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学院校長 ジェビラ

...さて、姓の授与は終えましたので眷属の儀を行います。

学院校長 ジェビラ

オーロラ。この床の前に立ってください。

オーロラ

...はい。

名も無い様な村に幽閉状態であったオーロラは、吸血鬼以外の種族には全く触れて来なかった。

上位身分の特権として扱われ、幸せに暮らしていたかも知れない異種族を、自由を奪って飼い慣らす行為である【眷属】を与えられるという事は

オーロラにとって奇妙かつ、大変悪趣味な事のように思えた。

オーロラ

(...けど、今の様な身分差別を無くす為には、証明しないと。)

オーロラ

(農奴だろうが平民だろうが、貴族や王族と同じ。特権や優劣なんて無いってことを...!)

男生徒1

『...なぁ、アレ本当に眷属を召喚できると思うか?』

男生徒2

『できる訳ねぇだろ!できたとしても、眷属を調伏できねぇよ。不器用で要領なしの農奴なんかが…』

学院校長 ジェビラ

この【詠唱本】にある詠唱文を詠唱し、眷属を召喚してください。

学院校長 ジェビラ

召喚に成功したら自身と
眷属、互いに血を摂取して眷属と主人としての関係をより強固にします。

学院校長 ジェビラ

ただ...眷属として召喚された異種族は全て温厚な存在とは言えません。

学院校長 ジェビラ

こちら側も対策しますが、
もし襲われた場合は速やかに逃げてください。

【詠唱】は入学試験の筆記問題に出てきてはいたが、実践は初めてだった。

失敗への不安を何とか抑え込み、詠唱を始める。

オーロラ

__天に召します我らが父よ、我らの繁栄と栄光の為
絆の恩恵を私めにお恵みください。

詠唱を終えたその直後、眩い光の筋が幾本も天へ射出される。

オーロラ

っ……!眩し…

光が弱まり、魔法陣に立つ人影が濃くハッキリと見える。きっとあれが、【眷属】なのだろう。

ドラゴニア

う゛ぁ……あ…

優に2mを越す身長、立派な角、逞しい翼や尾、その眷属の姿の全てが、オーロラにとってとても新鮮だった。

ドラゴニア

......ッ?!

ドラゴニア

ッ!!!ギァア゛ッ!!!

学院校長 ジェビラ

ッ!!いけません!逃げて!!

ドラゴニア

グル゛ル゛ァ゛ッ!!

ドラゴニアは一気に距離を詰め、オーロラの首元に噛みつく。

オーロラ

い゛ッ...!?

女生徒1

キャアァアアッ!!

男生徒1

おいおいマジかよ!?

男生徒2

俺らも喰われるぞッ!!

観戦していた群衆はドラゴニアに襲われまいと、一斉にその場から逃げ去ろうとして、大渋滞と大混乱が起こった。

オーロラ

......ぅ゛う...ッ

オーロラ

......ッ!!

血を交わすタイミングは今しかないと、オーロラは咄嗟にドラゴニアの首元に噛みつき返す。

ドラゴニア

ッ!!...が...あ゛ァ゛...!!

互いの首元に刺さった歯はどんどんとくい込み、自然と互いの血が口に含まれる。

学院校長 ジェビラ

オーロラ!!無理をしないでくださいッ!!今離し_

バリリリリリッ!!

ドラゴニア

がぁ゛あ゛ァア゙ア゙ッ!!!

ドラゴニア

...…ッ

突如、どこからか放たれた雷の魔法が オーロラと組み合っていた“ドラゴニア のみ”を捕縛する。

そして、その魔法の電撃によりドラゴニアは意識を落とした。

オーロラ

……ッ!?(さっきまであたし、彼女にしっかり組み付いてたのに…一瞬で引き剥がされた…?)

???

…………

オーロラ

……!

オーロラ

(あっちの群衆の方から魔法が来たけど…もしかしてさっきの、あの白髪の人が…?)

学院校長 ジェビラ

(…あぁ、“あのお方”が…余計な手間をかけさせてしまったな…)

学院校長 ジェビラ

…今回復魔法をかけます。

ジェビラがそう言い魔法をかけると、オーロラの傷はみるみるうちに癒えていった。

学院校長 ジェビラ

危険な目に合わせてしまいすみませんでした…あのドラゴニアはこちらで“処理”させていただきます。

オーロラ

......!

オーロラ

(処理って...殺処分のこと…?だとしたら彼女は殺される!)

オーロラ

待ってください!

学院校長 ジェビラ

…なんですか、オーロラ。

オーロラ

そのドラゴニアは、急に見知らぬ場所に飛ばされて動揺していただけだと思います…

オーロラ

私も、どうにか早く血を交わそうとして、避けようとしていなかったんです…なので…彼女を、生かしてあげてください…!

学院校長 ジェビラ

それはできません。

学院校長 ジェビラ

生徒に危害を及ぼした者を処分することは、学院側としての責任です。

学院校長 ジェビラ

それにコレをそのままにしておくと貴女だけでなく、より多くの生徒に被害が出る可能性もあります。

オーロラ

……私がドラゴニアの責任を負います。

オーロラ

3日間で彼女を完全に制御します。

オーロラ

その間に彼女が問題を起こした場合、全ての責任を負うため、私を退学にさせてください。

オーロラ

どうか…お願いしますッ!

学院校長 ジェビラ

…一つ聞いても良いですか。

学院校長 ジェビラ

何故貴女はそのドラゴニアを、そこまで庇うのですか?

学院校長 ジェビラ

貴女や他生徒に危害を加えかねない者を、何故…

オーロラ

…私が召喚した事で、彼女を混乱させてしまったことに罪悪感を感じているからです。

オーロラ

彼女はきっと私の事が嫌いです。それでも…彼女を暴れさせてしまった事を、私なりに償いたいんです。

オーロラ

彼女の意思で眷属になってくれれば警戒が解けてもう暴れたりしない...そう思って...

学院校長 ジェビラ

……成程。素晴らしい心意気ですね。

学院校長 ジェビラ

__オーロラとドラゴニアの眷属関係を認承します。

オーロラ

……!!

ジェビラのその一言で、今まで通夜のように静まり返っていた周囲の教師や残っていた生徒が騒然とする

オーロラ

本当…ですか…!

学院校長 ジェビラ

えぇ。貴女の気持ちを尊重して、私も尽力いたします。

オーロラ

…ありがとうございますっ!

男性教師

な...!ジェビラ校長!もう一度よくお考え下さい!

男性教師

そのドラゴニアによって我々が尋常じゃない損害を被る可能性が大いにあります!

男性教師

今までも抵抗する眷属は一定数いましたが、その全てが迅速に対応できる程度のもの...

男性教師

しかし今回は!姿を現した時、我々は“凄まじい魔力量により威圧”されて瞬時に動けなかったでしょう!

学院校長 ジェビラ

...えぇ。私も本当は、すぐにでもドラゴニアを処理して眷属の儀をやり直したい。

学院校長 ジェビラ

しかし、彼女の意志の強さとその信用は、彼女自身の実力によって裏付けされています。

学院校長 ジェビラ

実際、彼女は入学試験の魔法能力試験において、魔力適正能力の項目では“飛び抜けて秀でた”成績を残しています。

男性教師

...それは...

学院校長 ジェビラ

もちろん、私自身も私の行動に責任を持って彼女を支持します。ドラゴニアへの対策や彼女の行動制限など、ぬかりなく行うつもりです。

学院校長 ジェビラ

...彼女はきっと入学するために人一倍血の滲む様な努力をして、苦しみを味わったでしょう。

学院校長 ジェビラ

そんな思いをしてまで入学したにも関わらず、問題を起こした場合彼女は退学さえ受け入れるつもりです。

学院校長 ジェビラ

__その確固たる意志と
ドラゴニアに…眷属に対する想いを尊重したい。

学院校長 ジェビラ

貴方達教師にも負担はかかります。しかしどうか…この私の我儘に、協力してもらえませんか。

男性教師

......いえ、私こそ校長のご決断を疑ってしまい申し訳ありませんでした。

男性教師

私もそのご意向に従わせていただきます。

他に居た教師達も、口々にジェビラの指示に従う事を宣言した。

学院校長 ジェビラ

...ありがとうございます。

学院校長 ジェビラ

まだ集いの場に残っている者は、直ちに指定された教室に向かってください。

学院校長 ジェビラ

...そしてオーロラ。貴方は私達と一緒に校長室へ。

教室

校長室では、これから5日間の行動についての制限や注意、眷属への“安全装置”などの説明を受けた。

説明を受けた後、オーロラは自らに振り分けられた教室へと向かう。

オーロラ

(...ここが私の教室)

オーロラ

(数字表記の地域差があり過ぎるから、異国の数字表記を使ってるんだっけ)

オーロラ

(にしても少し分かりづらい...)

教室のドアを開けると、教室に居る大衆の視線が一斉にオーロラを捉えた。

と同時に、オーロラから距離をとるように少しずつ教室の端に寄っていく。

オーロラ

(...当然よね。召喚して早々に暴れた異種を、校長に無理を言って自分の眷属にしたやつだし...)

オーロラ

(それに今、私のブローチにはその眷属が居るわけだし...)

生徒にはブローチのついたリボンの着用が校則で義務付けられている。

そのブローチの【封魔宝石】に眷属を封じて、肌身離さず所持するためである。

つまりオーロラの胸元には、生徒達を危機に晒したドラゴニアが封じられている。

そんな生徒達の脅威と化したオーロラに、近寄る者が居た。

エウレカ

あっ、あなた!さっき集いの間で姓の授与と眷属の儀をしていた子だよねっ!

オーロラ

えぇ。そう、よ…

エウレカ

私、エウレカ!
エウレカ・ナターシャ!是非エウィって呼んでね!よろしくっ!

オーロラ

えっと...オーロラ・ポッシビリタです。よろしく...?

エウレカ

素敵な名前!じゃあ、ローラって呼ぶね!

オーロラ

…えぇ、好きに呼んでね。

エウレカ

ドラゴンちゃんがローラを襲った時つい叫んじゃいそうだったけど、ローラが噛みつき返した時はすっごく驚いたな〜!

エウレカ

勇猛果敢だったよ〜!

オーロラ

ありがとう…
(普通は私を避けたがるはずなのに...友好的というか...)

エウレカ

...あ!あなた首は大丈夫?かなり強い力で噛まれていた様に見えたけど...

オーロラ

あぁ...すぐに手当てしてもらったから平気よ。心配してくれてありがとう。

エウレカ

そうなんだ!良かったぁ...あっ!そういえばあなただけ校長室に行っていたけれど、校長室で一体どんなお話を__

???

そこまでにしておけ。エウィ。

???

少々困っているように見える。

オーロラ

(...あの時、魔法で助けてくれた人...)

エウレカ

あぁっ、つい詰め寄っちゃった...!ごめんなさいっ!

オーロラ

い、いえいえ!

オーロラ

えっと、私はオーロラ・ポッシビリタです。貴方のお名前を聞いても...?

アーロガント

俺はアーロガント=エスペランス・サティスフィアだ。宜しく頼む。

オーロラ

......っ!?

彼の姓の【サティスフィア】は王族の姓である。

それ以前に新聞、張り紙、様々な媒体を通して彼がサティスフィア王国次期国王の第一王子である事が分かる。

しかし辺境の田舎村出身のオーロラは ズタズタに破けたポスターや新聞しか目にせず、そのほとんどから王子の容姿や名前については全く解読できなかった。

オーロラ

……貴方って、次期国王なの...?

アーロガント

あぁ。集団としての生活を通して国を導くための気づきを得るため入学した。

アーロガント

是非、かしこまらず対等に
接してくれ。

オーロラ

は...はい......

エウレカ

きゃ〜っ!未来の国王様が私達と同じ場所に居るなんて奇跡ね!よろしくねアーロっ♪

アーロガント

エウィは随分と威勢が
いいな...

オーロラ

……あの…眷属の儀で、助けてくれてありがとう。

???

あぁ…気にするな。すべき事をしたまでだ。

エウレカ

えっ!あれってアーロ
だったのっ!?

オーロラ

(...あのアーロガントって人とは仲良くしておいた方が良さそう。)

オーロラ

(彼に身分差別を訴えたら、何か行動に起こしてくれるかもしれない...)

オーロラ

(私自身の力で差別を変えてみせると息巻いていたけれど...いざとなったら彼を利用してでも...)

???

随分と騒がしいじゃない。

オーロラ

っ?
あなたは…

???

あぁ...灰髪の貴女、
「農奴の癖に貴族の猿真似をして、更にはドラゴンを無理矢理眷属にして驕っている」っていう噂の子?

???

全く、今年は忌み年ね!
いつからミハティア“貴族”学院はこんなのを入学させるまで落ちぶれたのかしら?

オーロラ

……っ!

アーロガント

...口を謹め。エレクト・フロマージュ。

エレクト

あら、私何か皇太子殿下の
お気に障る様なことを言いまして?もしそうだとしたらごめんなさい。

アーロガント

俺ではない。オーロラに謝れ。

エレクト

はぁ...ごめんなさいね〜?灰髪さん?

オーロラ

...オーロラ・ポッシビリタです。

エレクト

はっ!下位層の名前なんていちいち覚えないわよ。

エウレカ

エレクトちゃんっ!人にそんな失礼な事を言っちゃ駄目だよっ!

エレクト

あぁはいはい。誠に申し訳
ありませんでした。っはぁ...善人のふりがお上手なこと。

エレクト

......あんな下位層、すぐ追い出してやるわ。

そう呟くと、エレクトはすぐに自分の席に戻った。

オーロラ

(……絶対、負けない…!)

吸血鬼と眷属《栄光たる夜明け》

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