『要らない子』

なんで

お父さんがお母さんを殴ったり、蹴ったりしている

僕はされてないけど、声がでかくて怖い……

この時の僕は何も出来なかった

ﾄﾝﾄﾝ

みんな結局ペアになったが、僕のペアはもちろん全くの初対面

なんだかんだ人って優しいね

お母さんが自分の首に包丁を当てている

今にも死にそう

お母さんから包丁を取り上げて、死ぬのを阻止する

ｶﾞﾁｬ

ああ、今日もはじまる……

ﾊﾞｺﾄﾞｺｶﾞｯｼｬｯ

家中に憎い音と助けを呼ぶ声が響く

僕は何も出来ない

弱い人間

だから、助けられない

助けようとしても意味が無い

ごめんね、お母さん

お母さんはよろけた歩きでご飯を取りに行く

ｶﾞｼｯ

無言で食べるお父さん

ｶﾞﾁｬ

食べ終わった後、そのままお風呂に入りに行く

お父さんと、僕が食べたご飯のお皿を流しまで持っていく

それが、終わったあとはお母さんの手当

血が出ているところが何ヶ所かある

今日はいつもより、殴られている時間が多かったためか、傷が多い

ずっとお母さんはポカーンとしている

大丈夫なのか

手当が終わった後は、今すぐにでも寝て欲しかったから睡眠薬を飲ませることにした

やっぱり……

何もすることが出来ないせいか、叫ぶ

泣いちゃた……

やばいかも

動けないようにしなきゃ

お母さんはどこから出したか分からないカッターを出してきた

自分の腕は包帯だらけでやることが出来ない

だからか、僕の袖をまくり僕の腕でやる

ｼｭｰｼｭ､ｼｭｰ

やめて欲しいけど、今言ったらやばいかも……

10分くらいやられた

もう僕の腕はボロボロ

僕は隙を見てお母さんの口に睡眠薬を入れた

無理やり吐こうとするお母さん

すぐ溶ける薬だから大丈夫……うん

効き始めたかな

痛い、痛い

お母さんが僕の腕にカッターを当てたまま倒れて、深く僕の腕に刺さった

ゆっくり、ゆっくり僕の腕に刺さったカッターを抜いて

お母さんを抱っこする

カッターでやられたところが痛む……

そして、近くのソファーに寝かせ布団をかける

お母さんを落ち着かせたら、僕は活動する

自分の手当を軽くして、勉強をする

この家族はあまり勉学とかどうでもいい

だけど、僕には夢がある

お母さんのような人を救いたい

そのために弁護士になる

そんな簡単では無い

だけど、今は自分の成績を安定させる

そのために必死に勉強する

数日後

あれ？いつもはみんな返してくれるのに

なんで

気を取り直して友達に会いに行こうとしたら

友達の机に1輪の黄色い花が

聞いてない聞いてない

全部僕の家庭事情とか悩みとか相談してたのに

僕には頼ってくれないんだ

あー、そうか

頼ってくれないんじゃなくて’’頼れない’’のか

今日の挨拶をみんなが返してくれないのは

僕が犯人だと思ったかららしい

廊下を歩いている途中に耳にしたんだけど

後ろの人が

「ねぇ、あいつ2年2組の(友達)殺したらしいよ？」

なんで僕が殺していることになってるのか分からない

暴言で辛くなって死んだ？となっていて

ちょっと自分的に辛い

帰ってきて一発目がこれか

まぁ、考えてみる？笑

どうせこのまま時が過ぎていくのなら

生きれる自信が無い

学校で、虐められるだろ？

まだ、されてないけど、

目には見えてる

今日だって無視してきた

お母さんにもああ言われちゃったし、

僕って要らない？

そんなに頭も良くないし、

弱いし

近くにいる人さえ守れない

要らない

YESかNOだと、

この世の中の人ならYESを選ぶだろう

だってさ、

賢い子で、なんでも救える 賢くない子で、なんでも救えない

そしたら前者を選ぶだろう？

ごめん、守れそうにないや

ﾊﾞｼｬｯ

「ありがとうが聞きたかったなぁ笑」

微かにそう聞こえた