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その瞬間、襖に化猫が現れた
薬売りは伊行の背中を見つめ
薬売り
薬売り
かちん、と退魔の剣が鳴る
薬売り
伊行
薬売り
薬売りはそう繰り返す
伊行
伊行
伊行
伊行
薬売り
薬売りは伊行の横を通り過ぎ、 化猫へと立ちはだかった
薬売り
薬売り
薬売り
薬売り
薬売りは片手を襖へと向け、化猫を抑え込む
薬売り
薬売り
薬売り
伊行
伊行はそう呟くと、ぽつりと話し出した
伊行
若き頃の伊行
その時、伊行の若き頃の面影が見えた
あれは 25年前
雪が積もる程、降った日
一人の侍の為に、 村人の親子は道を開けた
しゃらん
しゃらん
一人の侍の前に、花嫁道中が やってきた
若き頃の伊行
侍は花嫁が乗っている神輿を 通りかかった瞬間
伊行
伊行
直ぐに帰してやるつもりだった
だが、、
珠生
伊行
伊行
進んで、
わしに、、
伊行
伊行
それで、、、 どうしようもなく、、
伊行
伊行
伊行
珠生
猫
伊行
伊行
伊行
伊行
伊行
がたん
伊行
伊行
薬売り
薬売り
薬売り
ちりん
小田島
加世
伊國
伊國
加世
伊國
伊國
伊國が語り終えた瞬間
さと
さと
伊國
さとが怒鳴り声を上げた
怒鳴り声が響いた瞬間、 部屋が大きく揺れた
さと
さと
加世
さと
時雨
薬売り
薬売りは息苦しそうに息をつく
手には、血管が浮かんでいた
さと
さと
薬売り
時雨
薬売りの手から 血が流れ出す
さと
薬売り
ぼたぼた
畳に血が落ちる音が鼓膜を震わす
時雨
どうすれば、 このままでは薬売り様が、!
みんながっ、!
その間にも化猫は 今にも飛び出してきそうな程 部屋が大きく揺れていた
さと
薬売り
薬売りの手には血で溢れかえっていた
さと
加世
小田島
小田島は伊行をおぶり、 奥へと駆け込んだ
加世
時雨
加世はそう言い、さとに呼びかけていた
薬売り
その瞬間、薬売りは軽く後ろへ飛ばされたが、再び化猫を抑えようとする
薬売り
小田島
奥の部屋には牢があり、その中には伊國と笹岡がおり小田島は必死に呼びかけていた
加世
さと
伊行
伊國
伊國は怯えたように耳を塞いだ瞬間、
さと
加世
さと
加世はさとに首を絞められていた
小田島
伊行
伊行は小田島の首を後ろから絞める
時雨
薬売り
薬売り
薬売り
薬売りはそう言い、意識を失ってしまった
時雨
私は着物の裾をきり、
薬売りの手へと巻きつけ、 止血する
時雨
私は薬売りの頭を膝へと乗せ、 薬売りの頭を軽く撫でる
薬売り
時雨
私は薬売りの頭を膝から降りさせ
時雨
化猫へと立ちはだかる
時雨
加世
加世さんはさとさんの手首を握りながら、私に呼びかける
私は加世さんの方へと振り返り
時雨
加世
私は微笑みながら、
化猫へ取り込まれた
時雨
薄れる意識の中、最後に浮かんだのは
薬売り
優しく、私の名前を囁く 薬売り様だった
小田島
小田島
その時、退魔の剣が少しだけ抜けた
薬売り
それと同時に薬売りが目を開けた
薬売り
薬売りは目を見開き、血走らせた
小田島
その瞬間、
薬売り
薬売りはよろけながらも立ち上がり
薬売り
退魔の剣を頭上へと掲げ
薬売り
その瞬間、金色の札が薬売りを囲み
薬売り
薬売り
薬売り
薬売り
薬売りは左右に人差し指を向け、 剣を解き放とうとする
が、
薬売り
剣は解かれず
化猫は札を壁をつたい、通り過ぎ
その瞬間、金色の札が加世達を守る
薬売り
退魔の剣が、化猫の攻撃を防ごうとするが
退魔の剣
だが、
薬売り
薬売りは吹き飛ばされてしまう だが、薬売りの脳内に 「誰かの」記憶が流れてきた
薬売り
薬売り
薬売りは血を吐き、退魔の剣にそう問いかける
そして、自分の片手をみて
薬売り
そう小さくつぶやき、
化猫へ取り込まれていった
そして、化猫は笹岡、伊國、さとへと襲った
さと
さと
さと
白い空間の中、薬売りは彷徨っていた
その時、ふと、
誰かに頭を撫でられる触感に
薬売り
意識が戻った
珠生
珠生
珠生
猫の雄叫びは部屋へとこだました
加世
小田島
小田島と加世の前には
変わり果てたさとの姿と笹岡、伊國が 赤黒い何かに捕まっていた
そして、赤黒い何かは
3人を
取り込んだ
化猫はまたもや雄叫びを上げ、 壁へと這った
そこの壁には
ぐしゃぐしゃに潰された3人の遺体や、着物が壁にこべりついていた
加世
帰して?
珠生
ぐぎゃりと鈍い音が響いた
珠生
帰してだと?
珠生
若き頃の伊行
そこには、若き頃の伊行と、
珠生がいた
私に指図とは、口の利き方を教えてやる
珠生
この、恩知らずが!!
珠生の体に、伊行は足蹴りにする
そのまま、珠生の体を弄び
薬売り
時雨
薬売り
薬売りの横に倒れていた時雨を 薬売りは横抱きにする
時雨
薬売り
そう言い、薬売りは目線を真っ直ぐにむけ、それに釣られるように目線を変える
時雨
薬売り
その瞬間、退魔の剣は口を開いた
若き頃の伊行
猫
若き頃の伊行
そう言い、伊行は猫を斬り伏せたい
猫の断末魔と、伊行の笑い声が部屋に響き渡った
珠生
若き頃のさと
若き頃のさと
若き頃のさと
珠生
さとが出て行った瞬間、 鳴き声が聞こえた
珠生
猫
珠生は起き上がり、檻の外へ手をだし、天井に手を当てた
その時、何かが珠生の手を舐めた
珠生
珠生の顔は喜びに満ち、
珠生
さとの前に出されたのは、 空の食器だった
若き頃のさと
若き頃のさと
若き頃のさと
珠生
珠生は猫を隠しながら、撫でていた
もっとお食べ
いつかは、
お前は外に
全部食べて良いんだよ
おまえだけは、
よしよし
好きなだけ食べて良いんだよ
強くなって
大きくなって
よしよし、
自由になるの、
あなただけは
良い子、
良い、、子、、
若き頃の伊國
若き頃の伊國
若き頃の伊國
若き頃の伊國
伊國はガリガリとなった珠生の檻を開けた
珠生
珠生
加世
時雨
そして、伊國は珠生の体を弄んだ
加世はそこで泣き崩れ、 小田島は苦しそうに眉を顰め、目線を逸らしていた
時雨
目を逸らしたくても逸せない だってこれは、全て事実なのだから
若き頃の伊行
若き頃の伊國
伊行は珠生の首に鞘のまま刀を当て
若き頃の伊國
若き頃の伊行
若き頃の伊行
伊行は鞘で珠生の体を殴りつける
若き頃の伊行
薬売り
時雨
私の中に、何かが流れてきた
それは、「感情」
猫、猫、
お前だけは、
その瞬間、
猫
若き頃の伊行
伊行は目を血走らせ
若き頃の伊行
猫は伊行の手を爪で引き裂いた
若き頃の伊行
お逃げ、、猫、、
猫
猫は出口へと走り出した
若き頃の伊行
お前は、外の世界へ、
お逃げ、、猫、
可愛い、可愛い、猫、猫、、
一人でやっていくんだよ
珠生
さようなら、
笹岡
笹岡
そう言い、珠生を、
池に沈めた
そして、現在へ戻った
加世さんは泣き崩れ、小田島は項垂れており、
伊行は寝転がっていた
時雨
憎しみ、哀しみ、愛おしい、願望、絶望、希望、
時雨
大丈夫、大丈夫です、 あなたの思いは、私に刻まれました
私は胸にしまい、薬売りから降ろしてもらった
薬売り
時雨
薬売り
時雨
薬売り、時雨 「しかと、受け取った。 受け取りました」
かちん、と退魔の剣が鳴る
「真」と「理」によって、
時雨
時雨
剣を
薬売り
薬売りは左右に人差しを向け
薬売り
薬売り
退魔の剣
その瞬間、薬売りの身体は金色の札に包まれた
時雨
私は咄嗟に目を瞑った
目を開けると、
薬売り
時雨
褐色の男がいた
ぐぉぉぉ!!!!
薬売り
化猫が褐色の男に攻撃を仕掛けると、金色の札で阻止し、
退魔の剣
退魔の剣を抜いた
時雨
褐色の男は宙を舞い、化猫に剣で突きを喰らわせた
薬売り
薬売り
薬売り
薬売り
褐色の男は剣を横へと向け
薬売り
褐色の男は壁に剣を当て、 壁に貼り付いていた化猫を
斬った
薬売り
そして化猫は
破裂し、散っていった
時雨
私は咄嗟に目を瞑り、
時雨
目を開ければ、 そこには薬売りがおり、
時雨
薬売り
私は薬売りの足元にいる猫の亡骸をそっと膝の上に乗せた
時雨
私の呟きは、紙吹雪に乗せられ、 消えていった
そして、長い夜が明けた
私達は猫のお墓を作った
加世
小田島
時雨
私は花を添え、両手を合わせた
加世
時雨
加世
加世
時雨
私は思わず目を見開いた
同刻
伊行
伊行
伊行
伊行
薬売り
薬売り
薬売り
加世
私は加世さんに様々な着物を着せられていた
私は破けた着物を脱がされ、 桜の花がよく映えている紅い着物を着せられた
加世
時雨
加世さんは私の髪を梳かしていく
加世
加世さんが突然そんな質問をしてきた
時雨
加世
加世
加世
時雨
確かに、化猫に取り込まれた時、 浮かんだ顔は薬売り様だった
時雨
でも、
時雨
あの時、貴方があの狭い世界から 連れ出してくれたあの日から、
私はどうしようもなく、 貴方を知りたいと思っている
加世
加世
加世さんは頬を赤く染めながら、そう言ってくれた
時雨
加世
加世
時雨
鏡には、紅い色の桜に、椿が入った簪が横に刺さっており、 後ろは一つにまとめられていた
時雨
加世
時雨
加世
時雨
時雨
加世
時雨
私と加世さんは抱きしめあった
薬売り
薬売りは大玄関からでてくると、小田島がいた
小田島
小田島
薬売り
薬売り
小田島
その時、薬売りが遮る
薬売り
薬売り
蝉の声が、二人の間に響き、
小田島
そう言い、小田島は去っていった
私が屋敷を出ると、薬売りは門の前へと待っていた
時雨
薬売り
私は薬売り様の側へと駆け寄る
薬売り
時雨
時雨
私は頬を赤く染めながら、そう答える
薬売り
時雨
時雨
私はそう言い、目を伏せた
その時、するりと薬売りの手か私の頬を撫でた
時雨
薬売り
薬売り
時雨
薬売り
薬売り
時雨
私は嬉しはのあまり、頬を赤く染め、
時雨
薬売り
薬売りは私に手を差し伸べ
薬売り
その手の上に、私は手を乗せ
時雨
私達は手を繋ぎ、門を出ていく
番人
門の番人が私達に駆け寄った
番人
番人
その時、門から声がした
「猫、猫、!ふふっ、こっちへおいで」 「にゃぁぁ!!」
「ありがとう」
時雨
薬売り
私は目を見開かせ、そっと微笑んだ
薬売り
今日は、暑くなりそうだ