RTAY

つぐみは皆の人気者

誰かしら周りにいる

今何をやっているかというと、文化祭の準備をしている

夏休みが終わった後は文化祭、体育祭という超絶面倒なイベントがある

じゃあ、なんで実行委員に立候補したか

つぐみが居るから

ただ、それだけ

大きな御屋敷なんだけど、夜お母さんとコンビニ行く前に会ったんだ

そういうおばさんの後ろに動く影

綺麗な顔をして凄く綺麗な目で私を見つめる彼女

完全に一目惚れだった

倉庫に行くとライカは少し頬を赤く染めたまま立ち尽くしていた

頬に触れるとほんのり熱くて、でもいつもの体温だった

この時気づけば良かった

ライカが感じた匂いは

α‬を誘発させるあの匂いだって

いつも通りのライブ

観客の熱

隣からの熱、後ろからの熱

全部全部熱くて、最高のはずなのに

違う熱が身体の中から湧き上がる

時々感じる匂い

最近ふとすると匂いがする

「うおー！！！！！」

会場が湧き上がる

いつもなら知らん顔とかするのに今日は無言のライカ

顔を見るとまた少し赤くて息も荒いように見える

スティックを鳴らしてドラムを叩く

何か様子がおかしい

いつもはもっと楽しそうに弾くのに、今は辛そう

観客も少しザワザワとし始めている気がする

視線がライカの顔に集中しているように見えた

ライカは少しふらつきながら振り返った

振り返ったライカの顔はなんとも艶めいていて、色っぽかった

音がキュッと止まるとライカは肩で息をして私をただジッと見つめていた

その表情にドキドキと心臓が鳴る

それと同時にそんな顔を観客に見せていた事に凄く嫉妬した

楽屋に戻るとライカは私を抱きしめた

ライカの体温はいつも以上に高かった

目の前に現れたのはついこの間私に告白してきた女の子だった

その子が現れた途端匂いがグッと強くなった

無意識に口が開いてしまい涎が垂れた

笑顔で近づいてくる彼女

ツンと鼻を刺す匂いに息をしないように息を止めた

Ωは社会的にも地位が低い

3ヶ月に1回あるヒートのせいでまともに社会に出られないからだ

だけど、それでもライカを渡す訳にはいかない

黙り込んだ彼女の横をライカの腕を引いて通り過ぎた