小学生5年生の夏。 その日は太陽の主張がうるさく、暑苦しかった。
そんな日に汗をかいてベタついた服をパタパタと仰ぎながら2人で駄菓子屋のベンチに座り、アイスにかぶりついていた。
捏島 孝行
隣で脈絡もなく元気に宣言したのは俺の親友。 太陽に照らされて輝く綺麗な金髪は俺の黒髪とは比べ物にならないのがひと目でわかる。 長年一緒にいる俺も見とれてしまう程だ。
そんな彼は権力も無いけど威勢だけは人一倍あった。
家庭事情が複雑で昔から苦労してきた奴だからそんな言葉が言えたのだろう。
鬱島 大
捏島 孝行
昔から世界に不満を持っていた奴だし、行動力がある奴だからピッタリだと思った。
親友が言うことなんだ。背中を押してやりたい。
鬱島 大
それで俺を助けて
その言葉は喉を通らずにひっそりと俺の中で消えてしまった。
捏島 孝行
鬱島 大
2人で笑いながら食べ終わったアイス棒をゴミ箱へと捨てた。
ハズレと書かれた2本のアイス棒は並んで歩く小さな背中を見て笑っていた。
サイレンがうるさく響く夜。 二日酔いでズキズキと痛む頭を抑えながら玄関から顔を出した。
家の目の前には警察と野次馬がいる。 赤いランプが家々を照らして周りへ威嚇をしていた。 それに負けない様に携帯をかまえる野次馬共。
なんだなんだと野次馬を掻き分けていけば轢かれて倒れた人とボンネットが凹んだ車。
倒れた人にはブルーシートがかけられていたが少し甘かった。
隙間から見えた綺麗な金髪は赤く染っていた。
今から俺の家に来ようとしていたのか、近くには高い肉とビンが割れて漏れた酒が転がっている。
近くにあった携帯の液晶画面には俺の電話番号が表示されていた。
鬱島 大
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