モトキ
今夜も彼女は願い胸に
モトキ
星に手を伸ばす
モトキ
親に捨てられた僕らは
ンダホ
海の見える孤児院で育った
ザカオ
養ってくれたのは年老いた修道女
ダーマ
とても優しい彼女は
モトキ
いつもニコニコ笑ってた
ンダホ
貧しい暮らしの中でも
四人
僕らは皆、幸せだった
モトキ
ある日彼女は病に伏し
ンダホ
星に目覚める日が近づいた
ザカオ
彼女の枕元で僕らはこう言った
ダーマ
立派にここまで育ててくれた
モトキ
あなたに恩返しがしたい
ンダホ
どんな無茶でも構わない
四人
何か願いはないですか?
モトキ
彼女はにこりと微笑み
ンダホ
こんな風に答えてきた
ラルル
私はずっと待っている
ラルル
手紙の返事を待っている
ラルル
若かったあの日に出した
ラルル
届いたかどうかもわからない
ラルル
手紙を
全員
もしも願いが叶うなら
全員
もしも罪が許されるなら
全員
あの手紙の返事が欲しい
ラルル
それを待っている
ラルル
叶えられるはずもない願い
ラルル
どうか忘れて
モトキ
と彼女は笑う
ンダホ
誰に出した手紙かさえ
ザカオ
教えてはくれなかった
ダーマ
僕らはみんなで手分けして
モトキ
町中を探し回った
ンダホ
そして彼女の過去を知る
ザカオ
画家の老人を見つけた
モトキ
老人が語る真実
マサイ
彼女はかつて人を殺した
マサイ
多くの人が不幸になり
マサイ
多くの人が涙を流した
マサイ
その罪を背負い死んだ人
マサイ
それが彼女の手紙の相手
マサイ
返事が来ることはない
全員
それでも彼女は待つのだろう
全員
その身が朽ち果てた後でも
全員
きっと彼女は待つのだろう
マサイ
返事が来るまで
モトキ
ついにその時はやってきた
ンダホ
終わりを告げる教会の鐘
モトキ
彼女の枕元に
モトキ
一枚の羊皮紙を渡した
モトキ
それは僕は昨日書いた
モトキ
偽りの手紙の返事
モトキ
彼女はそれを読み終えると
モトキ
最後に
ラルル
ありがとう
モトキ
といった
全員
星に消えゆく悲しき願い
全員
いつも通りのあの笑顔
全員
罪に気づくのはいつだって
モトキ
全て終わった後