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朝の薄い風が頬を刺す
体に黒を纏い電車に乗る。ガラス越しに見える全身は闇に包まれていた。
先を見ても終わりのない永遠で未来も今も過去もなかった。
本来は白く自分の体よりワンサイズ大きい丁寧に編み込んだレースがかった透き通る服を見に纏うはずが
何故だか見えない
実際は何も見えない真っ黒で何年も前の服
ピチッと体に巻きつき離そうとしない
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1人しかいない廊下に足音を鳴らし存在を証明する。
トントンとなる足音。本当はコツコツなるはずだったハイヒール。
大勢人がいても周りには誰もいなかった。
皆そう。一切言を発しない。
まるで自分1人が参加しているように
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まだ一度も触れていないアイシャドウのカラー
触っていないから跡がない
指先がありえないほど濃くなって
自身の肌には合わないトーンで瞼に乗せる
爪の中に挟まって取ろうとしても奥に入って届かない。
頬に白く塗るファンデーション
今まで使ったことのない程の白さを乗せ髪に色がかかる。
元々透き通った美しい肌はすっかり塗りつぶされて白くなった
本当は自分に合ったピンクに血色のいい肌の色
かさつかない丁寧な塗りに払いたくないほどの高価な時間。
ピチッときつい体に合わない服脱ぎとても大きいレースの服に帰る
黒い顔に白い体。とても2つが映える。
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外はすっかり暗くなって顔に塗った色は目立たなくなる。
朝の頬を刺すような風はやみ、お迎えをするような美しい音色を完成させる熱風を浴びせる
空は曇り一つなく雨も降らない
今日は誰とも話をしなかった
会いたい人には会えなかった
もう誰も振り返らない
振り返れないなのだから
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階段を登る音が鳴り響く
白いレースのドレスが輝く
黒く白い肌の上に着るウェディングドレスはより白を強調した
まるで合わない化粧と服装に自分でも違和感が覚えた
でもそういることで少し心が落ち着く
風はさらに冷たくなり髪を撒き散らす
綺麗なドレスは靡き今日一美しい
そして口を少し開き空を向く
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聞き覚えのある懐かしい声に自然と体が振り向いた
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久しぶりに見た彼は服からチラッと見える痩せ細り骨が浮く身体、自分よりも激しい黒い目
でも正直わかってた誰かわ愛するものを”殺した”?
自殺なんて片付けられたけどそんなことしない。あの人なら私を置いてかない
しかし置いてったのなら私自身が守ればいい。追いつけばいい。
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必死に言葉を並べる。目に雫をため溢れてる寸前にもなる。
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体が宙を浮く
味わったことのない快感が体を流れる
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だんだんと緩いはずの風が冷たくなり反抗してくる
ドスッ、心無い音で目が覚める
ドレスは赤かった。赤く丁寧に縫われたレースは
綺麗に染まり誰もが美しいと感じた
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目で追った物体を見送ると声が漏れr…
「バンッ」
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