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ふと顔を上げると、窓に雨粒が張りついているのが見えた
静かな病室の中、雨音だけが響いている
せめて退院の日は清々しい青空であって欲しかった、と軽くため息を吐き再び空を見上げる
雨が嫌いな訳じゃない、ただ今日は何故か憂鬱に感じた
「退院おめでとうー!」
「居なくなると思うと寂しいわね、」
黒「そうですね笑」
何も感じない嬉しみも喜びも悲しみも
どうせ上面だけ、どうせ、どうせ
黒「じゃあ、そろそろ行きますね!」
「うん、元気でね!」
黒「はい!」
久しぶりに帰る家は生活感がなく静まり返っていた
黒「ただいまー、」
誰からも返事は返ってきはしない
一人暮らしなんだから当たり前か
まぁ、今日から1人では無いのかもしれない
余命と共に生きていくと決めたから