金のない自分は
躰を売る事で生きていけばいい
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そう言って金を置き
一室から出ていく
汐音.
足音が遠かったのを確認し
ベッドに埋もれるように飛び込む
汐音.
「疲れた」
この言葉を押し殺し
溜め息に変えて躰から出す
どこぞの男にあんあん喘いで
みっともないってわかってる
こんなの馬鹿だって分かってる。
でもね
みんながしている「お仕事」と同じことをしているの
自分より立場が上の人にご奉仕して
お金をたくさん貰おうってするの
汐音.
ポケットに入っていた小銭を出し
次の仕事でちゃんと声が出せるよう喉を潤す
汐音.
俺の携帯にはdmが送り続けられ
これぞまさに鳴り止まないiPhone…つってね
通知は確認せずとも男だらけ
どれもこれも吐き気がするメッセージ
天然水を飲み干し
ペットボトルを潰す
口が空いたままで
よだれが出てくる。
胃酸の様な
吐瀉物が出てくる時のような
そんなにおいが口内を満たす
汐音.
汐音.
汐音.
目から鼻から口から
液体がとめどなく出てきて
ついには空まで液体を出す
突然の雨に苛まれ
顔面のどこの穴も痛がって、痙攣している
脚も頭の変化に順応しきれず
とうとう立っていられなくなった
汐音.
汐音.
汐音.
絶え間なく出続ける嘔吐く音に
雨も絶え間なく降り続ける
傍から見れば、
自販機の前に座っている変な男。
暁斗.
汚い俺の目の前に手が差し伸べられる
今まで会ってきた男じゃない
躰を求めて俺に手を差し伸べたわけじゃないし
この人の手は
ホテルに連れてって
手を引いてベットへ連れていく
汚い俺と汚い大人、2人の手じゃあない
言葉も出さずに彼の手をとった。
暁斗.
暁斗.
どうやら意識のない時に
彼の家へ連れて行かれたようだ
名は鳳暁斗と言い、
普通のリーマンだそうだ
暁斗.
俺は、彼のトレーナーの裾をつかみ
こう言った
汐音.
汐音.
汐音.
目が覚めた。
乾いた目から少しばかり涙が出る
自分の胸の辺りにゴツい腕が触り
昨日の夕方を思い出す
胃酸の匂いが思い出されて
慌てて口を手で閉じる
汐音.
暁斗.
暁斗.
汐音.
「ここからお金を渡されて」
「僕は家に帰るんだ」
そんな事を考えていたら
口が勝手に動いていた
汐音.
汐音.
汐音.
汐音.
汐音.
俺は暁斗さんを見ずに言った
どうせ無理だから
暁斗.
暁斗.
汐音.
暁斗.
暁斗.
暁斗.
汐音.
暁斗さんは頭を抱えた
汐音.
汐音.
暁斗.
暁斗.
暁斗.
暁斗.
暁斗さんの言葉がわからなかった
汐音.
汐音.
暁斗.
頬を赤らめ言った
俺には
俺を躰以外で愛してくれた人ができました
''躰でなく、心で。'' end
コメント
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言葉が出ん… 最高でしたあざした…