君を知れたとき。

真実に辿り着く。

そう決めたはいいが…

そもそも探偵なんて言葉だけで、 実際俺は学生なのだ。

警察から情報を聞いたりなど当然できない。

つまり、証拠を得ることはできないのだ。

俺が真実を知っても、それを裏付ける証拠はない。

証拠が無ければ、俺のただの妄想で終わってしまう。

妄想なんかで終われはしない。

俺は"真実"を知るために『探偵』になるんだ。

見つけてみせる。

大きな手がかりでも、小さな手がかりでも。

今わかっていることは、ゆあんくんは 川で亡くなったこと。

学校へは行っていなかったこと。

死への考え方が少し異常であったこと。

そして考察が必要なのは、ゆあんくんが 自殺か他殺か。

自殺ならば、なぜゆあんくんは"死を選ぶ必要"が あったのか。

どうして川で死のうとしたのか。

といったところか。

まずは、自殺か他殺かをはっきりさせる必要がある。

仮にゆあんくんが他殺だったとき、誰がゆあんくんを 殺したのだろう。

ゆあんくんは学校へ行っていなかった。

つまり、学校絡みの人ではないはずだ。

となると学校外？

だけど、俺とうり以外に誰と関わっていたかなんて 分からない。

"ヤグルマギクのような瞳で変な人"

その頃は軽く受け流したが、これは一体 誰のことを言っていたのだろう。

そもそも、ヤグルマギクとはどんな花なのだろう。

ヤグルマギク、青く美しいまるで宝石のような花。

花言葉は「優美」「信頼」

ゆあんくんが花言葉を気にしたのか。

それは分からない。

でももしそうなら、ゆあんくんとその人は親密な関係であったに違いない。

その人から話が聞けたらそれが早いんだろうな。

ゆあんくんの記事がついにSNSにまで流出した。

この辺で自殺者が出たのは初めてだったため、大きく 取り上げられている。

そこでも使用されているゆあんくんの笑った写真。

涙が込み上げてくる前に自然と別の記事を開いた。

開いた記事にはこの辺でヤクザの被害にあった人が いるというニュースだった。

正直、絶対会いたくない。

とりあえず、探偵がまずすべきなのは 現場検証だろう。

とは言っても警察がテープを貼っていて、 橋からみることしかできないけど。

ぱっと見、橋と川までの高さは15メートル程度。

したが水でなければ死ぬ高さ。

いや、水でも死ぬか？

どちらにせよ、ここから 飛び降りることはしないだろう。

その場合は溺死ではないし。

となると、橋から誰かに落とされた可能性は低い。

ゆあんくんが殺されたと仮定するなら、犯人は どうやって殺人を自殺に見せかけたのだろう？

いや、そもそもどーやって殺したんだろう？

というか、

そう、まず殺される動機すら分からない。

人がいいゆあんくんのことだ。

きっと誰に対しても優しいのだろう。

そんな人間を誰が恨み、殺そうとしたのだろう。

ゆあんくんはあまり家に居たくなさそうだった。

だって死ぬ前日も…。

早く来ていたのは家に居場所が無かったから？

じゃあ…自殺した動機も？

いや、まだ分からないか。

やばい、さっぱり分からない。

せめて、ゆあんくんが自殺か他殺かくらい 分かればな。

そしたらもっと推理だって出来たのに。

家に帰ってもずっと死の謎を考える。

でも、考えれば考えるほど答えから遠のいている 気がする。

ゆあんくんが助かった世界線はあったのかな。

そういうことか？

いや、でもそれだったら…

なんで言わなかったんだよ。

それがきっと1番の近道だ。

いつもの場所で君を待つ。

だって君は、絶対に来るんだから。

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それは確かに不思議に思った。

でも、それと同時に…

友達が死んでいても隠そうとしたものを、 果たして聞いていいのか迷った。

それは…うりが人生を賭けてでも秘密にしたい ものだったのではないか。

そう思った。

それに、

なんとなく察しているから。

君の顔の半分を占めるガーゼ。 首元まである襟。

そして、学校に行っていないにも関わらず 顔にキズがある理由。

もし喧嘩をしているのなら、顔以外にも キズが出来るだろう。

それなのに顔限定であるのは、 "家庭内"で何か事情があったのではないか。

そしてそれは、絶対に警察に バレたくないものだった。

だから言えなかったのだ。

絶対に会いたくない。

そう思っていた。

でもうり、お前なら別に…

会いたくないなんて思わないよ。

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝1000♡