テラーノベル
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シヴァ
あれから数時間後
俺の家の中は、想像を絶する大騒ぎになっていた
買ってきたペット用ミルクを小さな皿に入れると、子猫達は一斉に群がりぺちぺちと小さな舌で飲み始める
そのときの光景は、ほんとうに可愛くて正直何枚も写真を撮った
――だが、その後が問題だ
シヴァ
シヴァ
シヴァ
カーテンをよじ登るミヌエット、観葉植物を千切ろうとするシャム猫、段ボールの中でじゃれ合うスコティッシュフォールドとラグドール…
シヴァ
…疲れる、体の芯から疲労がにじみ出てくる
そう、疲れるんだ、疲れているはずなのに…
俺の口元は、自然と笑みがこぼれ落ちていた
シヴァ
疲労を超えた猫達の可愛さが、すべてを上書きしてくれる
楽しげに動き回る猫たちを尻目に、エプロンを着ながら台所に向かう
元々料理をするのは慣れていて、これからは猫用ごはんの研究もしてみようかなー …なんて、こいつらを買う前提でいろんな想像を膨らませ、自分の夕飯を作った
翌朝
くすぐったいような、耳元をかすめるふわふわした感触
頬に触れる、温かい吐息
そして、耳鳴りのように重なっていく、柔らかい声
…あぁ、そういや俺、猫拾ったんだった
そんで、ミルクとか寝床の用意で遅くなって、結局ソファで寝落ちしたんだっけ
『__シヴァさん、起きて』
シヴァ
半分寝ぼけながら、気だるげに重いまぶたを開く
じゃぱぱ
シヴァ
突然視界に飛び込んできた光景に、一瞬俺の呼吸が止まった
起きたら目の前に見知らぬ人間がいるんだ、誰だって呼吸が止まる
シヴァ
シヴァ
寝ぼけてまともに動かない脳がようやく冷めたと同時に、ソファから崩れ落ちる
警察を呼ぶために、俺はおぼつかない手付きでスマホを手に取ろうとした
じゃぱぱ
じゃぱぱ
そう必死に訴えてくる謎の男をもう一度視界に入れた時、目を疑った
頭上には茶毛がふわりと揺れる三角の耳が生えており、腰下のあたりからは長い尻尾が、ゆったりと左右に揺れている
シヴァ
言葉にならない声が漏れる
冷めてきたとはいえ、寝起きの頭では今の状況を処理するなんて到底不可能だった
更に視線を動かせば、部屋のあちこちに目の前の男を除いた十人の男女
ピンク髪に白い耳を生やした少女は、机の上においてあったお菓子を頬張っている
金髪に茶毛の耳が生え、眼帯をつけている少年は、俺を見るやいなや他の誰かに『シヴァさん起きたでー!』と耳が痛いほど大きな声で叫んでいる
同じく茶毛の耳が生えた赤メッシュの黒髪の小柄な少年は、そこらで尻尾を振り回しながら飛び跳ねている
その他の人達も、同じく同様に猫耳と尻尾が生えていた
…しかも、その耳や尻尾は昨日見た子猫たちと同じ柄をしていた
シヴァ
たっつん
じゃぱぱ
ゆあん
シヴァ
のあ
シヴァ
シヴァ
のあ
じゃぱぱ
るな
ゆあん
なおきり
もふ
えと
うり
ヒロ
どぬく
たっつん
シヴァ
ど、どうなってんだこれ…
コメント
1件
話の内容めちゃくちゃ好きです🫶🏻︎💕︎︎ こういうパロ待ってました🐱