VOISING体調不良集

なつは「仕事」に囚われていた。

ご飯を食べることも辞め仕事をずっとやり続ける。

こんな生活が2週間続いた。

メンバーとのダンス練に向かうなつの後ろ姿は今にも消えてしまいそうなほど、痩せぼそっていた。

いつもなら普通に通れる道。

なのに今日はすぐに息が上がってしまう。

でも、走らないといけない。

昨日の夜。いや、今日の朝まで仕事をしていて寝過ごした。

ｶﾞﾁｬｯ

ダンス練が終わり。

この時はシンプルに楽しみ。

この一心だった。

久しぶりのご飯。

食べたいに決まってる。

久しぶりのご飯

ご飯は食べたいのに、お腹は空いていない。

もう何日もご飯なんて食べていないのに。

お腹が減らない感覚だった。

俺は比較的少ないものを選んだ。

いただきます

料理は美味しそうなのに。

なぜか食べたくない。

俺はもう一度いただきますと呟いて口にご飯を運ぶ。

美味しいはずなのに。

ご飯の味がわからない。

なぜかご飯の味が不味く感じる。

メンバーは6人ともフル回転。

他のお客さんの視線が痛い。

俺の陰口を言っているのであろう。

ギリ聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で。

それが一番怖いし精神的にくる。

落ち着いた俺をいるまが抱きしめてくれる。

俺は周りからの視線が怖いのもあるけど、今まで溜まっていた何かが弾けた。

そして、涙が止まらなくなった。

出したくて出しているわけではないのに涙が一滴一滴と頬に落ちてくる。

みんな心配してくれてるのに不安は取れない。

この不安は元からあったもの。

今、気づくことができた。

自分は壊れていたんだ。

ご飯も食べずに、寝ずに、ずっと仕事。

俺が落ち着くまでずっといるまは抱きしめてくれていた。

やっぱりシクフォニは、

本物の仲間なんだな。