<陽ノ下>我々人間の世界は鬼共からそう呼ばれていた。そして我々人間は鬼共が棲まう森に<鬼ノ樹海>と名付け近付く者はそうそういなかった。太古から鬼と人間は,喰う者喰われる者の関係により鬼と人間の因縁は深いものであった。このままでは互いにの存続に関わる……そう思った双方の代表者は境界をつくり,互いに領域を侵さない事を約束された。こうして人間の世界に安寧の時が訪れた。ごく一部を除いてな……。
「ねぇ,カバネ~」
此奴は百鬼(ナキリ)鬼ノ樹海の住人。カバネと言うのは俺の事だ。諸事情により自分で名前を付けた。その話は追い追いしようと思う。さて話を戻そう。 俺と百鬼が同居しているのにはちゃんと理由がある。あれは数ヶ月前
その日俺は亡くなった兄:カサネが 生前使っていた部屋に籠もっていた。兄の死後一度も行っていなかったからか埃臭さが鼻を突いた。遺品整理をしてなかったので その部屋だけ時が止まったままだった。何を思って部屋を訪れたのか自分でも分からなかった。ここにいれば 時が戻ると思ったのだろうか。兄の気配を少しでも感じられるとでも思ったのだろうか。何となく本棚に目をやった時ふとある本が目に飛び込んできた。背表紙には『妖封術書』と記されていた。
(兄貴いつの間にこんな本持ってたんだ?)
そんな事を思いながらパラパラとページを開いてみた。紙は所々ボロボロで随分年期が入っている。半分くらいまでめくった時,あるページが目に飛び込んだ。
「亡くなった人の魂に会う術……?」
この時リスク何てモノは頭に無くて,兄に会える そんな期待でいっぱいだった。本の通り準備をして降霊を始めた。閃光のような強烈な光に包まれ目をギュッと瞑った。
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