コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「お前は家庭にとって唯一無二の家族になってほしい。
だから、唯一の漢字をとって、ゆいだ。」
人の声が狭い室内で木霊する。
「後はこの、心臓をつければ完成だ」
装着音。振動。
「目を覚ませ」
ユイ
目に光が当たった。
人
人は狂ったように飛び上がった
人
ユイ
人
ユイ
ついてこいと人は合図し、
私は狭い部屋を抜けた
車に乗せられ、外の景色を見る
人
ユイ
人
私は生まれたその時から、
所謂、普通以上と言われる経験や知識、理性を、
本能として持って、生まれた
生まれる前まで私はただの鉄屑だったのに、
常識や観念も、植え付けられていたのだ
車が止まる。扉が開くと、そこには
3人の家族が迎えた
ユイ
既視感のある知らない家族。
しかし私は、名前を知っていた
植え付けられていた。
その家族は名前を呼ばれただけで喜び、早速家に入れられた
ユイ
凌くんが、私の手を握った
鉄で構成された不格好でとても五芒星とは言えないものに、
白い分厚い手袋を被せただけの、お粗末な手だ
凌
ユイ
初日は、凌くんと部屋で遊んだ。
絵を描いたり、電車を手で進ませたり。
そんな単純なことをするだけで、凌くんは笑って見せた
その時、この子の笑顔は守りたい、と思った。
下に降りると次は、陽菜さんが晩御飯を作って待っていた
鼻を擽るソースの匂い。
暖かく囲まれた食卓。
陽菜
ユイ
私はオイルの入った瓶からストローが伸びる席につき、
頂きますと皆で言ったあとに飲んで行った。
美味しくも不味くもない
でもこれを飲まないと私は生きていけない
そのことは知っていた
陽菜
陽菜
陽菜
ユイ
陽菜
陽菜
ユイ
ユイ
陽菜
陽菜
凌
凌
陽菜
凌
凌
陽菜
食卓では陽菜さんと凌、それと私が会話を弾ませた。
その間はずっとみんなが笑顔で、非常にほっこりする状態だ
海斗さんは少し口数は少ないけど、
たしかに暖かさは感じられた
その晩。
海斗さんも凌くんも寝静まった家、
冷たい廊下を歩き、
中の光が漏れ出ている部屋の扉を開いた
陽菜
ユイ
陽菜
陽菜
ユイ
陽菜
陽菜さんは困ったようなかおをして、
まあ慣れるまでいいわ、とその空気を制し、
話を始めた
話の内容は、この家について。
母である陽菜さんが家事全般をしていて、
父である海斗さんは働いており、平日はいつも家に居ることはめったにない
故に家事も、休日に少し手伝ってくれる程度。
そして凌くんは、来週から学校が始まり、
もう次で小学4年生らしい
平日は家事を手伝い、休日は凌くんの相手をしてくれと頼まれた。
ユイ
その後も色々話をして、陽菜さんが床につくのは2時半頃になった。
私は……
暇だから、日記でもつけるか絵をかこう。
時はあっという間に過ぎ、もう凌くんが学校に馴染めそうになったころ。
凌
ユイ
学校であったことを凌くんは毎日私に話すようになり、
その時の笑顔が私は好きだった。
けれど今日は、違う
帰ってくるなり、私に涙を出して抱きついてきたのだ
どうやら、嫌なことがあったらしい。
それから毎日、毎日、凌くんは泣いて帰るようになってしまった。
廃墟
まだ綺麗で、誰かがまるで住み着いているような、廃墟
僕は今日、ここに肝試しに来ていた。
ビルとビルの間、
この大きな都市を切り離すかのようにたっている家
主人が精神病にかかり家族を殺した
徴兵令が出て母親が無理心中をはかった。
そのような悪い噂が絶えず、
心霊スポットマニアの俺にはすごく惹かれていた
人
家の中は生活感こそないが、汚くはなかった
玄関、靴箱の上にあるのは1つの本。
日記だった。
好奇心からペラペラと捲ってみる
人
AI、Android
今日、家に機械の家族が入った。
15歳くらいに見える、女性型の機会だ
とりあえず初日は、仕事を与えた。
そう書いてあるページから数十ページが空いた。
もし明日がなかったら。
明日世界が終わったら、あの機械の所有権もなくなる
いや、どうせなら愛して使ってから棄てよう
そうしないと機械のたつ顔がないわ
そこで日記はもう白紙になった。
この不可思議な内容の日記は、
俺の好奇心を擽るに丁度良かった
俺は家の中をもっと探索し、新たな日記を探した
すると今度は、字が敷き詰められて書いてある日記を見つけた。
○月✕日、この家に入った。皆優しく、とくに凌くんは素直でいい子だ
人
それからも、ずっと凌くんのことが書かれていた
そしてある日、字が極端にカクカクするようになった日
○月✕日、凌くんが虐められている。虐めたやつは許し難いが、私はせめて一緒に悲しんで、哀れむことしか出来ない。
人
面白い。
まるでホラーゲームの中に入り込んだようだ
○月✕日、凌くんはもう中学生だ。手を繋ぐと、身長が高くなっているのがわかる。
私の腰までしかなかった身長は、ついに私と同じくらいになり、嬉しくなった
そして、次は。
字が極端に、汚くなっているページ。
徴兵令が出てしまった。
内容は、中学生以上の男子は必ず、女子は任意だ
凌くんは、徴兵される。
久しぶりに凌くんは泣き、私は元気付けるために手を繋いだ。
あれほど小さくて少し握りにくかった手も、いまこんなに大きくなり、身長も少し高くなった
私には、強く生きて、と祈ることしか出来なかった
病に侵されてしまった陽菜さんは豹変した
人が変わったように私を酷使し、徴兵された海斗さんと凌くんをただなげいている
陽菜さんは次第に、私に言葉を寄せるようになった
いけない。このままでは私も心が故障してしまそうだ、
人
傷は自分が負わないと、その痛みはそれまで知らない
結局私は凌くんの愚痴に対して、悲しいふりをしていただけだったんだ
それに私は機械で、心なんてなかった。
陽菜さんはいう。
お前は息子の言葉に耳を傾け、心の中で嘲笑していたんだろ
お前は偽善者だ。今更そんなボロ布をかき集めた服でこの家に留まるな
国に貢献しろ。
人
心さえあれば、あの子の気持ちが分かったのに。
心があれば、痛みを知れたのに。辛さを知れたのに。
戦争は愚かだ。群がくだらん街娼に名誉に硬貨に喰らいつく。
こんな物に人の命を握らせるのは、いつになったらおわるだろう
いつになったら、人は改心するのだろう?
ページはめくられる
傷を負うまで痛みは知らない
悲しいフリしてるだけだった
偽物のくせして。
兵隊に溶けた凌くんは、私を恨んでいるだろうか
さすがに学校とは訳が違う。
それか凌くんは今の方が楽なのかな
学校が始まって徴兵されるまで、貫いて鞭を打たれていた
泥沼の中、何も出来ずにただ踏みつけられるようなものだった
開放されて、早速戦争道具にされて。
今頃は人生に疑問を抱いているんだろう
人生に意味なんか、生きる意味なんてない
ただ死ぬ理由がない廃人が雑踏で賑わうのだ
死ぬ理由が出来たら、いつでも死んで楽になって。
ページはめくられる
私が徴兵されてから、戦う組というのが作られた
バランスのいい役を集めた組。、
その中に、同じ組に、凌くんがいた
凌くんは泣いて喜んでくれた
ページはめくられる
もうボロボロだ
悉に、私の体はかけてしまった
胸の金属はすでにガリガリに抉られ、
両腕もなくなり、
足は左足の膝から先がない
もう絶望しかきこえない
ページはめくられる
今日は荷物を運ぶ仕事を、この組に割り振られた
両手がない私があたふたしていると、凌くんは2人分の荷物を抱え、
木陰に休ませてくれた
自分の不甲斐なさと、凌くん、いや凌の強さが嬉しくて、
陰で、一人で泣いていた
涙なんて出ないのに
息が少し苦しく、胸が締め付けられて、どうにも出来ない虚無感が襲ってくるかんじ
これが寂しさと知ったのは、凌に教えてもらった時だ
ページはめくられる
心さえなければ、この痛身を知らずに済んだのに。
次のページは、
酷く字が粗末で、筆圧が薄かった
久々に家に帰ってきた
銅さえなくなり、硬い服の上に眼帯巻いた顔が乗ったユイを抱え、
椅子の上で死んでいる母を見た
父は既に戦死。
私はもう、死ぬことも許可されていた
さようなら
また、会えたらその日まで
私が笑うとユイは口数の少なくなった口を少し動かし、
わたしのこころは
あなたのおかげでさきました
りょうくん、ありがとう。
そう言い、ユイはボロボロの服から、ねばねばの何かをゴロッとだした
状況で、察す
心臓、動力源
遺書を書く気さえも喪失し、これから僕は死ぬための準備をしようと思う
ユイが見てくれるなら、本望