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桃 。

おはよう、赤くん

次の日の朝、桃は昇降口で俺を待っていた。

白いシャツに桃色のリボン、風に揺れる髪。

少し照れくさそうに笑うその姿は、まるで本物の恋人みたいだった。

赤 。

なんか……本当に付き合ってるみたいだな、俺たち

桃 。

付き合ってますよ、"今だけ"だけどね

冗談っぽく返す桃の言葉に、少し胸がチクリとした。

期限付きの恋。

期限があるから、きっと彼女は軽やかなんだ。

でも俺は、軽やかになんてなれなかった。

日常がすべて変わっていく。

昼休みには、桃が俺の席までお弁当を持ってきて、隣に座った。

周囲の視線が集中しているのがわかる。

桃 。

赤くん、あーん

赤 。

いや、それは……!

桃 。

冗談です。

桃 。

ふふ、顔真っ赤

くすくす笑う桃に、俺は完全に振り回されていた。

でも、悪い気はしない。むしろ、心地いい。

こんな時間がずっと続けばいいのにって_

そう思った瞬間、また"期限"という言葉が頭に浮かんだ。

放課後、桃は俺を屋上に誘った。

夕焼けの空の下、彼女はフェンスにもたれて空を見上げる。

桃 。

今日も楽しかった。

桃 。

……ねぇ、赤くん。

桃 。

恋人って、こうやって一緒に何気ない時間を過ごすんだよね?

赤 。

……そうだと思う

桃 。

じゃあ、私たちも、ちゃんと恋人になれてるかな?

赤 。

……なれてるよ

ふいに桃がこちらを見た。

その目が、一瞬だけ寂しげに揺れて_

桃 。

……ありがとう。

桃 。

そう言ってくれて

その言葉の裏にある想いに、俺はまだ気づけなかった。

ただ、目の前の"彼女"が消えてしまいそうな気がして、言葉を失っただけだった。

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