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いつもより騒がしい廊下
何故か周りの視線がいつもより強く感じる
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
そんな言葉だけが大きく聞こえる
躊躇いながらも教室のドアを開けた
クラスメイトの視線が刺さる
気のせいだと思い込もうとしたその時
悪い予感が的中した
クラスメイト
憧埜
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
︎︎
そっと何かが切れたような音がした
︎︎
憧埜
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
憧埜は静かに教室から姿を消した
クラスメイト
クラスメイト
生徒
憧埜の後を追うように紘時は教室から走り出ていった
教室の騒然がその後も暫く残っていた
教室から出て数十秒後
強く拳を握りしめた手が目の前に見えた
結空
憧埜
憧埜
それだけ言って足早に廊下を進んで行く
紘時
結空
紘時
結空
紘時は崩れ落ちた結空に駆け寄って怒りでも悲しみでもないような表情を浮かべる
紘時
結空は下を向きながらゆっくり頷いた
紘時
紘時
自分の言葉の無責任さに気がついていながらその言葉しか選べなかった
︎︎
無責任な言葉ばかりを口にする名前も知らない生徒たち
何も知らないのに
全てを見たような顔で
1つ知っただけでその人の全てを理解出来た気になって
真実を探ろうともせず鵜呑みする
そして無意識的にあるいは意識的に平気で的を傷つける
その視線が2人を絶え間なく刺し続けた
そしてその数分後紘時は悟った
自分もそのうちの1人だったということに
噂話は好きじゃない
それが真実でも虚実でも
それは所詮噂話
それらは大体歪曲していて誇張されていて見ていられるものじゃない
多くの人はたいして本人を知らないくせにその噂を広める
それがもし大切な人だったら
俺は
クラスメイト
クラスメイト
澄
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
生徒
クラスメイト
春紀
クラスメイト
生徒
生徒
クラスメイト
クラスメイト
生徒
︎︎
澄は激しく机を蹴り上げた
耳を突く音が教室に響き渡る
澄
澄
澄
教室は一気に静まり返り誰1人喋らなくなった
春紀
張り詰めた空気の中
澄は平然を装えなくなっていた
激しい怒りと出処の分からない罪悪感で溺れて息が出来なかった
憧埜は屋上へと繋がる階段の1番上の段で座り込んでいた
紘時
憧埜
紘時
紘時
憧埜
憧埜
紘時
憧埜
憧埜は泣いてるわけでも酷く落ち込んでいるようにも見えなかった
ただ空虚な笑顔を混ぜて落ち着いた声で話していた
紘時
憧埜
紘時は憧埜の1つ下の段に腰を置いて耳を傾けた
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
渇いた笑顔を浮かべる憧埜に相反して紘時の表情は次第に曇っていく
そんな顔で笑わないでくれ
俺の事信じてくれよ
前までの俺なら簡単に言えた言葉
それももう今は言えない
何故なら今俺の手と足は震えているから
もっと簡単に言うなら
憧埜
紘時
憧埜
だめだ
隠せない
俺が憧埜に嘘つくなんて不可能だ
それでも隠すつもりだったこと
隠さなければいけなかった
紘時
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
紘時
紘時
憧埜
憧埜
憧埜は右手を前に差し出した
紘時はゆっくりと震えた右手を伸ばす
そしてその手は意思に反して落ちて行った
紘時
それでもなお憧埜は微笑んだ
憧埜
憧埜
憧憬は立ち上がって階段を静かに降りて去っていった
傷だらけの笑みの裏にどんな悲しさや苦しさが隠れているのか
俺は知ってた
きっと誰よりも早く
俺たちは小学生3年生の時初めて一緒のクラスになった
初めの印象は
明るくて優しい感じの子
友達が多くていつも周りに友達が居た
小4になるまで特別仲良い友達って言うわけでもなかった
あいつには廻青がいたし
でも俺は1番信頼していた
憧埜は全部受け入れてくれた
俺が好きな女の子の話、兄と喧嘩した話
何かあればすぐ相談してた
あの頃から憧埜は俺の親よりも俺の事を知っていたと思う
紘時
憧埜
憧埜
紘時
紘時
憧埜
学年を重ねても憧埜に好きな人ができることはなかった
今思えばこの思い込みも全部憧埜を傷つけていたんだろう
中3の冬
互いに話しかけず、避けているように見える憧埜と廻青を見て
今までの優しい嘘に何となく気がついてしまった
それでも知らないふりをしていた
多分それが俺の答えだったんだ
俺がたとえ謝っても謝らなくても
きっと許して笑ってくれる
そんな優しさに甘えてきた
なのに俺は憧埜の本当を受け入れられないでいる
どうすれば良かったんだなんてあいつが考えることじゃない
俺はどうすれば良かったんだ
俺はどうすればいい?
幸せになって欲しい
その言葉に嘘は無かったはずだ
気持ち悪い
違う
怖い
違うんだ
俺はただ
︎︎
憧埜
お前は自分を何度も掻き消して偽って1人で戦ってきた
俺には到底できない
ごめん
嘘を突き通せなくて
もっと早く嘘に気づいてやれなくて
ごめん
3階への階段を降りきった憧埜は再び座り込んだ
1つの足音も聞こえない
話し声も聞こえない
本当に孤独になってしまったみたいなそんな気がした
もう紘時の前では泣かない
そう決めたから
ごめん
嘘を突き通せなくて
もっと早く嘘に気づいてやれなくて
ごめん
堪えていた涙が一気に溢れ出す
曇り空には少しの陽光も零れていなかった
零
俯く結空の顔は涙で潰れていた
零
結空
結空
言葉も儘ならない結空の背中を優しく撫でながらやるせ無い気持ちが広がる
零
零
教室の喧騒は泣き声と嘆きを即座に飲み込んでしまった
いつもは話し声や笑い声が耐えない部室
今は誰1人口を開かない
それに少しほっとしている自分に嫌気が差していた
沈黙が暫く続いた後ゆっくり扉が開いた
敦志
敦志
恵
淕
︎︎
ロッカーを強く閉める音が聞こえた
秋人
秋人
秋人
秋人は眉をひそめて軽蔑したような眼差しを向けた
憧埜
憧埜
恵
憧埜は目を伏せて部室から離れていく
その後を追うように恵は部室を出た
敦志
敦志は秋人の胸ぐらを掴んだ
敦志
秋人
秋人
秋人
敦志
紘時
声を荒らげた紘時の忠告を聞いて敦志はゆっくりと手を下ろした
︎︎
鈍い音が鳴って秋人は頬を手で覆った
紘時
淕
秋人
淕
淕
淕
淕
淕
淕
淕
秋人
秋人
秋人
淕
淕
淕
淕
淕
淕
互いに本音をぶつけ合う後輩たちを見て強い劣等感を感じる
そんな自分に耐えられなかった
秋人は鞄を背負って淕の肩を押し退けた
そして何も言わず部室を飛び出した
紘時
淕
紘時
紘時
わかってる
こんなのは俺らしくない
俺が進みたい道が正解か不正解か
誰も知らないし教えてくれない
これ以上誰も傷つけないために
せめて今だけは
憧埜の代わりを演じるために
紘時は後輩たちを後に残して秋人の後を追った
恵
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
恵
恵の言葉はいつだって笑ってしまうくらい真っ直ぐだった
それを羨ましく思う時もあったなんて言ったら笑われてしまうだろうか
泣きたい時は泣いて
一人でいたい時はそう伝えてくれたし
嘘が下手で
聞き返したらすぐに本音を言う
そんな恵に憧れていた
紘時とは違う色をしている
僕の中の光だった
憧埜
憧埜
恵
恵
恵
恵
恵
恵
憧埜
憧埜
憧埜
恵
恵
恵
恵
恵は置いていかれないよ
僕が1人にしないから
恵は1人じゃない
恵
恵
恵
恵
恵
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜
憧埜が見せたその表情をみて
恵は何も言葉を返せなくなっていた
憧埜
憧埜
校舎の中へと消えていくその背中には
数え切れない無数の傷が残っていた
紘時
白い壁の隅で秋人は静かに座り込んでいた
秋人
紘時
紘時
秋人
紘時
秋人
紘時
紘時
紘時
風が削ぐように肌を滑っていく
数十秒経ってから秋人は顔を上げた
秋人
紘時
大きく息を吸い込んでから秋人は真実を吐き出した
秋人
心拍数が上がっていく
絡まりあった本音と嘘が全てを引き裂く
秋人の目は少しだけ揺れている
正しさで埋めた間違いに
不意に2人は気づいてしまった
崩れていく正しさの城壁に
もう縋れなくなっていた