すち
俺は崖のすぐ端に立った。
闇に混ざる水平線の上に、 白くて大きな月が浮かぶ。
初めてここに来た時は、 ひまちゃんもいて
朝…かな、 水平線から登る朝日を見てた。。
すち
俺は月に手を伸ばした
届きそうで届かない月を。
蝉の声はいつの間にか 薄れていた。
俺の耳には、 海が岸を打つ音が、
淡々と届くだけだった。
すち、と俺の名前を呼ぶ
君の声が
波とともに聞こえてきた気がしたー…
らん
慌ただしい、らんらんの声に
俺はビクッと肩を振るわす
すち
控えめにそう言えば
らん
らん
らん
らんらんは、凄い優しかった
俺の腕を掴む手の力も
凄い優しくて…
すち
すち
すち
らん
らんらんは俺を見た。
俺もらんらんを見た。
すち
すち
らん
すち
俺はそれを見て、 言葉が出なかった
黙ってらんらんにその画面を見せる
らん
らんらんの顔には喜びの混ざった笑顔が浮かんだ。
らん
らんらんの目に少しだけ涙が浮かんでいて
それであって宝石のように輝いていて
すち
こさめちゃんたちにも、 伝えないとな
俺は心の中でそう呟いた。
みんなどんな反応するかな
退院したらまずどこに行こう
そう言えば夏祭りがあった
その時にみんなであの場所に行こう。
考えるだけで笑みが溢れる。
嬉しそうに俺に抱きつくらんらんは
笑いながら泣いていた
『わかった。』
そう送れば、
意外にすぐに既読がついた。
コメント
4件
なつくん(´;ω;`) 退院だぁぁぁ夏祭り行けるといいなぁ
あ、…( ;∀;)このストーリーってめっちゃ神作いや、超神作だ! 続き待ってるよ!