テラーノベル
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光る光る真夏の太陽 チラつく短パンに目を向ける
誰もが半袖短パンを履いていて、長い髪の幼なじみは酷く目立っていた
無邪気な質問である、本人にとって特に深い意味は無い
でも、そんな言葉が人を傷つけてしまう
どぬく(11才)
どぬく(11才)
どぬく(11才)
記口(11才)
勘違いから生まれた噂は、泳ぐように耳から耳へと進んでゆく
そしてそれに気づくのは、噂に自分が選ばれた時
それまでは探りもしないと気づかない
噂が1ターンを泳ぎ終えると、泳ぐのが嫌いになって離れていく
そうやって、彼は1人になった
どぬく(11才)
記口(11才)
遊び感覚でしかないんだ、噂が泳いだ水は遊ぶようにゆらゆらと揺れる
揺れるだけで何もしない
水は突然固まるわけでもなく、噂を止めようとしない
教室中が笑って、楽しんで、本当はダメだと思ってても、波に流されて混ざりこんでしまう
どぬく(11才)
シヴァ(10才)
どぬく(11才)
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
水面のような彼の瞳に、無駄な言い訳で自分を傷つけた
第7話 「希望の花」
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
家に帰ると散らかった床が目を痛くする
掃除は全て俺がやっていた
特に怒りは感じない、慣れているからと言った方がよく伝わる
低い机でカップ麺をすする
カップを手に撮った瞬間手にしびれを感じた
びしゃ 音を立ててマットに汁をこぼした
シヴァ(10才)
しばらくしたら、またカップ麺を作る
今度は傷だらけの手で丁寧に食べ始めた 毎日これを繰り返す、きっとこれからも
別に何も思わなかった 殴られても、怒られても
人間はそうゆうものだ、感情をもつ生き物だから、その感情を上回る刺激で感情を消そうとする
だから放っておけばいい、そう思ってたから
一日中学校で無視されてる彼に心の中で言い訳をした
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
違う
俺以外に彼に友達がいたか、彼が頼れるのは俺だけなんじゃないか
でも怖い、だって頼られたら二人で波と争うことになるから、
でも、みんなも何もしてないし、
皆が何もしないのは当たり前なの?俺しか頼れないからじゃないのかな
じゃあ頼ってくる彼が悪いの?
悩んで過ぎてゆく日々、そんな中
シヴァ(10才)
母親が放った言葉に 声が出なかった ただでさえ悩んでいる時に、唯一の親族である母親に死を要求された
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
お風呂場に響く母親の声と放置されたシャワーの音に気付かされた
シヴァ(10才)
俺がいなければお父さんもお母さんも幸せに暮らしてた
俺がいなければ、彼も頼るものがいないから、諦めるものがないから苦しまなくてすんだんだ
これは歪んだ愛じゃない、ただの歪みである
母親は俺の頭を掴んで風呂に沈めた
ぼやぼやと聞こえる声
波に飲まれていくようだ
ただただ苦しい 噂の波に飲まれた時も、同じように苦しかった
しばらくして、体の痺れと共に波に返された
行き着いたのは病院 彼が助けてくれたらしい
遊びに誘おうとしたところ見つけたという
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
どぬく(11才)
両手にがっしりと掴まれた土まみれのボールは、俺に公園での記憶を映させた
シヴァ(10才)
シヴァ(10才)
どぬく(11才)
どぬく(11才)
俺はこの時、正義を分かってるつもりでいた
辿り着いた正義は人を助けて自分を投げやりにすることだった
勘違いした正義に救わけた気でいたんだ そう、勘違いという波に飲まれて
中学生になって 母親が犯罪者であることを知るクラスメイトによくいじられるようになった
どぬくさんは別の学校で、友達なんて一人もいない
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
足元に浅くいた波は、大きな津波となって全身に降りかかった その波は全てを呑み込んでいく
ただ、それを俺は何も思わずに見続けた
シヴァ
勘違いの正義を信じ続けて、またあの時と同じ言葉を唱えた
じゃぱぱ
記口 慎太郎
じゃぱぱ
じゃぱぱ
何も嬉しくなかった、「俺のために波に呑まれないでくれ」 そう思ったから、ただただ可哀想でならない
たっつん
うり
じゃぱぱ
記口 慎太郎
そんな考えが、波を光が焼き切るように消えていった
じゃぱぱ
シヴァ
じゃぱぱ
たっつん
じゃぱぱ
うり
少し驚いたんだ 波に刃向かって、そんなんじゃ波に飲まれて死んじゃうよって、
そう思ってたから
俺はそこに正義を見つけた 俺が探していた正義を
1つの波から、自分も含めたものを全部助け出す
波に乗り込むんじゃない、波を消すんだ
勇気と力に溢れていて、ただただ輝かしい
俺が追い求めた正義を 彼は持っていた
シヴァ
シヴァ
シヴァ
じゃぱぱ
シヴァ
雨で濡れた帽子を外して、毛布に足跡を着けるように置いた、
シヴァ
シヴァ
シヴァ
シヴァ
シヴァ
届きもしない願望、そして心の底では分かってる、この願望が間違えてること
シヴァ
シヴァ
決意が瞳を暑くした、まるで、あの日の感動と同じように
たっつん
音のない気まずい空間に、平面に周波を載せるように首をひねった
目の違和感が波紋のように繰り返される
時計の音が、周波に加勢するように音を大きくした
深呼吸を2度繰り返す
場違いなほどのネックレスは、カーテンの隙間から突き刺す光に輝いている
少し赤みがかった手のひらでネックレスを握りしめた
たっつん
服の中にしまう瞬間のネックレスから漏れ出す光が、目の波紋を消し去った
たっつん
心でツッコんだだけなのに、楽しいという感情を久しぶりに感じ取った
たっつん
シヴァ
たっつん
たっつん
シヴァ
たっつん
シヴァ
シヴァ
たっつん
さっきまでの緊張が、どこかに吸収されていく
3度目の深呼吸をした
たっつん
うり
たっつん
たっつん
ゆあん
どぬく
たっつん
もふくん
もふくん
たっつん
たっつん
もふくん
たっつん
たっつん
たっつん
たっつん
たっつん
たっつん
使うという一言に全体の視線が集まった、まるで餌を持っている気分でならない
たっつん
たっつん
たっつん
ヒロくん
ヒロくん
たっつん
李咲 叶(りさき かな)
シヴァ
シヴァ
記口 慎太郎
シヴァ
靴越しに感じる冷たい床を共にしていたのは、記憶に張り付いて離れない記口慎太郎だった
記口 慎太郎
寒さと記口の冷たい視線になぜだか少し口が固くなった
シヴァ
シヴァ
記口 慎太郎
シヴァ
記口 慎太郎
シヴァ
シヴァ
シヴァ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
ありきたりなセリフに頭がきれて咄嗟に胸ぐらを掴んだ
シヴァ
シヴァ
シヴァ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
シヴァ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
シヴァ
シヴァ
頭の中で解けた糸が結び直された感覚がして、なんだか怒りの感情がわかなくなってきた
シヴァ
シヴァ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
俺の家系は、全員頭が良かった
勿論俺も悪かったわけじゃない、テストでは高得点を守ってきたし
弟の倍努力してたと言い切れる
でも俺の両親は努力なんて見やしないんだ、結局結果しか見ない
記口 虚構 (きぐちきよこ)
記口 虚構 (きぐちきよこ)
毎日見下されるんだよ、弟にも、母親にも
父さんだって、結局は結果が全てだった 毎日豆の出来た手で殴られた こいつは狂ってる、そう思うしかなかった
毎日頭に来ていた、胸に突き刺さるような視線に胃袋が破裂しそうで
それを抑えるために学校で俺よりも下のやつを見下してた
それで満足だった
俺よりも下のやつがいるのは心地よかったし、なにより快楽でしかない
どうして絆なんてものがあるんろう、どうして庇うんだろう
全て馬鹿がやることでしかない
馬鹿な奴は嫌いだ、だからじゃぱぱのことも嫌いだった
そう思ってたんだ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
少しも動かないじゃぱぱを前に、足音すらしない病室に涙を流した
ふと外をみると少し空が赤くなっていて、背中を押された気がした
李咲 叶(りさき かな)
記口 慎太郎
李咲 叶(りさき かな)
見るからに疲れている、不気味な笑みだ、背筋の暖かさが消されていくのが感じ取れるほど
記口 慎太郎
李咲 叶(りさき かな)
記口 慎太郎
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
手足の震えが止まらなかった
あの時と同じ感覚
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
カッターナイフさえ汗をかきそうな、暑い夏だった
李咲叶の手に握られた錆びたカッターナイフは、自然と恐怖を呼び起こした
こいつは狂っている、すぐに悟った
怖くてたまらなかった、父親を見ているようではなくて、俺は手足が少し震えた
命の危機を感じたら、逃れるためのことだけを考える
こういう狂った奴は世界に溢れてるから
そんなことを考える自分を、俺は酷く拒絶した
記口 慎太郎
記口 慎太郎
この生涯で言わないだろうと思っていた言葉を全て出し切った気がする、ただ開放感が俺を包み込んで離さない
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
じゃぱぱ
記口 慎太郎
李咲 叶(りさき かな)
喧嘩口のように病室に響く声が永遠に木霊した
耳鳴りが指に届くほどに血管を筋通る
記口 慎太郎
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
記口 慎太郎
記口 慎太郎
突然の中断に息が上がる、眉間が縮こまる感覚が冷や汗と共に流れ込んだ
李咲 叶(りさき かな)
李咲 叶(りさき かな)
掴まれた胸ぐらを手で払ってヘラヘラ笑う李咲は何も無かったかのように歩き出す
俺はまた従うように歩き出した
じゃぱぱ
後悔の余韻に小さな声が重なった
その声に振り向けないものがいるのか、弱々しい酷く乾いた声
記口 慎太郎
泣きたいのはあっちなのに、俺が泣くのはおかしいのに、それでも止まらない涙は俺をさらに嫌いにさせる
記口 慎太郎
記口 慎太郎
いいことをする奴が嫌いだったんじゃない、俺はただ羨ましかっただけなんだ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
そう、いつも人は大切なことに気づかない
こいつがずっと俺を気にかけてたことだって、勘違いだと思おうとしてたから
涙越しに前を向いた
もう李咲の背中は追えない
じゃぱぱ
あの日の夜から3日が経った
なんだか記口の変化に勇気づけられて学校に行くことにしたけど、やっぱり辛い
辛いという言葉以外出てこない
記口 慎太郎
じゃぱぱ
記口 慎太郎
記口 慎太郎
ピリついた声から柔らかい感覚が身に染みる
変刺をワタが抑えているような感覚
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
記口 慎太郎
毎日病室で寝て起きてを繰り返し、病院代のことやネットでの活動への申し訳なさに心がずっと重かった
だからこそなのか、安心で少し幸福感を得た
じゃぱぱ
じゃぱぱ
誰もいない教室、窓から入り込むかぜに目を合わせた
冬だと言うのに青い空
ひかる太陽もきっと俺の妄想でしかない
これは現実じゃないから早く逃げ出さないと
教室に入るとっくの前から思ってたんだ
結局俺の手の中にはほんの少ししか残ってなくて、どれだけ暖かさを感じても冷たさに消されて無くなる
目の前で小さく咲いた花は
心做しか綺麗に見えた
枯れないでただそれだけを願って
意識が遠ざかる、花に吸い込まれるように
この花に希望を
枯れてしまってはもう遅い
もう何もかも、波に乗ってどこかへ行ってしまった
俺も一緒に流されてしまいたい
もう目の前にあの花はない
花に突き刺さる圧が俺のこころを貫いた
いつも鼻にくる匂いさえ感じられない
どれだけ心を強くしたって
結局戻ってくるのはこの海
何も変わらない俺も、李咲も
この海も
目が乾ききったそのうちに、深く息をした
続き ♡2000
コメント
7件
作者秘密話 記口慎太郎はじゃぱぱさんをカッターで切りつけた後、ロッカールームでひとりで泣いていたらしいよ そのロッカールームはじゃぱぱさんが李咲叶に閉じ込められたロッカーの場所らしいね
今回も最高でした!!記口が改心してくれて良かったしシヴァさんの過去が悲しいくて感情移入しました!!てかイラストうますぎて禿げました。長文失礼しました!!!