桃青 浮気

仕事から帰って”いつも通り”ドアを開けて、目の前の光景にびっくりした

僕の恋人と大親友が、キスをしていたから

彼が放った言葉がずぶりと胸を刺す 耳の遠くで赤くんの焦って否定する言葉が流れていく…

きっと一瞬の出来事なのに、僕にとっては長くて苦しくて…頭の中ではなんでって思ってた。ひどい、最低だって。

でもそれ以上に大好きな彼が浮気なんて信じれなくて、気づいたら2人とも居なくなってた。

苦しくて、自分がミジメで、手に取ったカッターで腕をエグった

頭がぐらぐらして、気づいたら眠ってしまったようだった

僕は頭の中で、あぁ桃くんとなんか付き合わなきゃよかった、”過去に戻れたらなあ”そんな馬鹿げたことを考えながら…

黄くんだ…ゴメンねこんな穢らわしい姿見せちゃって。ほんとに、ごめんなさぃ。ぼくは最後までだめだなぁ、きいくんに迷惑かけて…

目の前がプツッと赤くなって真っ暗になった

ぼく、昨日桃くんに別れよって言われて、それで……っ、黄くん！！心配かけちゃってるよね、リスカしてるなんて知られたくなかったなぁ

ふと、手元をみる

昨日、あんなにエグったはずの腕は綺麗さっぱり…まるで昨日までのことが夢みたいだ。

アレは夢なんかじゃないはずだ、彼のことを愛してたし苦しかったあの感覚は、夢なんかじゃないリアルだった、考えるだけで涙が出そうになる。

でも、ここ大学だよね。ぼくもしかして死んでく最中とか…？あんなに腕切ってたし。俗に言う走馬灯ってやつなんじゃ、、黄くんの前で死ぬとかマジぼく迷惑やろーじゃん

走馬灯にしてはリアルだなぁ、橙くんとは仲良かったけど大学出てからは疎遠になっちゃったから最後に会えてうれしいな。

橙くん慌ててる、僕のせいだ…走馬灯でも人に迷惑かけるとか最悪。ごめんなさい、、早く僕なんて死ねばいいのに。

まぁ、寝てるうちに死んだほうがいいよね。なんかほんとに大学に戻ってきてるみたいで変な感じ…

それから何分経っても死ねなかった、なんなら橙くんが心配して医務室まで来てくれて。申し訳ないな、走馬灯ってこんなに長いんだ。

そういいながら僕の頭をなでなでしてくる、そうそう昔はよくこうやって甘やかされてたんだ…しあわせ。