俺は...喰種じゃない

久しぶりに見たバレー部は何処か寂しそうにしてて、楽しくなさそうだった。

みんな、失敗してばっか。

俺なんかの事、忘れてよ。

本当はみんなとバレーしたかった。

でも叶わないから。

俺は喰種だから。

傷付けたくないから。

もう俺は死ぬしかないんだよ。

こんな喰種、生きてちゃダメなんだ。

研くん...。月島...。影山、山口...。キャプテン、スガさん...。東峰さん...田中先輩。ノヤっさん、縁下さん、木下さん、成田さん...。清水先輩、谷地さん...。

董香ちゃん...。雛実ちゃん、蓮示さん...。店長、みんな。

俺は...もう死のう。

こっそり出れば...。

ﾊﾞﾀﾝｯ

大丈夫だよ。

俺は泣かない。

泣かないから。

研くん探して、早く死ななきゃ。

研くんを見つけた俺はマスクとフードを被った。

ｼｭｯ

研くん。いつの間に大人になってんの。

前はあんなに俺の事睨んでたのに。

なんでこうなっちゃったの。

俺たち、喰種じゃなければ幸せに暮らせてたのに。

急にどうして。

ﾊﾟｻｯ

早く殺して。

お願いします。

もう...楽になりたい。

ｸﾞｻｯ

ｸﾞｻｯ

ﾊﾞｯ

やっぱり直ぐに死んどけば良かった。

みんなにバレる前に。

ｷﾞｭｯ

ﾄﾞﾝｯ

それから月島はこの家に住むようになった。

雛実ちゃんに漢字を教えたり、家事もしてくれた。

ｶﾞﾁｬｯ

ﾊﾞｻｯ

それから数年後。

俺と月島は高校を中退。

董香ちゃんは高校を卒業し、東京の大学へ。

蓮示さんも董香ちゃんについて行くと東京へ行った。

この家には俺、月島、雛実ちゃんだけ残った。

そしてさらに数年後。

俺たちは無事に喫茶店を営んだ。

ここは意外と有名で喰種や人間も来るようになった。

月島は今でも俺の傍に居てくれる。

店長もしてくれる。

俺にとって凄く幸せになれる人だ。

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

まだ世界では色んなことが起こってるけど、俺にとってここは大切な場所で大好きな人達で。

絶対に失いたくない人たち。

俺は喰種だけど、人間みたいに過ごせる。

俺は...喰種じゃない。