零
菫さん!?
菫
ぇ、ぁ
まずい、今は
菫
だめ、っ
零
何が…、
零
ッ、?ハッ、
実結
ねぇ零くん!急に走ってどうしたの…って…
実結
うわ、めっちゃイケメン…知り合い?
零
っ……
菫
?
ッ、わ!?
ッ、わ!?
涙を拭おうとして上にあげた手が
くんっ、と前に引っ張られて
菫
ちょ、ッ零くん…!?
零
……。
カランカラン…
香澄
あ、零くん…と、菫!?
菫
???
何が起きてるんだ? 何も分からない
零
すみません香澄さん、裏いいですか
香澄
あー…今日だけな
零
ありがとうございます
パタ…
香澄
(あ〜あ〜…)
菫
零くん…!?
菫
なんで、こんなっ
握られた手が熱い
期待してしまう
やめて、胸が痛いよ
菫
痛いよぉ…ッ…
また泣いてしまった
情けない、本当に涙腺どうなってるんだよ
菫
ひぐ、ッ、く…
零
え、!?あ、すみません、手、痛かったですよね__
菫
ち、ッちがう…
零
え…?
菫
俺、っ
初めはなんともないと思ってたのにッ
初めはなんともないと思ってたのにッ
零
…
菫
もう、最近は…ッ…ずっと零くん、の、事考え、ちゃって
零
…はい
菫
ほんとに…痛くて、
零
やっぱり___
菫
手じゃないの、
零
へ、?
菫
零くんと居ると、零くんの事考えると、零くんの笑顔見ると…ッ…もう、心臓が、痛、くて…!
零
は、はい…?
零
心臓、?
菫
うん、胸が苦しい、の
こんなこと言って馬鹿みたいだ
でも止まらない
菫
きっとさっきの子なんかと比べたら、ッ
菫
俺なんて、男だし、年上だし
菫
可愛いとこなんかないし、
菫
年上だけどカッコつかなくてダサいし、
菫
零くん、かっこいいし…ッ…
零
っ、
菫
俺なんか、っ不釣り合いって、わかってるのに…!!
菫
とまら、なくて…!
菫
むしろ諦めようとしたら酷くなって、
菫
しんどくて…!昨日だって多分、これが原因、だし…ッ…
菫
あの、えっと、…
菫
俺、ッ…
菫
…ごめんね、好きになっちゃって、嬉しくないよね、ほんとに…綺麗とか言ってくれたけど、あんなの社交辞令だよね、
菫
ごめんなさい、ほんとに、ごめん、なさ…
零
…菫さん
菫
っ、
つい、
やってしまった
零くん、声が
今までで聞いたことないくらい低い
怖い、顔を見れない、
零
菫さん、顔上げてください
菫
っ…やだ、ッ…
零
嫌ですか、?
菫
やだ…っ
零
なら…嫌だったら殴って
菫
ぇ
返事をしない間に ほっぺに温かい手が当たる
その手はゆっくり俺の顔を上げて…
バッチリと、零くんと目を合わさせた
ツキ、と胸が痛む音がする
菫
ひぅ、っ、ぐ、ッ
喉をひく、と鳴らすことしかできない
真面目に話せない
言葉に、できない
零
菫さん…
菫
ッ、れ、ぃ、く゛、ッ
あーあ、不格好だよ
砕けるときまで不細工って。
もう駄目だな
零
はぁー……
零くんが突然ため息をついたかと思えば 俺の肩に顔をうずめて。
首筋がくすぐったい
菫
っ、ぅ
零
あの
零
今度は俺に話させてください
菫
う、うん…