敗退者です。今から彼には、死んでもらいます

中年ほどの男性
ふ、ふざけんなっ!!!そんな事許されるわけっ───…………。

裕太
なんだ……?

急に黙る男性。
そして、何故か恐ろしいものを見るような様子で、天井を見上げる。
裕太
どうした……?

中年ほどの男性
……ぁ、ぁぁあああ!!

中年ほどの男性
誰かっ!誰かぁっ!!

中年ほどの男性
やめろっ!来るな!来るなぁぁぁ!!!

すると男性は、自分持っている刃物を自分の首につける。
中年ほどの男性
やめろ!やめてくれ!助けてくれ!嫌だ!死にたくない!

男性の言うこととは真逆に、刃物は男性の首に食い込んでいく。
中年ほどの男性
あぁぁぁ!!……ぁ……

裕太
おっさん……?おい!返事をしろ!おっさん!!

叫んでも、叫んでも、男性は声を出さない。そして、男性はこと切れたように、だらんと両手を下に提げた。
静寂の時間が訪れた。
俺は、声を出せずに、天井を見上げ、口を大きく開けたまんま死んでいる男性を見ていた。
裕太
……ぅ……そだろ……

司会者
現実です。ゲームに参加しない場合、貴方もこうなります。

裕太
じょ、冗談じゃない……俺は……ぁぁぁ……

司会者
ゲームに参加、で宜しいでしょうか。

裕太
……あぁ。

司会者
それでは、ゲームの説明に行かせてもらいます

司会者
先程申し上げましたが、貴方にはシミュレーションゲームをしてもらいます。

司会者
ゲームの内容は様々です。

司会者
例えば、恋愛。
例えば、戦い。

司会者
例をあげれば、いろいろあります。

司会者
ゲームクリアごとに、生存確率ポイントを貰います。

裕太
生存確率ポイント?

司会者
生存確率ポイントとは、文字通り、生存確率がポイント化された事です。

司会者
規定以内の時間内で、どれほど生存確率ポイントが稼げるか、で生か死が確定されます。

司会者
そして、ゲームには3つのエンディングがあります。

司会者
1つが、バットエンド
バットエンドの場合、ポイントがどれほどあろうと死にます。

司会者
1つが、ノーマルエンド
1つが、パッピーエンド

司会者
ノーマルエンドとパッピーエンドには、貰えるポイント数が違います。もちろん、パッピーの方が、ノーマルより2倍のポイントが貰えます。

司会者
ゲームとゲームの間には、休憩時間があります。休憩時間には、待機エリアに移動されます。

司会者
また、貴方と同様、他のプレイヤーも待機エリアにおります。運が良ければ会えるかもしれません。

裕太
ちょ、ちょっと待った!

裕太
俺以外にもいるのか!?

司会者
はい。存在します。先程の男性がいい例です。

裕太
……ぁ、そうか

司会者
そしてもう1つ。
ゲームの内容は、貴方が見た事のあるアニメやゲーム、漫画や小説などのストーリーが元となっています。

司会者
あなたが知っている物語があったりする可能性が、あります。

司会者
これは、我々の配慮です。

司会者
直ぐに死んでもらうと困るので。

裕太
少しの救済処置、ってことか。

司会者
はい。説明は以上です。他に質問は?

裕太
さっきのおっさんには何があったんだ。

裕太
見ているところ、何かバケモノを見たような感じだったが。

司会者
彼には、幻覚作用のある薬を投与しました。彼の目には、目の前にバケモノがいるように見えたでしょう。

司会者
殺し方には、他にも様々に用意しています。あれだけじゃ、ないこともご承知ください。

裕太
……要らない、そのバリエーション……

裕太
っ……はぁ。なら、もうひとつ、聞いていいか。

司会者
はい。

裕太
あの男の名前を教えてくれ

司会者
……彼の名前は、宮川 太郎です

裕太
宮川、太郎……はは……覚えとくぜ……

思い出も何も無い。なのに、俺の目からは、涙が1つ2つ流れていた。
なんとも言えない感情が溢れ出し、それらは、怒りへ変わる。
脱出してやる……絶対に
裕太
覚えとけよ……!!

聞こえていたのか聞こえて無いのか、それは分からない。だが、説明を行っていたあいつの声が少し、震えているように思えた。
司会者
では、ゲームを開始します。ご武運をお祈りします───
