訓練場の入り口で、ジェジェが冷たい輝きを放つ模擬刀を手に、仁王立ちしている。
ジェジェ
「さあ、来なさい。まずは挨拶代わりに、私の影でも踏んでみせなさい」

その圧倒的な威圧感に、彼氏くんと彼女さんは今にも逃げ出しそう。
そこへ、そらちゃんがトコトコと駆け寄って、二人の肩をポンと叩いた。
そら
「二人とも、ちょっとこっち来て! パパに勝てる、秘密の作戦を教えてあげるから」

騎士君
「えっ、そらさん……あんな化け物(パパ)に勝つ方法なんてあるんですか?」

そらちゃんは、二人の耳元でクスッと笑いながら、とっておきの秘密を囁いた。
そら
「いい? ジェジェはね、『私に関すること』が起きると、脳がフリーズしちゃうの。だから……」

ジェジェ
「……準備はいいですか? では、始めま——」

ジェジェが合図を出そうとした瞬間。
彼氏くんが、教わった通りの「呪文」を大声で叫んだ!
騎士君
「お義父さん! 昨日そらさんが**『今日のジェジェのネクタイ、いつもより1ミリ曲がってて、ちょっと可愛いかも』**って言ってましたよ!!」

ジェジェ
「なっ……!! む、曲がっている……!? そらが、可愛い、と……!?」

ジェジェの動きがピタッと止まる。鏡もないのに、必死に自分の首元を手探りし始め、顔がみるみる赤くなっていく。
そら
「さあ、今だよ!」

そらちゃんが合図を送ると、今度は彼女さんが追撃した。
そらまの彼女
「パパさん! さっき、そらさんが**『パパ、昨日喋りすぎて喉枯れてないかな。あとで蜂蜜レモンあ〜んしてあげようかな』**って呟いてました!!」

ジェジェ
「は、はちみつ……っ! あぁぁ〜ん……だと……っ!?」

ジェジェ
《 報告。……個体名:ジェジェの理神論(ロジック)が完全に崩壊。……脳内が『そらちゃんへの妄想』で埋め尽くされ、戦闘能力が0.01%まで低下しました。……今なら赤子でも勝てます。 》

騎士君
「う、うわああああ!」

チャンスを逃さず、彼氏くんが目をつぶって突進! その指先が、ジェジェの執事服の裾にチョンと触れた。
ジェジェ
「……あ」

そら
「はい、そこまで! パパに触れたから、二人の合格だよー!」

ジェジェ
「……そら、……はかりましたね……。私の、私に対するあなたの愛を利用するとは……っ」

そら
「ふふ、だってジェジェが意地悪するからだよ? さあ、約束通り合格! 午後はみんなでピクニックに行こう?」

ジェジェ
「……っ。……承知、しました……。……ですが、あ〜んの件、……忘れてはいませんよ?」

結局、一番のダメージを食らったのは、真っ赤になって悶絶するジェジェパパなのでした。